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(ただの)関節炎

2011.02.06 (日)



雪が溶けないと駐車場が狭くなる。除雪車で寄せられた雪が見上げるような山をいくつも作り、車を入れるべき場所から動かない。数百台が停められそうな病院の駐車場もほぼ満杯で、どうにか1台分のスペースを見つけた。

ドクターFのオフィスは秋に2回診察してもらったばかりなので、さすがによく覚えていた(でも、診察室からロビーに戻るとき、やはり迷子になった。方向音痴の治療は何科だろう)。

診察室に案内してくれたナースもドクターFも、"How are you?"と言う。

故障があるから来ているのに、つい Fine やGood が口をついて出る。これはもはや脊髄反射だなと思う。先方も私もただの挨拶だと承知している。

患者が "I'm doing great!" なんていうことはありえないのだが、ふだんの口癖が出てしまうのだ。薄っぺらいやり取りだわと白けつつ、日本だって「おかげさまで」だの「お世話になってます」だの、社交辞令では負けない。


            *


ドクターFに親指が痛くなった経過を説明した。

実は、診察の予約を取ってから、徐々に痛みが引いてしまっていた。はさみや包丁を使ったり、蓋や蛇口を開けたりすると響くのだが、最悪の状態に比べたら、ぜんぜんたいしたことがない。アイスパックと安静の効果がやっと出てきたのか、もともと一時的な痛みだったのか。

予約をキャンセルしようか迷ったくらいである。でも、ドタキャンして、診てもらわないのに診察料を取られたらもったいない。

アイスパックを止めて、みじん切りもやって、玄関の氷をアイス・チョッパーで砕いて、親指を甘やかすのを止めてみた。それで少し痛みが戻ったのだが、どうも医者に痛みを訴えるレベルではない。ドクターにはちょっと大げさに伝えた。

ドクターFは私に質問しながら、私の指の関節を押したり曲げたりした。

「レントゲンを取りましょう。」

レントゲン室で右の親指だけ3枚撮った。どうせフィルム(最近はデジタルではあるが)を使うなら、手全体を撮ればいいのにと思った。

レントゲン技師は「妊娠の可能性はありますか」と私に聞いた。

私が避妊手術をしていようが、50歳目前であろうが、必ず聞く。生理の日も聞く。マモグラフィーでもそうだ。そして、お腹の周りにかけるように重いエプロンをくれた。これを食事時に着たら、あまり食べられなくて痩せるかもと考えた。

レントゲンのメーカーはシーメンスと東芝で、東芝の製品には社名と「東京都港区芝浦」の住所が漢字で書いてあった。なんだか懐かしい。この病院でその表示を理解できるのはおそらく私だけである。機械も私も遠くへ来たもんだ。


            *


診察室へ戻って、ドクターFの見立てを聞く。

「これは arthritis (関節炎) ですね。レントゲンでも腱が薄くなっていました。30歳くらいでなる人もいますが、40代、50代になるとかなり多いですよ。もともと女性は男性にくらべて関節がゆるくできてますから。」

出産のためだろうか。私はただの関節炎だったのか。

「あなたの場合はかなりマイルドです。まだ10日くらいですから、コルチゾン注射には早すぎますね。これが3ヶ月も続いたら話は違いますが。とりあえずアイスパックをして、なるべく負担をかけないようにしてください。5、6週間様子をみましょう。痛みが引かないようなら、セラピストのところであなたの指に合ったサポーターを作る方法もあります。処方箋を書きますよ。」

そういうものを付けている人を見たことがある。骨を折ったのだろうと思い込んでいたが、関節炎のせいで固定していたのかもしれない。何ドルするんだろう。

「痛かったら、Aleve (炎症を抑える市販薬)を飲んでください。処方薬はまだ必要ないでしょう。」

ということは、私の関節炎はごく軽いのだ。ドラッグストアで売っている薬とアイスパックで乗り切れるらしい。ドクターに診てもらうほどのことはなかったのか。診察代とレントゲンはもったいないことをしたが、今後のためにも基準となるベースラインのレントゲン写真はあったほうがいい。進行度を見るのに役立つ。

「実は私も親指の痛みはあるんです」とドクターF。

そして、ポケットから医療用のはさみを取り出し、こう握ってこう押すと、親指の関節がこう動くから、ここに影響が出ると説明してくれた。「今日はそうでもないかな。あなたもそうでしょうけど、いい日と悪い日がありますよ。」

もしかして、私みたいな関節炎は、程度の差はあっても中年女性は誰しもが経験しているのだろうか。これっぽちのことで整形外科医に駆け込んだのが恥ずかしくなった。

「私は親指を酷使する作業は何もしてません。パソコンでこんなことになるでしょうか」と聞いてみた。「うーん。パソコンではそれほど親指は使わないと思いますが」とドクターはタイプする真似をした。

「年を取ったということですよ。」と言いたかったのかもしれない。

「私と同じような症状になった人から、ド・ケルヴァン症候群じゃないかと言われたんですけど」と確認してみた。せっかく専門医に来たのに、ただの関節炎ではいまいち物足りない。もっともらしい病名がほしい。

「いや、違いますね。あれはもっと手首に近いほうですから。」とあっさり却下された。ネットで情報を仕入れて自己診断したがる患者には慣れているらしい。


            *


ドクターFの秘書は1ヵ月後の予約を入れながら、「私は首の関節炎なの。もう痛くって」と首を曲げたり回したりした。彼女は私より年上だった。

やっぱり! みんな黙って耐えていたのか。

義父はAleveを常備していた。私はあれはもっと年を取った人か、激しい運動をする人のための薬だと思って、買ったことはない。

帰宅して、長男に arthritis だったと話すと、

osteoarthritis (変形性関節症)じゃないの?」

テレビの見すぎである。コマーシャルでしょっちゅうこの病気の治療薬を宣伝しているのだ。たいてい中年か初老の女性が出演する。

「おかあさんはそうじゃないって。ただの関節炎だって。でも、痛いのよ」と、これからも私を手伝うようにとそれとなく訴える。

ドクターFにテニスひじについて聞き忘れていたのを思い出した。しかし、今日はごくわずかなピリッすらない。お医者の前で症状が引っ込んでしまっては困るのである。体の持ち主と同じで、炎症まで気まぐれにできている。

ところで、なんだか右のひざに違和感を感じるのは気のせいか。


<今日の英語>  

Be careful what you wish for.
願い事をするときは慎重にしなさい。


ムバラクの退陣を要求するエジプト人について、在米イラク人がインタビューに答えて。望んでいたことが本当になって、それですべてうまくいくとは限らない。むしろ状況が悪くなるかもしれませんよという忠告。これに続けて、"because you just might get it" (願い事が本当にかなってしまうかもしれないから)と言うときもある。
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