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初めてのコルチゾン注射

2010.12.01 (水)



朝一番に、整形外科医のところへ行ってきた。

物静かで素朴、ちょっとモッサリした感じの、30代半ばの男性。とてもわかりやすい英語を話す。饒舌でも無口でもなく、説明は上手だし、私の質問にもていねいに答えてくれる。理想的なお医者である。

お医者に好感が持てると、信頼感も生まれる。変な勘ぐりや気遣いをせず、治療に集中できる。

もし骨の具合が悪くなったら、この先生に診てもらおう。それにしても、年を取るにつれて、だんだん専門医が増えていくなあ。

診察室で待つこと5分。微笑みとともに入ってきたドクターとそっと握手をした。握手は簡単な動作なのに、かなりひじに響く。普通にしようと思っても、自然とひじをかばってしまう。当分の間は、相手に握ってもらうような握手でやり過ごすことにしている。

「具合はどうですか。」

私は説明する前に、フィジカル・セラピストが書いた進捗報告を手渡した。封筒に糊付けしてなかったので、すでに私も目を通してある。

ドクターは報告書を開き、「どれどれ…。『親愛なるドクターF、kometto3は私がこれまで受け持った患者の中で最悪です。』」とまじめな調子で読み上げた。冗談とわかっていても、一瞬どきっとした。

「そんな、馬鹿な。私は6週間ちゃんと通って、言われたとおりにやっていたんですよ。」と、思わず反論して、二人で笑った。

アメリカのお医者は時々こういうことをする。深刻になりがちな診療の場面をユーモアで包む。もちろんジョークが受け入れられそうにない状況ではそんなことはしないだろう。私が軽症で、たぶん生真面目な印象を与えたから空気を和らげようとしたのか。

卵巣手術をしたときのことを思い出した。

10年以上前の話だ。空腹と寒さと、まだ小さかった子供たちを夫に任せたのが不安でストレッチャーの上でニコリともしない私に、麻酔医が「ほら、誰もがこんな貴重な経験ができるわけじゃないんだから、エンジョイしなくちゃ!」と話しかけてきたのには驚いた。

もしかしたら悪性腫瘍かもしれないのに、全身麻酔と開腹手術を楽しめ?!

唖然としている私に、「心配無用。手術はきっとうまく行きますよ。麻酔から覚めるまでずっと私が見てますから。何も感じないうちに終わることを請合います。」と私の手を握った。彼は私を元気づけようとしたんだなと後になってわかった。

 
        *


ドクターFには、ひじの調子はとてもよいこと、セラピーが終わってから更に回復したこと、でもまだほんの少しだけ痛みが残っていること(次男の入れ知恵で、twinge を使ってみた。語学は実践と繰り返しである)、それより左手の親指の付け根が数日間かなり痛かったことなどを話した。

しかし、今や左手にはほとんど違和感がなく、ドクターが押してもなんともない。

こういうのは困る。あれほど苦労したシートベルトも普通につけられるのだ。症状がないのに、判断や手当てのしようもない。車の調子が悪くてメカニックに持って行ったのに、そういうときに限って不具合が再現できないのと似ている。

レントゲンを撮りましょうと言われるかと思ったが、おそらく一時的なものだったのだろうという診断だった。

肝心の右ひじは、骨の構造を知り尽くしているドクターが問題の場所を押すと、やはり痛む。全治していない証拠だ。

「オプションは3つあります。」とドクターF。

「1つは、フィジカル・セラピーをもう2週間続けてみる(私の顔には、もうセラピーにはうんざり!と書いてあったに違いない。ドクターはニヤッとした)。それで、今の痛みが消えるかもしれない。もう1つは、何もしないでそのまま様子を見る。自分でストレッチするとか、冷やすとか、家でできることはやってみて。最後の1つは、cortisone injection(コルチゾン注射)です。」

私がネットで集めた情報の通り、効果は人によって様々であり、3回以上の注射は組織を壊す危険が大きいという。

「効き目は3日くらいですぐ現れますよ。これで痛みと永久にさよならできるかもしれないし、3ヶ月くらいでまた痛みが戻るかもしれない。あなたの場合は、この注射で最後のしつこい痛みを乗り越えられるかということですが。」

説明が終わるか終わらないかのうちに、「コルチゾン注射お願いします。」と身を乗り出す私。もしドクターがオプションに入れなかったら、私から頼もうと思っていたくらいだ。


         *


ドクターは私のひじを押さえ、「ここですね。」と爪でXをつけた。なぜマーカーやペンを使わないかは聞かなかった。ばい菌が入るからかなと思ったが、手の爪にだってばい菌はある。もちろんお医者さんは私を診察する前に手を洗った。消毒のコットンで拭くと、インクが消えるからか。

飛び上がるほど痛いというネットでの書き込みを思い出し、「痛いですか。」と急に怖気づいて聞いた。

「ぜーんぜん痛くないですよ。皮膚に麻酔スプレーをするので、ほとんど感じないんじゃないかな。」と自信たっぷりの回答があった。またアメリカ人が大風呂敷を広げて!とは思わない。信頼のなせるわざである。

ドクターは注射器に透明の液体を入れ、缶に入った麻酔薬を私の右ひじにシューッと連続してかけた。とても冷たい。これには消毒薬も入っているのかもしれない。

垂れてくる液体をふき取ると、「ちょっとチクッとします。それと圧迫感があります。ぼくを蹴飛ばさないでくださいよ。」と言って、初めてのコルチゾン注射となった。

インフルエンザ注射みたいなものだ。それでも、麻酔が必要ということは、かなり奥深くまで注射針が到達したのだろうか。私はじっとしていたが、注射針が入るところは見なかった。

「こんな注射のあとでも、私たちの友好関係は継続していると思っていいですね?」と、またジョークを言いつつ、バンドエイドを張りながら私が痛みに耐えられたかどうかを確かめた。「もちろん。ところで、これは骨に注射したんですか。」と私はやたら質問したくなってきた。

「いや、周辺です。骨には注射できませんから。仮にできたとしても、ぼくはやりたくないですねえ。」と無知な私の質問にも馬鹿にしないで答えてくれた。

コルチゾン注射を打ってから、2~3日はむしろ痛みが強くなるそうだ。そして、これまで残っていたテニスひじの痛みは魔法のようにサーッと消える。それがいつまで持つのかは、予測できない。

今後どうするかは、私の予後次第だ。「気になるようでしたら、1ヶ月か3ヶ月後に様子を見ますよ。ただし、open invitation (期日の無い招待)ですから、あなたが必要と思えばいつでもいらっしゃい。」


          *


次の予約は入れないことにした。その代わり、左手がまた関節炎みたいになったら、すぐに行こう。

根拠もなく、コルチゾンがすごく効いたような気になった。セラピーの100倍くらい信用できる。コルチゾンの正体はステロイド・ホルモンという恐ろしげな組み合わせなのだが、それでこそ強力なのだろう。

私は西洋医学を信奉している。

もっとも東洋医学については何もしらない。漢方薬は飲んだことがないし、お灸や整体やヨガすらやったことがない。アメリカに住んで20年の間に、抗生物質や全身麻酔や開腹手術を経験して、アメリカの医学に感心したのだ。医療だけでなく、病院の施設や個室制(せいぜい2人部屋)も進んでいる。お医者とのコミュニケーションも取りやすい。

もちろん、こういうのは太っ腹な健康保険があり、費用の心配なく利用できてこその話である。

【追記】 保険会社の明細書によると、この日の医療費は以下の通り。カッコ内は保険会社が認めた適用金額。私には差額を払う責任はない。

手術(骨・筋肉) 140.00 (75.80)
外来受診 125.00 (0.00)
注射剤 15.00 (15.00)
注射剤 15.00 (8.59)
---------------------------------
合計 295.00 (99.39)

自己負担額は、上から15.16+0.00+3.00+1.72で合計19.88ドル。注射剤が2回あるのは、コルチゾン剤と麻酔剤(実際はスプレー)だと思われる。外来受診(Office Visit)は施術の一部であるとして、別個の請求は認めていない。

【関連記事】
フィジカル・セラピー初日 2010.10.09
信ずるものは救われる? 2010.10.11
今度は左手 2010.11.08


<今日の英語>

It will get you over the hump.
それで難関を乗り越えられますよ。


ドクターがコルチゾン注射の効用を説いたときの一言。hump はラクダのこぶ、あるいは小山や丘などの盛り上がった地形。病状が峠を越すときにも使う。
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 |  医療  |  コメント(0)

ドタキャンの罰金

2010.12.02 (木)



私がコルチゾン注射をされていた頃、夫は歯医者へ向かっているはずだった。

1ヶ月前に詰め物の具合がおかしいと言って一般歯科で診てもらったら、歯周病だという。夫の歯は私の歯より質がいいと思うが、歯ブラシもフロスも適当、睡眠と食事も不規則ときては、歯茎だってたまったもんではない。

「明日できることは今日やらない」夫に任せていたら、いつまでたっても治療が始まらない。重症になったら、よけいにお金がかかる。

歯周病専門医(私はここで高いお金を出して定期クリーニングをしてもらっている)に予約を取ってやり、重い腰をあげてようやく夫が診察を受けたのが11月1日。

案の定、scaling と root planing という徹底的な歯石除去が命じられ、1回目の予約は10日後だった。

ところが、同じ日にカウンセラーの予約があった。そちらは毎週のことだし、夫はときおりキャンセルしていたので、てっきり歯医者を優先するのかと私は思った。ふつうは、最初から他の予約とかち合わないようにするんじゃないの。

当日の朝になって、カウンセリングにだけ行くと夫が言い出した。じゃあ、どうしてもっと早く歯医者の予約を変更しなかったのよ? 「ごめん、うっかりしてた。それに、今日はどうしても歯医者に行きたくないんだよ。」

そんな!子どもじゃあるまいし。

夫は歯医者の受付シルビアと話したくないというので、また私が代わりに電話した。なぜか、夫の体調が悪いと嘘をついてしまった。シルビアはふだんでも不機嫌で、私は苦手なのだが、急なキャンセルでさらにつっけんどんになった。

「感謝祭のあとまで空きはありませんよっ。」

こっちの責任だし、一刻を争う治療ではない。朝は寝ている夫には午後のほうがいいのだが、「午前10時しか空いていません」とシルビア。はい、それでいいです。すみません。

なんで私が謝るのだ。悪いのは夫だ。


          *


夫がどこにも遅刻しないように、予約を忘れないように、いつもは私が見張っている。でも、私だって用事がある。

前日に「明日の朝10時、ドクターC」と書き、フラッグ付きのメールを出しておいた。夫はわかっていると言っていた。出かける前にドアをノックしようとしたら、夫はG氏と電話中。寝ているのではない。携帯から電話することにして、私は病院へ向かった。

ドクターFのオフィスから一度電話をしたが、誰も出ない。もう出かけたのかもしれない。

せっかく出かけたついでに、スーパーに寄ってから家に戻った。ガレージのドアを開けると、夫の車がまだあった。買い物袋をそのままに、2階へ駆け上がった。夫の部屋のドアは閉まっていて、やはり話し声がする。

「歯医者はどうしたのよ?!」とドアを叩いた。

夫はG氏に「ちょっと待ってくれ。」と断って、「気がついたらもう遅かったんだ。だから、電話して、間に合わないと言ったよ。これで2回目のキャンセルだから、今日の費用をチャージするそうだ。」とドアを開けずに言った。

ドクターCは腕もいいが、高い。しかもただのクリーニングではなくて、スケーリングである。

せっかく私がセール品を求めて買出しをしてきたのに、夫の不注意といい加減さで節約は吹っ飛んだ。ルーマニアとは別の意味で、ガックリきた。

夫は数年前にもドクターCにかかっていた。その頃もよく直前にキャンセルをしたり、遅刻をして「ご主人は今日はいらっしゃるんですか。」と受付から電話が入ったものだ。おそらくブラックリストに載っているのだろう。

たいていの医療機関に、「24時間以内のキャンセルには料金がかかります」という断り書きがある。見逃してくれるときも多いが、あっちだって商売。夫みたいな患者はお引取り願いたいところだろう。


          *


私がアメリカに来てすぐ、夫の代わりに公共料金の支払いや小切手の管理を任された。日本では小切手など使ったことのない私には新鮮で、そういう事務処理は好きだった。

しかし、すぐに夫の杜撰さに気づいた。

今のように、銀行口座からの引き落としやクレジットカードに自動的にチャージするサービスはなかった。郵便で請求書が来て、支払い部分を切り離して小切手とともに封筒に入れ、切手を貼ってポストに入れねばならない。

夫がテーブルの上に積んでおいた請求書を開けてみると、遅延による利子やペナルティ料金がしょっちゅう加算されていた。お金がなかったのではない。単にめんどくさいから、やらなかっただけだ。2ヶ月も3ヶ月もほうってあるのもあった。

小切手記入方法を覚えたばかりの私は、何枚も小切手を書き、大急ぎで全額を支払った。もし電気やガスを止められたらどうしようという不安や恥ずかしさとともに、平然としていた夫の頭の中身が心配になった。

しばらくして、Tax Return (アメリカの確定申告)をしていない年が1回あることがわかった。私はIRSからその年の用紙を取り寄せ、書類と首っ引きで夫の代わりに数年遅れで申告をした。夫は「つい忙しくてね。助かるよ。」と他人事みたいに署名しただけだった。

その後、お金のことはすべて私がやってきた。電子化が進むに連れて、夫は税金の書類に署名する必要がなくなった(電子署名も私がやる)。見もしない。


           *


私は、自分で気をつけていれば防げることにペナルティを払いたくない。受けてもいないサービスにお金を払うほど、理不尽なことはない。

ビデオレンタル店が近くにあったころ、夫はビデオを期限までに返さず、延滞料金を払った。私はそのたびに気が狂いそうになった。なんという無駄遣い。

今も、読まない小難しい雑誌を講読している。これも私の精神衛生によくない。買うなら読め!読まないなら買うな!

夫はヘアサロンからカウンセリングまで、いとも簡単に遅刻したり、直前に取りやめたりする。

まったく一事が万事である。

私は毎回キリキリさせられる。当人が平然としているので、余計にイラつく。

しかも、夫はカレンダーを使わない。私がアウトルックであらゆる予定を管理して、リマインダーをつけ、冷蔵庫に大きなカレンダーも張ってあるのに、「自分はそういうツールが使いこなせない」と言い張る。そういう問題じゃないと思うが、なぜか夫は抵抗を感じるらしい。

数字に強く記憶力がいい(よかった)夫は、たくさんの電話番号が頭の中に入っていたが、仕事以外の予定はあっさり忘れることが多かった。気が乗らないと、なんだかんだと理由を作ってキャンセルしてしまうところがある。

でも、歯医者をドタキャンしてお金を取られるのは、たぶん初めてのことだ。高い授業料である。少しは薬になるだろうか。こういう費用は夫のお小遣いから差し引いてやりたいが、うちは小遣い制ではない。

G氏との電話が終わって部屋から出てきた夫は、「今日はGが大事なミーティングに出ることになっていて、その準備を手伝ってたんだよ。」と言い訳した。夫はずっとヘッドフォーンをつけていて、私がかけた電話の呼び出し音が聞こえなかったらしい。

もともとADDの傾向が強い夫だが、こういう症状は年とともに悪化するのだろうか。私が先にボケたら、どうする?


<今日の英語>

That's not the only game in town.
他にも注目すべきものがある。


NYCのミュージカルについて、「このショーは確かに見ごたえがありますが、もちろんこれだけじゃありません。同じくらい興味深いのがいくつかあります。」と他の作品について解説を続けた音楽ジャーナリストの一言。



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驚異のコルチゾン

2010.12.03 (金)



整形外科でコルチゾン注射をしてもらってから70時間経った。

ドクターFの言ったとおり、しばらくは痛みが残っていたが、今や完全に消えた。ピリッのピの字もない。

ものを持ち上げたり、ドアを開け閉めしたりするときは、ついこれまでのようにそうっとやってしまう。右ひじをかばう習性ができてしまった。

思い切ってスーパーの袋を3つ持ってみたら、なんともない。固いふたも開けられる。包丁を使っても痛くない。注射跡に多少の違和感はあるが、テニスひじの痛みとは比べものにならない。

6週間のフィジカルセラピーでも、関節炎の処方薬でも治らなかったのに、注射1本であっさりと解決した。魔法のような薬である。痛みから解放されると、精神的にも楽になる。ひじだけではなくて、全身に打ってもらったらさぞかし若返った気分になるのではないかと思う。

コルチゾンは痛みを感じないようにするだけではなくて、炎症も抑えてくれるらしい。もちろん、これで完治なのか、3ヶ月くらいで再発するのかはわからない。

あまりいい気になって、酷使しないようにしよう。ストレッチも続けたほうがいいかもしれない。これから衰える一方の筋肉をどうにかしなくてはならない。


        *


だれがこんなすごいものを発見したのか。

ウィキで調べたら、アメリカの化学者エドワード・カルビン・ケンダルという人だった。「副腎皮質ホルモンの発見および構造・機能の解明による功績」で1950年にノーベル生理学・化学賞を他の2名と受賞したとある。

ノーベル賞ものだと思っていたら、本当にノーベル賞だった。

副腎皮質ホルモンは、高校の生物で習ったんじゃないだろうか。何十年後に私を痛みから解放してくれるとは思いもよらず、まともに授業を聞いていなかった私は何一つ覚えていない。

私は宗教を信じていない。宗教は世の中の争いごとの元凶だと思っている。

でも、もしコルチゾン教というのがあれば、今日から入信してもいい。いや、もう完全に信者になっているのか。

それほど私にはよく効いた。劇的効果とはこのことだ。史上最強の薬。コルチゾンは永遠です。

こんなに絶賛しておいて、3ヵ月後のブログでこき下ろす可能性がなきにしもあらず。

【関連記事】
外側上顆炎 2010.07.03
初めてのコルチゾン注射 2010.12.01




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<今日の英語> 2010年11月掲載

2010.12.04 (土)



11/3/10
The rest kind of fell into place.
あとはなんとなくうまく行った。

11/5/10
Next time I'll write it down.
この次は紙に書いてくるわ。

11/8/10
The swelling has come down quite a bit.
腫れはかなり引きました。

11/9/10
It's crummy.
ひどい天気だよ。

I was blindsided by her decision and I'm totally shocked.
彼女の決断に不意打ちをくらって、すごくびっくりしました。

11/10/10
I only wish there was something I could do to help them!
彼女たちを助けるために何かできることがあればいいんだけど。

11/11/10
Live and learn.
生きていれば学べます。

11/13/10
That's all that matters.
それが一番大事なの(他のことはどうとでもなる)。

11/14/10
My heart went into my throat.
心臓が口から飛び出しそうになった。

11/16/10
It will give you a leg up.
そうすれば有利になる。

11/17/10
What's holding him up?
何に手間取っているんだ?

11/19/10
I just can’t see that happening.
そういうことが起こるとは思えない。

11/20/10
Do you mind the dog?
犬がご迷惑じゃありませんか。

11/22/10
I was taken aback by it.
あれには面食らいました。

11/25/10
I'm not sure I entirely follow you.
おっしゃることがよくわからないんですが。

11/28/10
The devil is in the details.
細部をおろそかにすると痛い目に遭う。




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最近読み始めたブログ

2010.12.05 (日)



私はあまり他のブログを読まない。自分で書くほうが好きだし、他人の生活にそれほど興味が持てないせいもある。

目が悪いので、背景が濃い色だったり、文字が小さかったり、本文記事が広告に埋もれていたりすると、内容がどうのこうのという前に目が拒否してしまう。

以前は日本在住の主婦ブログをちょくちょく見に行ったが、いつのまにか読まなくなった。

ある人は、本を出したりテレビに出たりして、それでも手の込んだブログは更新されていた。でも、次第に受けを狙って無理しているのが伝わってきて、私のほうが疲れてしまった。

別の人は、やはり本を出したが、海外転勤を機に停止した。外国暮らしならではの話題を期待していたところ、何週間も更新されなかった。そのうち、病気になったのでブログをやめるという一言が載った。

あるマイナーな国の、これまたマイナーなブログを2つ楽しみにしていた。こちらは出版ともランキングとも無縁で、毎日とはいかなくても定期的に更新されていたのだが、間隔が開き始めて、途絶えがちになっている。

私が読むと呪いがかかるのか?!と思ったくらい、なんだか立て続けに消えてしまいそうなのだ。

どれも個人ブログなので、いつ止めようが当人の自由だ。忙しいのかもしれないし、単に飽きたのかもしれない。私のやらないツイッターに切り替えたのかもしれない。

しかし、まだ望みは捨てていないので、Google Reader に登録してある。もし更新されたら、そこに通知される仕組みである。


           *


そんなわけで、ここに紹介するのは、私の呪いなど物ともしないようなお三方。
(私が知っているくらいだから有名どころかもしれないが、やっぱり書く。)

http://neko-sos.seesaa.net/
猫ひきとりました。

週1回くらいの更新。16匹の猫を引き取った日本在住の女性。すべての猫に名前をつけ、どの猫もそっくりなのに、ちゃんと区別できて全員の名前を覚えているのに感心する。でも、ベタベタしていないところがいい。写真と動画に添えられた短い文章にクスッとする。猫好きの長男が羨望のまなざしを向ける、猫に囲まれた暮らし。こういうことができるのは独身の強みだなあと思ったら、結婚していたので驚いた。

http://nurebumi.cocolog-nifty.com/blog/
おたまの未亡人日記

ほぼ毎日更新。ただし、過去にしばらくお休みしていた時期があるらしい。バックナンバーが今年の2月からなので、まだ若いブログ。兵庫県出身の日本在住女性。私より少し年上か。昔の学校の話など、懐かしい。広告もランキングバナーもアクセスカウンターもなし。すっきりした画面と軽妙洒脱な文章(私には逆立ちしたって書けそうにない)。くだらない話でも、どことなく品の良さが伝わってくる。友だちがいて、句会に出て、旅行もしてと、私の予想する未亡人生活とは違うが、関西弁まじりの粋な語り口が楽しめる。

http://oharakay.com/
Books and the City
 本とマンハッタン

これはブログでなくて、URLからしてウェブサイトかもしれない。マンハッタン在住の文芸エージェントによる、出版業界の内部事情。本好きの私には興味深い話が続く。アーカイブは2000年2月までさかのぼる。3週間ほど空くときもあるが、その分アップロードされた記事は内容が濃い。歯に衣を着せない、切れのいい辛口の文体。帰国子女とあるので、バイリンガルと思われる。さすが出版に関わっているだけあって、日本語も英語もセンスがいい。


           *


「リンクフリーです」というブログは、勝手にリンクを張っていいと理解しているが、何の説明もないときはどうすればいいのか。

これまでNYタイムズやウィキペディア、あるいは商業サイトしか直接リンクを張ったことがない私は迷う。

「私のブログで紹介しましたので、お知らせします」と連絡するべきか。でも、そうすると、私が読んでいることがわかってしまう。それならまだしも、私が自分のブログに何を書いているのかばれてしまう。「こんなところで紹介されても迷惑です」と思われるかもしれない。

どうせ匿名だから、ばれるもなにもないのだが、ブログを通しての付き合いがない私はこんなことで悩むのだ。


<今日の英語>

That was a nail-biter.
あれにはハラハラさせられたよ。


G氏に頼まれた複雑なスプレッドシートを完成させた夫。なかなか思い通りに行かず、間に合うかどうか気をもんでいたらしい。文字通りには、爪を噛む人。接戦の試合やサスペンス映画、ジリジリする状況を形容するのに用いる。



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義母からの電話

2010.12.07 (火)



数ヶ月ぶりにカリフォルニアの義母リンから電話があった。

地理的に離れているせいもあるが、めんどくさがりの夫も私もほとんど親戚付き合いをしない。何か用事があるときに電話するくらいで、私は楽をしている。

しかし、夫には「自分のお父さんでしょ。もっと電話しなさいよ。」とせっつく。義父は私にとてもよくしてくれるが、やはり自分の息子と話すのが一番だと思うのだ。

子どもたちが小さい頃は、それでも1年に1回は遊びに行ったり(たまには他の親類と合流した)、あちらから来たり、私が子供たちの写真を送ったりした。

行けば行ったでどうにか過ごせるのだが(南カリフォルニアの食べものはおいしい)、どっと疲れた。昼寝はするわ、ゲストルームに閉じこもって本を読みふけるわで、マイペースを貫いてもだめだった。しかも、義父母はとても優しく、私の好きにさせてくれたのに。

私は他人といっしょに暮らせない。よくまあ20年以上も夫と生活してきたものだ。

夫の生母は30年以上前に病死したので、リンは夫の父の後妻である。

あっけらかんとした人だし、夫と血のつながりがない分だけ気楽にやれる。お互いファースト・ネームで呼び合い、姑という感覚はまったくない。しかし、しょっちゅう電話でどうでもいいことをおしゃべりする仲にはならなかった。


        *


アリゾナには夫の弟一家が住んでいる。こちらともめったに交流がない。

義父の家で会えば、子どもたちは仲良く、私は義弟や彼の奥さんと話をする。夫と弟は、子ども時代からのライバル意識から抜け出せず、すぐ言い合いになる。ふだんから電話もメールもしない。でも、なぜか義弟は夫の誕生日に必ず本を贈ってくる。夫は義弟の誕生日に電話をする。

義父母からは子どもたちへ誕生日プレゼントやクリスマス・プレゼントが届く。そうすると、こちらからお礼の電話をする。

ところが、2年前あたりから義父の聴力が急速に衰え始めた。

子どもたちには「グランパに聞こえるように、ゆっくり、大きな声で。」と言い聞かせるものの、結局夫が三者通話をして、叫ぶように言い直さないと伝わらない。それでも、わからないときがあるらしく、夫はイライラして、傍で聞いている私は気が気ではない。

義父は特に高音が聞こえないらしい。だから孫娘たちとの会話に一番苦労している。私はそれほど高い声ではないが、日本語なまりは聞き取りにくかろう。

夫あてにかかってくる電話を私が受ける。

kometto3 かね。元気にやってるかね。息子はいるかな。」 夫がいればすぐ代わるし、いなければ「あとでかけさせます」という。義父はどういうときでも、「そうかね。わかった。ありがとう。」と返事をする。

これは聞こえてないなとわかるが、私はやり過ごす。


          *


いろいろ持病もあるし、去年胆嚢の手術をしてさらに弱くなったのだが、しばらくして電話ではしっかりした力強い話し方に戻っていた。もともとが丈夫にできているのだ。

高齢の義父は気になりつつ、何週間もカリフォルニアに電話していなかった。

夫は感謝祭にも電話しなかった。あちらからもなかったが、ここ数年はリンの娘一家が住むユタ州でホリデーを過ごすことが増えていたので、今年もそうだったんだろうと思った。

「ハーイ、kometto3!みんな元気?感謝祭はどうだった?」と明るいリン。

「まあいつもどおりです。夫は薬が効いているみたいで、あいかわらず昼夜逆転ですけど、それは昔からのことですから。感謝祭はどこにも行かずに、うちでのんびりしてました。あなたたちはユタ州で?」

「ううん、今年はここにいたの。もう彼はそこまで行くのは無理だから。」とため息をついた。

パーク・シティにコンドミニアムを持っていて、年末年始にはそこで二人の娘たちといっしょに過ごしていたが、義父は山には行けないだろうという。じゃあ、二人だけでカリフォルニアに残るのだろうか。

「そんなに悪いんですか。」 義父は80を過ぎても飛行機や車で遠出していた。やはり去年の手術が堪えたのか。

「そうでもないの。でもね、オムツなのよ。あなたも知ってるでしょ。すごい臭いなの。」 

義父は5,6年前から膀胱のコントロールができなくなり、寝たきりではないが、オムツをつけている。2年前にカリフォルニアに遊びに行ったとき、見た目にはわからなかったし、義父はしっかりしていた。

でも、リンは「あなたたちがいるからよ。私だけだったら、オムツを替えないの。間に合わないのかどうか知らないけど、バスルームにこぼれたり。ほんとにくさいの。シャワーに入ってって何度も言うのよ。」と、文句を言った。

これはたぶん継子である夫には言えないんだろう。ほぼ他人で、しかも外国人の私だからここまで率直に話せるのだ。

リンは昔から「Cleanであること」を最重視していた。以前はハウスキーパーが毎日のように来ていて、いつも家の中はピカピカだった。年老いてきた夫が小だけでも粗相するのに我慢できないのもわかる。

「濡れているかどうか、わからないんでしょうか。感覚が鈍ってきたとか。」と老人介護などしたこともない私は聞いた。

「どうしてだかわからないわ。だから、おむつ替えなさいっていつも言ってるんだけど。とても飛行機は無理。この間の旅行だって、車の中で大変だったのよ。本人は平気なんだけど、窓を開けないとやってられないの」 リンは今頃になって、そんなことを打ち明けた。

あの頃は、ワンダフルでアメイジングな旅行だと言っていたのに。

「生死に関わることじゃなかったから、あなたたにちは連絡しなかったけど、バスムールで転んで頭をトイレにぶつけたの。2週間前。それで12針縫ったのよ。ハウスキーパーがいたときでよかったわ。私だけじゃ抱き起こせなかったもの。」

まったくの初耳だった。夫も知らないと思う。半年前には、台所で敷物につまづいて転んだんじゃなかったっけ。そのときも頭をぶつけた。今度も重症ではないが、かなりバランス感覚が失われてきたという。

「フィジカル・セラピストに家に来てもらおうと思ってるの。こんなにヨロヨロしてたら危なくって。ともかく動かさなくちゃ。私はなるべく外に連れ出すようにしてるの。車の中で座っているだけでもね。」

義父は86歳。リンは義父より15歳は若い。

活動的な彼女は不満かもしれないが、四捨五入で90歳の老人なのだ。私なんか50前なのに家から出ませんよと冗談めかして言おうと思ったがやめた。彼女はかなりストレスを抱えている。

まだ home health aid と呼ばれる介添え人は雇っていないという。義父は寝たきりではないし、ぼけてもいない。今のところ、小用のオムツの件だけが問題なのだ。それに、難聴。

どうも状況がよくつかめない。

オムツから漏れるのか。もっと頻繁に替えないとだめだということか。汚れたオムツをバスルームの床に捨ててあるのか。ちゃんとゴミ箱に始末してもやはり臭うのか。

スーパーには大人のおむつが積んであるが、私は一度も手に取ったことがない。生理用品と同じで、長時間用とか夜用とかあるんだろうか。そういうのも、やっぱり日本のほうが進んでいるんじゃないだろうか。アメリカの生理用品は最近かなりよくなったが(私が渡米した当時は粗悪さにショックを受けた)、アメリカの大人用おむつはどうなのか。


          *


「彼の具合はどうなの?」とリンに夫の様子を聞かれた。

私には本当のところはわからない。でも、義父のことで苦労しているらしい彼女に、余計な心配はさせられない。「前よりずっと安定していると思います。薬も飲んでいるし、カウンセリングも続けているし。」

「もうめまいとか、ふらついたりとかしない?」

「いえ、ほとんどないと思います。」と私。睡眠パターンがおかしいのと私に隠れてよからぬことをしている以外は、夫は病んでいるように見えない。薄情な私はたいしたことないと思っている。リンがそこまで心配するのが不思議なくらいだ。

もしかして彼女はもっと他に話したいことがあるんじゃないかという気がした。

「それはよかったわ。フランクが感謝祭のときに電話をくれたの。」と彼女は突然夫の弟の話をした。鈍い私はやっとわかった。そうか、夫にもっと父親のことを考えろと言いたいのだ。

リンは、夫の病状も休職中であることも知っている。継母としての遠慮があるところへ、精神的に不安定な夫に強く出られないのかもしれない。

「お父さんへメールを送るように言ってくれない? 電話よりメールのほうがいいと思うのよ。」

「補聴器はだめなんですか。」 答えがわかっているのに、前にも聞いたことを私は改めて尋ねた。「だめね。いろいろやってみたけど。聞こえてないのよ。だから、電話じゃだめだと思うわ。あなたのところ、スカイプはある?」

ありますとも!

私は使わないが、夫はヘッドフォーンからウェブキャムから一式揃えている。ルーマニア人じゃなくて、自分の親と話しなさいよ。

「顔が見えたら、少しは聞き取りしやすいかもしれませんね。夫は、精神科医のところに出かけているので、戻ったら電話させます。」

リンは機械に弱い。スカイプについても、近くの大学に通うためにしばらく同居している孫息子アンドリューにセットアップしてもらうという。


         *


アメリカ大陸の反対側に住む夫や私は、役に立たない。でも、リンにすべてを任せることはできない。実の父親のことなのだから、夫とフランクが継母と話して、これからのことを決めなくてはならない。

15歳年上の夫と結婚したときからわかっていたのだろうが、義父の衰えが現実のものになって、リンは不安そうだ。やはり義理の息子たちに頼りたいのだろう。前々から、「大の始末ができなくなったらナーシング・ホームよ」と私に打ち明けていた。彼らにはそこまではっきり話していないかもしれない。

フランクはアリゾナだから、まだしも近い。性格的にも、夫より積極的に父親に関わっている。しかし、彼には4人の子供がいて、一番下はまだ小学校。親の老後と自分の子育てが重なった sandwich generation である。

うちだって、これから二人を大学にやるのだから同じだ。

夫は結婚が遅かったのに、私が子どもを産む気になるまでさらに5年かかった。もちろん、当時は20年後にどうなるかなどと考えなかった。

私が30を過ぎても子どもを持たなかったので、日本に帰ったとき「ほしいなら、子どもは若いうちに産んだほうが楽でいいわよ。」とおせっかいな叔母に言われた。ほっといてくれと私は思った。今頃になってわかった。

でも、私や夫にはまだ時間がある。

私は介護にはまったく不向きだが、せめてリンの話の聞き役にはなれる。今度は私から電話してみようか。

彼女は実の娘が二人いて、毎日何度も電話する仲だ。きっと義父の様子も逐一話しているだろう。長女は車で1時間のところに住んでいる。でも、リンには他にも発散するルートが必要だという気がした。

介護に無縁な私には、彼女のストレスや疲労は想像するしかない。いつも明るい彼女の声に、神経質な響きがあったのが引っかかる。


<今日の英語>

I'm with you.
同感です。


85歳の老人が歩行者をひき殺し、気がつかずにそのまま走り去った事件で、「高齢者には再度ドライビング・テストを義務付けるべきだ。」という意見に寄せられた賛成のコメント。相手の発言に対して強く同調するときのカジュアルな表現。



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健康保険の迷路

2010.12.08 (水)



例年より1ヶ月半も遅れて、やっと来年度の健康保険に登録できた。例によって、夫はこういう事務処理は私に一任している。

夫の会社から「医療保険改革法案の影響で遅くなる」という手紙が届いていたのだが、中間選挙以降、あの法案はどうなったのかさっぱりわからない。

うちの2010年度の毎月の保険料(家族4人分)は

Medical 92ドル
Dental 60ドル
Vision 30.15ドル
---------------------
合計182.15ドル


いろんなオプションがあるが、結局どれにしても、自己負担額がどうの、ネットワーク内の医者がどうの、差し引きしてみるとたいして変わらない気がするのだ。悩むだけ時間の無駄。今のプランでそれほど支障がなければ、別に変えなくてもいい。

2011年度の毎月の保険料は、こう出た。

Medical 162ドル
Dental 61ドル
Vision 38.85ドル
---------------------
合計261.85ドル


今年に比べて、1ヶ月当たり79.7ドル、1年で956.40ドルの値上がりとなる。

今年92ドルだったMedical(歯科・眼科以外の医療)が162ドルになったのが大きい。8割増しである。これでも会社が半分以上を負担しているし、会社単位のグループ保険なので、保険料も安いはずなのだ。


          *


夫は、休職中もこれまでと同じように会社の健康保険を利用してきた。

しかし、それにも2年間という受給期間の制限があり、来年の3月に切れる公算が大きい。夫が精神科医から聞いたところによると、自動的にMedicare(高齢者向けの公的健康保険)に切り替えられるとのことだった。

なんだかややこしくなってきたなあと思っていたら、もうメディケアのカードが届いた。社会保障庁は、カードが有効になる3ヶ月前に書類を郵送するそうだ。

しかし、同時に会社の健康保険にも申し込んであるし、夫はともかく、私と子どもたちはメディケアは使えない。夫が退職して18ヶ月間はCOBRA という形で今の保険が使えるはずだが(ただし、保険料は会社が出していた分も自己負担)、2年間も休職していた従業員にも適用されるのかどうかわからない。

どっちみちメディケアは3月にならないと使えないのだから、年明けに登録するつもりだった。

ところが、精神科医から戻った夫が「ドクターGがすぐに申し込めと言ってたよ。遅くなれば、それだけ高くなるそうだ。」とせっつく。そして、AARPのPlan Fにも加入するように勧められたという。

AARP(元はAmerican Association of Retired Persons 米国退職者連合が正式名称だったが、1999年にAARPを正式な組織名とした)は、1958年設立の高齢者擁護を目的とする非営利組織で、最強のロビー団体の1つでもある。加入資格は年齢が50歳以上。年会費は16ドル(3年分まとめて払うと、43ドル。5年分なら63ドル)。現在の会員数は4千万人。

会員向けの雑誌や割引特典、保険・金融商品などを提供している。メディケアが適用しない疾病や処方薬をカバーする保険を提供したことで、注目されるようになった。

ドクターFは、メディケアだけでは不十分なので、AARPのプランにも入っておけと夫に忠告したのだ。


            *


しかし、メディケアだけでもPart A、B、C、Dに分かれている。

おおまかにいうと、Aは入院、Bは外来や予防医療、Dは処方薬。CはMedicare Advantage Planという別名があって、メディケアが承認した保険会社が提供し、Part AとBの範囲と、ふつうはDもカバーしているが、いくらか追加費用がかかる(らしい)。

なぜか夫が受け取ったメディケア・カードでは、AとBしか認めていない。つまり処方薬は自分で払えということか。公的保険なのに、どうしてこんなことがまかり通るのだろう。

しかし、躁鬱病と高コレステロールのために夫はいくつも薬を飲んでいる。自腹を切っていたら、破産してしまう。

それでAARPが登場するのだが、こっちもメディケアと同じくらい複雑だった。

Plan Fというのだから、AからFまで6つはあるなと覚悟していたら、MediGap(メディケアがカバーしない部分のギャップを埋めるための保険)はPlan L(!)まであった。何を何パーセントまでカバーして、限度額がいくらで、と細かい規定がある。

高齢者が本当にこれをすべて読み、理解して、正しい選択をしているとは思えない。

とりあえず、夫に必要らしいPlan Fの概要だけざっと読んだが、肝心の処方薬についての記述が見当たらない。

さすがに高齢者向け情報サイトだけあって、メディケアもAARPも大きなフォントを使っていることだけはありがたい。でも、パソコンの苦手な義母などはどうやってメディケアのややこしいウェブサイトをナビゲートしたらいいのだ。

どうしてアメリカは一般市民にこんな重要なことを任せておくのだろうか。

日本のように、市役所ですぐに保険証を発行してくれるようなサービスはまったく期待できない。本当におちおち病気にもなれないし、年も取れないのだ。

【関連記事】
自分で選ぶ健康保険 2010.10.30
予想外の遅延 2010.11.05


<今日の英語>

There is not much wiggle room.
あまり余裕がありません。


フルタイムで働いているが、自由にお金を使えるほどには生活に余裕がなく、結婚に踏み切れないというカップルがインタビューに答えて。wiggle は、体の一部を小刻みにくねくねぴくぴく動かす。



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だんだん短くなる日本語

2010.12.09 (木)



英語の比重が大きい生活をしていると、日本語のよさに開眼することがたびたびある。擬音語や擬態語もそうだし、外来語もそう。イメージを凝縮し、かつ解き放つ俳句にも今さらながら感心する。

最近気になるのは、省略機能である。

私が日本にいたころから、personal computer はパソコン、convenience store はコンビニだった。

もっとも、日本のコンビニほど優秀なconvenience store はアメリカにはない。もはやコンビニは  convenience store を超越した存在である。もしうちの近くに歩いていける(日本の)コンビニがあったら、私の生活はどれほど充実することか。

apartment をアパート、department store をデパート、notebook をノート。

これらは英語と意味が違う。apart は離れて、depart は出発する、noteはメモ(他にもいろんな意味がある)。だから、アメリカ人に「note をください」と頼んでも、帳面は出てこない。それでも、省略したことで使いやすい日本語になった。

remote controller がリモコン(アメリカでは単に remote と呼ぶ)で、air conditioner がエアコン(アメリカではA/C エーシーと読み書きすることもある)。

Sexual harrassment
がセクハラだと子どもたちに言ったら、「なに、それー?」と苦笑いされた。エアコンとリモコンは聞きなれているので、違和感がないが、そうでない場合はまったく結びつかないらしい。私にはそのほうが不思議だ。

ちなみに、リモコンは夫の数少ない日本語語彙の1つである。ただし、夫がいうと「リーマカーン(アクセントは最初にあり、全体に抑揚がありすぎ)」となって、私は居心地が悪くなるのだが、本人は努力しているらしいので、そっとしておく。


         *


夫が歯医者をドタキャンしてペナルティを払わされたことを次男に話したとき、「ドタキャンってわかる?」と念のために確かめた。

ふだんの生活で使わない言葉なので、初耳だったかもしれない。首をかしげている。

「土壇場でキャンセルするってことよ。土壇場ってわかる?ギリギリってこと。」

「わかった。last minute でしょ。」

土壇場は「首切りの刑を行うために築いた土の壇」のことなので、last minute では迫力がない。それにしても、江戸時代からの土壇場と英語のcancelを切ってつなげる日本語の柔軟さに舌を巻く。

(英語が入ってくる前は「ドタキャン」はなんと呼んでいたのか気になる。常識のない人間はいつでもどこでもいるから、江戸時代にもやたら直前に予定を取りやめる輩がいたはずなのだ。)

漢字が混じる略語はレベルが高い。それに、FBIやNATOみたいに頭文字だけを取るのとちがって、元の意味がなんとなくつかめるという優秀さ。

お見事なのは、トンカツ。

Pork Cutlet が豚カツレツになって、豚を音読みにして、トンカツ。うちでは Tonkatsu も英語になった(夫は、トーンカッツー)。食べ物の名称は、輸出入しやすいらしい。

そのうち地デジという言葉が出てきた。

地上デジタルテレビ放送をたった3文字にして、しかも元の意味が残る。

英語でも、たとえばNeo ConservativeをNeo Con と呼ぶし、MADD(Mothers Against Drunk Drivers 飲酒運転根絶を目指す母親たちの会)はmad(激しく怒っている)という形容詞と掛けてある。

マンハッタンのSoHo(ソーホー)は South of Houston. TriBeCa(トライベッカ)は Triangle below Canal Streetとちと厳しいが、イタリア風のおしゃれな響きがいい(行ったことがないので、単なるイメージ)。

しかし、日本語ほどの柔軟性も汎用性もない。


          *


さすが日本語と感心していたが、最近は変化が激しくてついて行けないという危機感もある。

しょっちゅうネットで日本語サイトを見ていても、わからない言葉が増えてくる。省略の度合いが大きく、新語が浸透するスピードも速い。

携帯電話が携帯。メタボリック・シンドロームがメタボ。メールマガジンがメルマガ。このへんまでは大丈夫だった。(メールがメルになったのは奇妙だが、パーソナルがパソになったのと同じか。たぶん時間が経てば慣れる)。

日本語のニュースサイトを見て、どうもよくわからないときがある。

たとえば、ワンセグ。

文脈から、放送に関係する言葉ということだけ理解できた。日本の放送は私には関係ないので、そのままにしてある。英語のone segment から来ているらしいが、アメリカ生活でone segment と聞くと、たとえばニュース番組の中のある1つの区切りを思い浮かべる。朝の2時間番組の料理コーナーは、cooking segmentである。

しかし、最近の略語はなぜか情緒がない。

いつから就職活動が就活になったのだろう。婚活は響きが美しくない。急に字数制限が厳しくなったとも思えないが、やたら短い。

しばらくKYというのがよく出ていた。空気が読めないと言う意味らしいが、日本語をローマ字の頭文字にしたのが不気味だった。一時期の流行語だったのか、この頃はあまり見ない。


           *


日本に住んでいる人は日ごとに変化する日本語の中にいるので、気にならないのかもしれない。

自分のこどもは少しずつ大きくなるのを日ごろから見ているのに、久しぶりに会う友人の子どもが急に大きくなっていて驚くのと似ている。

たとえば、くるねこさんの実家の白い猫ミーちゃんが「キモ。」ときつい目をして言う。「きもい」の「い」を落としている。

「早(はや)」あるいは「早っ(はやっ)」もよく見る。

なぜか赤ん坊が「ベビ」になる(実際にそう呼ぶのは聞いたことがない)。ベビーではない。「ー」がつかないのだ。目の悪い私は「うちのヘビ」と見まちがえて、蛇を飼っているのかと早とちりしたことがある。

レシピのサイトで「リピします」と出る。繰り返すのリピートだなとすぐわかったが、見るたびに「うわっ!」とのけぞりそうになる。ぜんぜん慣れない。

それにしても、漢字とひらがなとカタカナと外国語を自在に混ぜ、切ったり張ったり(コピペ?)しながら独自の進化を続ける日本語こそ、ガラパゴス化の本家本元じゃないだろうか。

【関連記事】
「ピリッとくる」を英語で 2010.11.29
最近気になる日本語 2010.04.08
アメリカから見たカタカナ英語 2009.06.23



<今日の英語>

I have this thing about fresh newspapers.
配達されたばかりの新聞にこだわりがある。


日曜日の過ごし方について聞かれたある女医さんの一言。「朝はまずシャワーに入って、そのあとすぐに新聞を取りに行きます。家族の誰よりも先に読みたいものですから。届いたばかりで、誰も読んでいない新聞でないとだめです。」



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長男のガールフレンド?

2010.12.11 (土)



3週間前、半年ぶりに日本人の友人Kさんと会った。

彼女の息子さんはうちの次男と同い年だが、よくモテる。ミドルスクールの頃から年上の女の子に追っかけられていた。

メールを監視していた友人によると、女の子のほうが積極的で、息子さんはよくわからないまま、つき合わされていたらしい。Kさんは迷惑そうだった。

うちは長男も次男もいつも男の子とばかりつるんでいるので、女の子とトラブルを起こす心配はないものの、女の子にまったく相手にされないのも別の意味で気がかりなのである。

Kさんの息子さんとガールフレンドはその後どうなったのか、聞いてみた。

「それがねえ、振られたみたいなのよ。」

「どうして? 何かあったの? だって、あっちから付き合ってくれって言ってきたんでしょ。」と急にオバサン根性丸出しの私。

「そうなんだけど、付き合うの止めましょうって言ったのもあっちなのよ。もう、ああいう年の女の子って、なに考えてるのかしら。うちの息子なんかびっくりしちゃって、What did I do? What did I say? なんて返事書いてたのよ。あー、終わってよかった。」とKさんはやっかい払いができたと喜んでいた。

彼女はいまだに監視を続けている。もっとも息子さんはコンピュータに強くて、監視ソフトのパスワードやら、アクセスを禁止するフィルターなど、ことごとく破られているそうだ。パソコンの苦手な彼女は、ときどきお店に持って行って調べてもらっている。

私にはそこまでの根気はない。

子どものPCにはK9 Web Protectionを入れたが、どの程度まで規制できているかどうか疑わしい。インターネットには、親にはわからない子ども専用の抜け道がどこかにある気がしてならない。

だいたい、テレビでもかなりきわどいものを流しているし、なんでもかんでも見るな!では余計に見たくなるんじゃないだろうか。それに、ティーンエージャーが異性にまったく興味を示さないのも不自然だ(同性愛者の場合は別)。セックスレスの私が言うのもなんだが、人類の存続には必要なステップなのである。

ご近所の女の子たちは、ときには手をつないでボーイフレンドと歩いていたり、朝はボーイフレンドが車で迎えに来たり、すっかり色気づいている。うちの息子たちが、そういう免疫がないまま、いきなり家を出て大学に行って、とんでもない女に引っかかったらどうしよう。

「大丈夫よ。ハイスクールのうちからベタベタされたらたまんないわよ。うちのリビングルームでそんなことされちゃ、いやじゃない?」とKさんに諭された。

それもそうだ。

うちは女の子よりゲームに夢中。そして、プレイデートは男の子とだけ。映画を見に行くのもバースデー・パーティも男同士。健全ではある。


            *


先週、私のプリンターで歯医者へ出す用紙を印刷しようとしたら、うまく行かなかった。

急いでいたので、長男のプリンターを借りることにした。長男の部屋の机には、いつもラップトップが置いてある。パスワードがかけてあるのに、なぜか何もタイプしないでそのまま使えることが多い。蓋を開けてみたら、やはりウィンドウがいくつも開いた。これではセキュリティもなにもない。

またゲームをしていたんだろうと思ってみたら、チャットとGmailの画面も出ていた。チャットにはジャックとジェイクの名前があり、学校の課題についてのやり取りが続く。その合間に、「彼女からメールがないんだけど、どうしてだと思う?」という長男のエントリーが見えた。

彼女って、誰よ?!

「彼女はおまえには興味ないってことだよ。」とジェイク。

「ぼく、何かよくないことを言ったのかなあ」と長男。Kさんの息子さんと同じパターンである。

「何も言わなくても、女ってそうなんだよ。」と息子より経験があるのか、どこかで仕入れた知識かを披露するジェイク。その合間にも、課題のどの部分を誰が担当するかの相談がある。スクロールしていくと、また彼女の話になった。

「アナスタシアとぼくは、お互いのニックネームをつけたんだよ。イエーイ!」と長男。

「何だよ。それ。」とジェイク。

「教えてやんない。でも、ぼくはすごく気に入ってるヤツ。」

彼女から返事が来たのか。まだフラれていないらしい。

その後も少しやり取りが続いたが、その夜は学校でスポーツ関連の表彰式があり、長男とジェイクたちが撮影をすることになっていた。「今、家を出るから。オーディトリアムの前で待ってなよ。」で終わっていた。もちろん私が学校まで送っていったのだった。


           *


これまでガールフレンドの話は長男の口から一度も出なかったので、本当に驚いた。

うれしさと不安と半分ずつだ。

体が小さく、スポーツも苦手で、アメリカのハイスクールでモテる要素がない長男に好意を寄せてくれる女の子がいるという事実にほっとする。

どれくらい付き合っているのか。どんな女の子なのか。何年生なんだろう。名前も聞いたことがない。寒くなる前、長男が所属する放課後のクラブが公園に集まったことがあった。そこに女の子が5、6人いたのを思い出した。その中にいたのかもしれない。

長男はどこに行くにも私が送り迎えしているし、私の目が届かないのは学校にいる間だけだ。この間、シニアの子のサプライズパーティに呼ばれて、初めて誰かの家に連れて行ったが、親御さんもいて、男の子と女の子と数人がいて、3時間くらいで「お迎えに来て」の電話があった。「誰が来たの?」と聞いたとき、そんな名前の女の子はいなかった。

長男のパソコンにはgmail も開いたままだった。こういうウッカリは夫のDNAである。こんな無用心なことでどうする?

整理整頓の苦手な長男の受信箱には700通以上が入ったまま。しかし、アナスタシアとの通信はすぐわかった。冒頭部分だけが見える。

「もう病気はいやだよー」というのは珍しく喘息の咳が出たときだ。

「寝たほうがいいよ」

「おやすみー」

ままごとみたいなやり取りがちらほら見える。

私が読んで赤面するようなことは書いてなさそうだ。メールを開いて読もうとは思わなかった。

しかし、最近長男が遅くまで起きていたのはこのせいか。朝も眠そうだし、咳のせいもあって疲れて見えたが、少し釘を刺しておかねばならない。


           *


長男にガールフレンドがいるらしいということは、まだ夫に知らせていない。

私より動揺しそうな気がする。あるいは、勉強が先だ!なんて言い出すかもしれない。好きな子のために頑張って勉強するのもありだと思うが、これまで夫と「息子たちのガールフレンド」について話したことはない。

子どもたちにも、この件は黙っていることにした。長男はチャットを読まれたと知ったら怒るだろうし、次男は自分がそうなったら用心深く隠すようになるかもしれない。もう少し、知らん顔しておこう。

しかし、この女の子に会ってみたいなあと思う。

アナスタシアといえば、ロマノフ朝最後の皇女の1人。ラストネームはなんというのだろう。私がロシア好きだから、長男もロシア風の名前の子を選んだんじゃあるまい。

どんな子かなと想像が膨らむ。

優しい子だったらいいなあ。おへそを出していたり、刺青をしていたり、厚化粧をしていたり、ガムをくちゃくちゃやってたらどうしよう。

ごく小さいときをのぞき、うちに来るのは男の子ばっかりだった。そのうち女の子が遊びに来るかもしれないと思うと、落ち着かない。うちは、私と妹猫以外、オスばかりなのだ。

猫アレルギーだったら困るな。うちの猫たちは怖がりだけど、女の子にならなつくかな。引っかかないように、爪を切っておかねば。

長男の部屋はもっときれいにしないとみっともない。どんなお菓子を出そうか。緊張するだろうから、夫には部屋から出てこないように言おうか。いや、あんがい女親のほうにもっと気を使うかもしれない。じろじろ見ないようにしよう。

ファーストネーム以外はなんの情報もなく、実際どういう間柄なのかわからないのに、そわそわしてしまう。

親になって16年も経ったのに、いまだに新米と同じだ。

次から次へと、未知のできごとに遭遇して右往左往する。特に長男は最初の子なので、何事につけ、いつも練習台だった。そして、次男が同じことをする頃には、余裕が出てくるのだが、今回はどうなることやら。


<今日の英語>

The anesthesia did not seem to take.
麻酔が効かなかったみたいだ。


歯医者でscalingをしてきた夫。かなり深いところまで徹底的にクリーニングをするため、歯茎にNovocain(麻酔剤)を塗られ、局部麻酔注射もされたらしいが、なぜか効かなかったという。ありえないと思うが、夫はこう主張していた。



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命名 バフィ

2010.12.13 (月)


1ヶ月ほど前、ブルガリア首相がプーチンにブルガリアン・シェパードを贈った。そのときの記事はこちら

その後、ロシア中から犬の新しい名前を「民主的に」公募していたのだが、このたび正式発表があった(写真は pravda.ru より)。

Yorgo 改め Баффи(Buffy)。

Buffy1


ブルガリアで手渡されたときは2ヵ月半だったが、すでにかなり大きかった。この1ヶ月間でさらに一回り、いや二回りは大きくなったように見える。大型犬の成長スピードにたまげた。

でも、まだ子犬の顔だ。あいかわらず、かわいい。

Buffy2

しかし、この犬はなんだかとぼけた顔をしている。

モフモフの体とこの顔には、バフィという名前がぴったりだ。プーチンのもう一匹の愛犬が、いかにも彼が飼いそうな精悍なブラック・ラブなのと対照的。

プーチンによると、「バフィは何一つ芸をしない」とのことだが、3ヶ月半の犬には無理じゃないだろうか。でも、取材した記者はちゃんとお座りしたと書いているし、きっとモスクワ一の訓練士がみっちりトレーニングしてくれる。

こんなに愛嬌のある犬ならなにもできなくても許せると思うが、コニーの耳を引っぱったりして大変なのだそうだ。

そういうコニーも、クレムリンを引き綱なしで歩き回り、首脳会談にも顔を出し、ミーティング用のお菓子をこっそり平らげたりしている。甘やかし放題である。

プーチンが大統領だったとき、こんなエピソードがあった。

大勢のジャーナリストと会見場に向かうプーチンに、同行を禁止されたコニーが吠えた。ある独立系のロシア人女性ジャーナリストが、「ここにいる人間のうち、大統領に向かって吠えることのできる人は何人いるかしら。」と発言して、その場は凍りついたという。

プーチンはコニーを黙らせようと何度か号令をかけたが、犬は自分も連れて行けと吠え続けた。すると、先の女性が「ここにいる人間のうち、大統領の命令に逆らえる人は何人いるかしら。」 

ロシアにはこういうアネクドートがあるから、楽しい。

子犬の名前を募集したとき、メドヴェージェフ、ポロニウム(暗殺用の毒)、ラスプーチン、KGBなどあちこちで皮肉られた。私はライカ(スプートニク2号で宇宙に行った犬)がいいと思ったが、生還しなかったのでは縁起が悪い。


           *


バフィに決まってからも、アメリカのサイトではおもしろがって他の名前が挙げられた。

「オバマ」という提案に何人も賛同していた。冗談にしても、現職のアメリカ大統領をロシア首相の飼い犬にするとは、それだけオバマの権威が失墜したのだ。

「アメリカにも強いリーダーを!」「オバマとプーチンを取り替えろ!」というのもあった。独裁だのなんだの言われても、プーチンのカリスマ性とリーダーシップは羨望の的になりうる。

中間選挙で大敗し、ブッシュ政権の減税延長で共和党と妥協し、そのために民主党内部でも反発を買い、11月の失業率は0.2ポイント悪化して9.8パーセント。

ここからどうやって抜け出すのかと思っていたら、ビル・クリントンを担ぎ出した。

ホワイトハウスで会談しただけならともかく、公式記者会見にも同席させた。クリントンが約7分のスピーチを終え、質疑応答が始まったところで、オバマは「ミシェルを30分も待たせているから」と口を挟んだ。

クリントンは「彼女を怒らせたくないですね。どうぞそっちに行ってください。」とオバマをホリデーパーティに向かわせた。

あとはクリントンの独壇場である。

減税問題から、ロシアとの軍縮やハイチ復興まで、少なくとも20分は楽しそうに話し続けた。クリントンは、本当に大統領の仕事が好きなのだ。モニカ・ルインスキーとあんなスキャンダルを起こしながら、引退したあとも頼られるのは、それだけ今も影響力を持っていることに他ならない。

これでは、かえってオバマのリーダーシップが疑問視されてマイナスだと思うが、もうそんなことは言っていられないほど追い詰められているらしい。

「クリントンのときは景気がよかったなあ。」と私は個人的なノスタルジーにひたった。


            *


エリザベス・エドワーズが61歳で亡くなった。

もう治療しても意味がないという発表から何時間もしないうちだったので、驚いた。生命維持装置を外したという報道もある。

大統領選挙中に浮気して隠し子までいた夫のジョン・エドワーズとは1年前に別居したが、まだ離婚していなかった。16歳の長男が亡くなったあと、ホルモンの集中治療を受けてもうけた二人の子どもはまだ10歳と12歳である。

葬儀でスピーチをした長女ケイトは28歳。自分の母親が父親にどれだけ苦しめられたか、じゅうぶん理解できる年だ。

最初の報道では、エリザベスが息を引き取ったとき、ジョンもそばにいたとあった。「出てってよ!」とは思わなかったのかなと考えていたら、その後、もう話もほとんどできないのに、ジョンとケイトの手を握って "I'm OK. I'm OK." と二人を交互に見ながら繰り返したという記事があった。

死ぬ間際には夫を許したのだろうか。あるいは、意識が薄れて何もわからなくなっていたのかもしれないが、家族のことを第一に考えていた人だというから、自分より残される家族を気遣っていた様子が伝わってくる。

私がいま死の床にあったらと考えた。

夫を許す許さないどころか、こんな利己的で怠け者の私によく20年も耐えてくれたなあとたぶん感謝する。それほど私は結婚以来、好き勝手にやってきたのである。

もっとも、このところ夫との間がとても平穏だから、そんなふうに思えるのかもしれない。

ジョン・エドワーズは、葬儀ではスピーチをしなかったし、何の声明も出していない。おそらく何を言っても、嘘に聞こえる。浮気や隠し子のことを白々しく否定していたように。

私は政治家が人格者であるという幻想は持たないが、ああいう男が大統領にならなくてよかった。

それに比べたら、オバマはまだ救いがあるけれど、この不景気から抜け出さないことにはどうしようもない。クリントンから一歩下がり、前に両手を重ねて神妙な面持ちで立っているオバマは、大統領に見えなかった。

バフィの話からだいぶそれてしまった。そういえば、オバマの飼い犬の話はニュースにもならない。

【関連記事】
犬も好き 2010.11.16
まだ続いていた隠し子騒動 2009.09.27




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冬眠願望

2010.12.14 (火)



このところ、どうもやる気が出ない。

いつものことだが、先週から特にひどい。

体のどこが悪いというのでもないのに、何をするのも億劫で、自分を叱咤激励してどうにか1日をやり過ごしている。家事はふだんよりさらに手抜きなのだが、夫も子どもたちも気にしない性質なので、誰も文句は言わない。

なぜかブログは書ける。

文章を読んだり書いたりするのが根っから好きなのだ。それに、小難しいことを考えたり、体を動かしたりするのが面倒なのであって、どうでもいいことを漫然と書き連ねるだけなら、エネルギーも集中力もいらない。

しかし、最近、話があっちこっちするという気はしている。

これが「更年期まっただ中」というものだろうか。

体の中に生殖機能のためのドアがたくさんあって、40年近く開けたり閉めたりしていたのが、1つずつ大急ぎで永久に施錠されているような錯覚を覚える。体のあちこちで何かがシャットダウンしているのだ。

なぜか1日中とても眠い。

専業主婦なので昼寝ができるが、寝足りない。痛くもない頭がずっしり重い。ブログを書きながら、うつらうつらする。

熊みたいに、このまま冬眠したいなあと思う。「目覚めたら、春でした」なんて最高。それに冬眠中は食べないから、きっと痩せる。ものぐさな私でもできそうな冬眠ダイエット。


          *


まだ本格的な雪は降っていないし、気温もそれほど下がっていない。厳しい冬はこれから。

気候がよくても出不精な私は、冬の間はますます閉じこもりがちになる。

食料品と生活必需品以外は買い物に行かない。第一、この寒いのに出かけてまで手に入れたいものは、ほとんどないのである。ホリデー・セールの広告が山ほど届くが、クリスマスギフトを贈らない私には関係ない。念のため、20%オフのクーポンだけもらっておく。

子どもたちの習い事やプレイデートは私が送り迎えをせねばならない。休んではレッスン代がもったいないので、出かける。出かけたついでに、買出しもする。「よーし、これで明日はどこにもいかなくてすむぞ。」と思う。

出かけるのが好きな人たちには理解できないかもしれないが、こういう人間は確かにいるのだ。

鬱ではない。

毎日一錠飲んでいる精神安定剤は、文字通り私の精神状態を一定のレベルに保っている。これまで何度も錠剤を半分にしてみたり、1錠に戻したり、ごくたまに2錠に増やしたりしてきたが、この10年間、完全に止めたことはない。

次男が大学に入って家を出たら、少しずつ減らしていこうとなんとなく予定している。急に止めると、禁断症状が起きて危険らしい。

まだ小さかった子どもたちを連れて里帰りしたときに、3週間くらいかけて徐々に減らしてみたことがある。それでも、神経が極度に過敏になり、居ても立ってもいられないような焦燥感や、頭痛とも吐き気ともわからない奇妙な離脱感に襲われた。そうこうするうちに、別の理由で再び鬱状態になって、それ以来ずっと服用している。

主治医は「もう止めてもいいですよ」と言う。でも、万が一ひどい鬱がぶり返して、子どもの送り迎えや食事の支度ができなくなったら困る。

更年期と抗うつ剤の関係はよくわからないが、今は止めるときではないと思う。


          *


いくらでも手抜きできて、しかも苦情が出ない家にいると、「今日はご飯を作りたくない。」などと平気で言える。

母は「そんなおっかさんがあるかね!」と呆れる。

いるんです、ここに。しかも、専業主婦で。

ただし、私みたいなぐうたら人間が専業なんておこがましい。真剣に家事全般に取り組むプロの専業主婦は、いっしょくたにされて迷惑だと思う。あえて言うなら、有閑主婦か。

ここ1週間、あまりに適当なご飯が続いたので、まともな夕食を作ろうと思った。思ったが、やる気が出ない。そういうときは、私は朝から皆に宣言することにしている。

「今日の晩ごはん、知ってる? トンカツよ。トンカツだからね。すごいでしょ、トンカツよ~!」とふれ回る。そうやって自分を追い込む。

豚肉を買って、小麦粉つけて、卵つけて、パン粉つけて、油を出して、揚げる。片付けもある。考えただけで気が遠くなるが、予告したからにはやらねばならない。こういうときに限って、厚い肉しか売っていなかった。

肉が厚すぎて、最初の1枚は中に火が通っておらず、半分に切って揚げ直し。キャベツの千切りはまるで短冊。

ふだん手抜きをしていると、こんなのでも「おいしい」と感謝感激してもらえる。

でも、私は肉を食べないので、出来具合がわからない。

よくよく聞くと、薄切りのトンカツは油が中にまでしみてギトギトするのだそうだ。厚いほうがおいしいと言う。「そういうことは早く言ってくれないと困るじゃない。」と理不尽な要求をしつつ、また明日からどうやって手抜きしようかと考える。


<今日の英語>

Stay warm.
暖かくして過ごしなさいよ。


テニス・スクールの受付のおばさんに帰りの挨拶をしたら、こういう返事が返ってきた。



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遠のく国民皆保険

2010.12.15 (水)



バージニア州の連邦地裁が、オバマ大統領が今年3月に署名した医療保険改革法案のうち、「国民に加入を義務付け、未加入者には罰金を科す」という条項に違憲判決を下した。

判決の根拠は、健康保険の商品としての側面を重視したもので、民間会社から保険を購入するかしないかは個人が決めるべきであり、連邦政府にはそれを強制する権限はないというのだ。

訴えていたのは、バージニア州の Attorney General (司法長官)。

日本で県の検察トップが国を訴えるなんて、たぶんありえない。こんな裁判にかけるお金をそっくり医療保険に回せばいいのに。

当件については他でも訴訟中らしいが、これまでに判決が出た2件はいずれも合憲だった。1件目はミシガン州の住人数名、2件目はバージニア州のキリスト教系私立大学が起こした訴訟に対する判決だった。

さすが訴訟大国。

どいつもこいつも、誰かを訴えることだけはさっさとできるらしい。

中間選挙で民主党が大敗してから、共和党に改革法案撤廃あるいはやり直しを押し切られそうな雰囲気はあった。

判事は義務化条項(保険に入らないと罰金)が違法だと判断しただけで、改革法案全部がダメといっているのではない。

でも、全員が入らなかったら皆保険にならないし、保険料や医療費の負担に偏りが出る。結局、会社の保険がなくて、お金がなくて、持病があってという人だけが加入したのでは成り立たないくらい、私でも想像がつく。

それにしても、国民のために政府が後押ししている医療保険を商品ととらえるこの感覚にはついていけない。

これに便乗して、現在義務付けられている自動車保険も違法にしろなどと叫ぶ人まで出てきたが、自動車を運転することは権利ではなくて特権なので、取り扱いが違うのだそうだ。


           *


しかし、もし訴えられたら、違法判決が出る可能性は予測できたはずである。

ワシントンにあれだけ大勢の弁護士がいて、どうしてあっさり覆される法案しか作れないのか。

そもそも、これは公的な健康保険制度というより、あくまでも民間の保険会社が売っている保険商品である。政府は加入しやすいように補助金を出したり、保険会社を規制したりして、お手伝いするだけ。

最初からまともな社会保障制度としての国民皆保険を作ればいいのだが、なぜかそれができない。アメリカには世界中から最高の頭脳が集まっているのではなかったか。

今回の違反判決に喝采を送る人たちも少なくない。

そういう人は病気になったらどうするつもりだろう。

ちゃんと勤務先が保険を提供してくれるか、自費で高額の私費保険に入ることができるならいいけれど、単に政府にコントロールされるのはいやだ、あるいは他人の保険料や医療費を負担するような強制加入はいやだという理由で入らないのは無責任すぎる。

今だって、無保険の低所得者がERにかけこみ、支払いができない場合は、他の人にしわよせがいっているのに。

低所得者用の公的医療保険(メディケイド)はあるのだが、それをもらうには収入が多すぎ、自分で買うほどのお金はない人たちもいる。あるいは、お金のかかる持病があって、治療費が限度額を超えてしまい、もはや保険会社が払ってくれない人たち。

ギリギリになってERにかつぎこまれるから重症で、さらに医療費が増える。

もっとも、ただの風邪や腹痛でERに行って、お金がないからと無銭飲食ならぬ無銭医療で平気で立ち去る連中の話も聞く。

公的医療保険制度が整備されていない先進国はアメリカだけである。制度が機能するかどうかの問題以前に、制度自体が存在しないのだから恐ろしい。


            *


公的な国民皆保険の失敗例として、イギリスの National Heath Service がよく引き合いに出される。

いわく、医者の予約は数ヶ月先まで取れない、決められた医者にしか診てもらえない、最新治療が受けられない、医者も看護婦も病院も足らなくて診療を断られる。

本当かどうか知らないが、では世界中の医療保険を比較して、まあ成功している国の方式にすればいいと思う。たとえばカナダ(行ったことがないので、イメージだけ)。

他の国はどうか調べてみた。

ウィキペディアにHealth care system という項目がある。

情報量が多すぎて消化できないが、こんな図表(Life Expectancy vs Health Care Spending in 2007 for OECD Countries)が目についた。


Life expectancy vs spending


一人当たりの医療費と寿命の関係を示すもので、アメリカだけ右端にポツンとある。医療費が突出している。


               *


私は、ごくフツーの人がフツーに使える健康保険がほしいだけなのだ。

全部無料にしろとか、自然分娩で1週間入院させろなどと要求しているのではない(アメリカでは2日が標準。せめて3日にできんのか)。

でも、この国には、選択の自由や個人の権利や自助努力(弱肉強食?)のほうがそれより大事な人が少なくない。今回の訴訟や判決もその伝統に則っているらしい。

これから他の州でも違法判決が続いたら、2014年に加入義務が始まるはずだった医療保険はどうなるのかわからない。

既往症があっても加入できる部分だけは早々に実現してくれないと、持病もちはどうすればいいのだ。

メディケア(連邦政府が管轄する高齢者用公的医療保険)は65歳以上が対象である(こっちの保険は違憲じゃないのが不思議なところだ)。夫はまだ数年あるが、障害によって自動的に加入が認められた。私はあと15年も待たねばならない。その間に病気になると困るので、結局自腹で保険を買うしかない。

年を取るのはうれしくないが、「メディケアを受給するためだけに、一挙に65歳になったらどうだろう」と、悪魔との取り引きみたいなことを思い浮かべた。


<今日の英語>

I think that’s supposed to be off.
消すことになっていると思うのですが。


飛行機が着陸する前に、電子機器の使用を止めるようにとアナウンスされたのに、となりの女性がiPhone を消さない。本当は飛行に影響はないと聞いたが、心配でこう言ってしまった。知らん顔しておくべきだっただろうかという相談へ、「機長の指示には従うものです。あなたは何もマナー違反はしていません。特に、にっこり笑ってそう言ったのであれば。」とアドバイザー。



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予兆はあった

2010.12.17 (金)



長男にガールフレンドがいるらしいことがわかってから、それらしき素振りはなかったかどうか考えてみた。

あった、あった。

私がぼんやりしていて、気がつかなかっただけだ。あるいは、ゲームとカードに熱中しているうちの息子たちは幼い、まだ女の子より男友達のほうが大事なのだと思い込んでいたせいか。

14歳の次男はまさにそうだ。

朝はロッカーの前で待ち合わせ、同じクラスで授業を受け、カフェテリアで昼食を一緒に取り、帰りのバスが来るまでまた一塊りになっているグループなのに、帰宅するとすぐにパソコンをつけてチャットの準備をする。

「ジョーがまだチャットしてない。あっ、ニックが来た。」

グループの中でうちが一番学校から近い。スクールバスはそれでも時間がかかるが、私の車なら正味2分。どう考えても、他の友だちはまだバスに乗っている。それでもおやつの前に、まずチャットに入っておく。ジャケットも脱がない。バックパックをしょったままのこともある。

「あんただけでしょ。みんなまだバスに乗ってるじゃない。」

「ジョーは近いよ。」

「だって、さっき学校でしゃべったばっかりでしょ。何をチャットするのよ。」 

次男はSteamという私の知らないソフトを使っている。それで、帰宅した順に皆がログインする。

「いろいろ。ゲームとかJAVAとか。宿題もするよ。」

私は、こういうダラダラしたおしゃべりのは女の子特有の現象だと思っていたので、いまだに慣れない。男の子はもっとさっぱりしているんじゃないだろうか。

もちろん次男とそんなに仲良くしてくれる友だちがいるのはありがたい。どのお宅もきちんとしていて安心できる。

1人を除き、全員が数学は2年飛び級をし、物理や英語などもアドバンスコースにいる。ペアで実験をするときやグループ学習でもつるんでいる。同じクラスにいたかったら、ある程度の成績を維持しなくてはならないので、お互いにいい影響を与えている。これでゲームに費やす時間が半分になれば言うことなし。


          *


長男はもっとゆるい友だちづきあいをしている。

しょっちゅう行き来して寝泊りもする子は、1人しかいない。あとは、たまに映画に行ったり、学校のクラブ関連で週末に集まったりするくらいだ。先日のチャットに出ていたジェイクにいたっては、ハロウィーンに遊びに行くだけだった。だから、チャットでとても親しそうだったので、それにも驚いた。

うちの子たちは、ファッションにも無関心で、だいたい私が買い与えるものを黙って着るのだが、この頃、長男は「黒いのがいい」などとこだわりを示し始めていた。もともと絵が好きなので、不思議ではない。

次男のデスクトップはリビングルームにあるので、だいたい何をしているのか、すぐにわかる。

でも、長男は古いラップトップを自分の部屋で使う。それにもアダルトサイトへのアクセスを制限するソフトが入っているが、私はあまり信用していない。

この頃、自分の部屋に鍵をかけることが多いなと思っていた。PC以外にもプライバシーをほしがる年頃だ。それでも、PCでアニメを見たり、ゲームをしたりという気配で、チャットとは思わなかった。

そのうち、シャワーに入る回数が増えた。学校から帰るとシャワー、空手の前にシャワー、空手の後にシャワー、朝起きたらシャワー。

空手の先輩にスプレー式のデオドラントを使えと言われたという。いつもとても汗臭くなるし、対戦相手にも迷惑だろうと思い、私は新しいのを買ってきた。すると、ゲスト・バスルームからしょっちゅうシューシュー聞こえるようになった。

次男はそういうことに無頓着で、今朝は顔を洗ってから登校したのだろうかと心配になるくらいだ。それに比べたら、多少は衛生観念が発達してきた長男のほうがまだ救いがある。


          *


あるとき、空手教室に向かう車中で、長男が私に聞いた。

「おかあさん、ハイスクールのときにボーイフレンドいた?」

そういう質問はやめてほしいのだが、私はどういう問題でも何らかの回答をすることにしているので、無視できない。

「いなかったわよー。おばあちゃんが住んでるところよ。それも30年以上前でしょ。男の子と女の子がいっしょに歩いていたら、すぐ噂になるようなとこじゃない。それに、おかあさんは東京の大学へ行くほうが大事だったし、だいたいお母さんのレベルに合う子なんかいなかったしねえ。」と、長男が何も知らないのをいいことに、いかに自分はその辺の男の子を相手にしなかったかを吹聴する。

「ふーん。」と長男はそれ以上深入りしなかった。私もそのままにしておいた。単に親の若いときの話を聞きたかったのだろうと思った。あまり楽しいテーマではない。

しかし、あれは「ぼくにはガールフレンドがいる」というサインだったのかと今頃思い出した。私には想像力が欠けている。

あのとき、「ガールフレンド、できたの?」という会話に持っていったらどうなっていただろう。

惜しいことをした。次のチャンスはいつ来るか。

次男のときはもう少しうまくやらねば。やはり、長男は何事につけ、練習台になってくれている。




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気ぜわしい1週間

2010.12.18 (土)



冬眠どころか、結局毎日出かけている。

私は真性引きこもり体質ではあるが、そうそう引きこもってもいられない。

数週間前から入っていた予約もあれば、12月恒例の行事もある。今年度内に済ませておかねばならないこともある。

急に気温がガクッと下がったので、ごく近くまで出かけると、やっと到着した頃にエンジンが温まり、ヒーターが効き始めるといった具合。なるべく一度きりで片付けたいが、外出が必要な用事は見事に散らばってくれる。

しかも、この寒いのに、突然牛乳が全部なくなったりするのはどういうわけだ。

ガロン・サイズは重いので、ハーフガロン・サイズ(1.89リットル)を買う。しかも、夫はfat free(無脂肪)、子どもたちはlow fat(脂肪分1%)、私はreduced fat (脂肪分2%)と3種類を買う。

寒い時期にはwhole milk(脂肪分3.25%)を飲みたいところだが、無駄な努力と知りつつ、2%で我慢している(しかし、お菓子作りのために脂肪分36%のheavy whipping cream が常備してある…)。

私1人なら、「牛乳はあと2日持たせよう。そうすれば、明後日まで出かけなくてすむ。」と計画的に使うところ、夫も子どもたちも見境なく飲む。うまいこと、子どもたちの習い事の日とかち合えばいいのだが、他に用事がない日に限って、全部なくなったりするから困る。

ときには、空っぽのボトルが冷蔵庫に戻っている。次に冷蔵庫のドアを開けたら、満タンになるとでも思うのか。現実には、私が買ってきて入れ替えるのだが、魔法みたいなもんだ。

牛乳だけのために車を出すのもいやなので、なるべく先を見越して余分に1本くらいは買っておくのだが、そういうときにかぎって消費量がとても少なく、下手すると腐らせたりする。

せめて2%なら、お菓子や料理に使うが、低脂肪ではおいしくない。


            *


水曜日の夜、ハイスクールでホリデー・コンサートがあった。

次男は春に来た服や靴で間に合うかと思っていたが、靴は見当たらない(もしかしてタグセールで売ってしまったか?あったとしても、たぶんもう小さい)。唯一着られる白いシャツは半そで。学校でタキシードの上着と蝶ネクタイは貸してくれるけれど、半そではダメだろう。

結局、月曜日に長袖シャツと黒い靴と黒い靴下を買ってきた。

次男は背の割りに足が小さい。メンズのサイズ8はなかなか見つからず、店員が倉庫から探してきてくれた。フロアにあったサイズ9もついでに買う。無条件に返品を受け付けるのがこの店のモットーなので、もし8が小さかったら、また9を買いに来る手間が省ける。

履かせてみたら8でよかった。「9は返してくるわ。」と次男に言うと、「取っておけば? 今度買いに行かなくてよくなるよ。」という。それもそうだが、余分なものは家に置きたくないのも事実。

夫が履かないかと思って聞いたら、「ぼくには大きすぎる。それに、あいつの足もこれ以上大きくならないんじゃないか?」という。足の成長が14歳で止まるのだろうか。この忙しいのに変な情報を流さないでほしい。

寒いので、とりあえず9はクロゼットにしまった。

そして、月曜日の夜は空手。帰宅は10時過ぎだった。

火曜日こそ家にいるぞと思ったが、5時ごろ長男から電話があり、放課後のクラブに残ってスクールバスに乗り遅れたという。次男も一緒。もう薄暗く、さらに気温が下がったが、また車を出した。


            *


水曜日は次男のコンサート。

7時30分開演とあるものの、まず写真撮影のために5時30分までに送り届けねばならない。「時間がないから、今日はクラブには行かない」と言っていたのに、長男も次男も帰ってこない。5時過ぎにやっと長男から電話があり、次男もいっしょだという。やっぱりクラブ。やっぱり何も考えてない。

大急ぎで学校まで迎えに行き、すぐに次男をシャワーに入らせ、ギリギリで撮影に間に合った。

私だけ帰宅して、作りかけの夕食を再開し(私は何を食べたのかもう思い出せない)、再びハイスクールへ。すでに駐車場は満杯で、やっと隅っこに停めてオーディトリアムへ走る。ほとんど座る場所がない。立っている人も大勢いる。私も、一番後ろの壁にもたれる。

2時間あまり、立ちっぱなしでホリデー向けのコーラスや室内楽や吹奏楽を聴き、朦朧としてきた。

さすがにエレメンタリースクールやミドルスクールとちがい、音楽は選択科目で少なくとも5年間はその楽器を練習した生徒ばかりなので、一応はコンサートが成り立つ。コーラスも男女混声で、多少のハーモニーがあって安心した。しかし、少しでも音楽に詳しい人や絶対音感のある人には苦しい2時間だったことだろう。

最後は、オーケストラとフルコーラスで、ヘンデルのメサイヤ。

プログラムには、「メサイヤの演奏中は、観客も起立するのが慣例です。」という一文があった。初耳である(ちなみに、夫もそういう習慣は聞いたことがないという)。長男は音楽をとらなかったので、ハイスクールのコンサートは今回が初めてなのだ。

私は立ちっぱなしだから関係ないが、座っている人たちはどうなるかなと思ったら、みんなさーっと立ち上がった。いっしょに歌っている人もいたかもしれない。

「ハーレルヤ、ハーレルヤ!ハレルヤ、ハレルヤ、ハレールーヤー!」が響き渡る中、このホリデーは宗教的な祝い事なのだと今さらながら悟った。私のような無宗教者にはハレルヤ(「主をほめたたえよ」)も空々しく聞こえる。

コンサートは9時半に終了。また寒い駐車場を横切って、冷え切った車に乗る。「明日は出かけないわよ」と宣言する。


           *


しかし、木曜日は主治医のところで血液検査の予約が入っていた。

年1回の健康診断が今年は私の体調でいつもより2ヶ月も遅い。健診日の前の週に血液や尿の検査をやり、当日までに結果が届くというシステムである。

前夜から絶食。私の朝一番の楽しみが朝食なのに、10時半まで水しか飲めなかった。ただし、看護婦は採血がうまかった。血管が浮かび上がらない私の腕から、一発で試験管2本分もの血液を取り出した。たいてい2回はやり直す羽目になり、ドラッグ中毒患者のような青あざができるので、助かった。

家に戻り、ガツガツと2食分食べる。寒いときに空腹なのはつらい。シベリアに抑留された人たちはさぞかしと、比較にもならないことを考える。

夜はテニス。

なぜかこの頃次男1人だ。グループレッスンなら1時間半のところ、プライベートレッスンになったら1時間で終わる。得したのか損したのか、よくわからない。

さて、夜は空手だと思いきや、「宿題がすごくたくさんある」と半べその長男はキャンセル。

この頃は自分で電話させている。いつも私が欠席の連絡をしていたのだが、「センセイが習っている本人の責任だから、これからは本人に電話させてくださいとおっしゃってます。」と受付のパティさんに言われて驚いた。学校を休むときは、親が必ず電話を入れることになっているので、どこもそうだろうと思い込んでいた。ずる休みするような子に、空手は続かないからか。

外出回数が1回だけ減った。


       *


そして、金曜日は夫の車の車検。夫が乗るが、私が(夫の金で)買ったので、私の名義になっている。

夫はこういうことも後回しにする。たぶん考えてない。車検が切れたまま、半年も平気で乗っていたことがある。よくつかまらなかったものだ。私が慌ててディーラーに持っていき、それ以来、私が予約し、私が持っていくことにしている。ついでにオイルチェンジもしてもらう。

昨日は夫の歯医者があったが、ガソリンが足らないというので、朝のうちに私が満タンにしてきた。そうしないと、「ガソリンスタンドに寄ったら遅刻して、またキャンセル料を取られた」などという迷惑な事態になりかねない。

午後、また子どもたちがバスに乗り遅れた。しかも、次男は3時、長男は5時にそれぞれのクラブが終わったので、私も2往復した。そして、夜は空手。

でも、今週の外出はこれで終わりだ。週末はどこにも行かないぞと決意したところで、「ぼくねー、土曜日に友だちと映画行くから。」と次男がのたまう。

行くんじゃないでしょ。行けないから、車で送ってってでしょ。

そのうち、長男の友だちから電話が入り、やはり土曜日に遊びに行くという。それぞれ時間も場所もちがう。4往復確定となった。


<今日の英語>

I'll do it another time.
また今度にします。


車を見てもらったらいろいろ問題が見つかったらしく、若い女性のところへメカニックがやってきた。彼が1つずつ修理箇所と金額を説明したが、彼女は「今日は時間がないから、また別の日にやります」と断った。



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ルカシェンコの4選当確

2010.12.19 (日)



今日は、任期(5年)満了に伴うベラルーシ大統領選の投票日。

1994年から現職のルカシェンコ大統領も立候補しているが、開票を待たずして4選確実と言われている。開票どころか、公示が出ると同時に当選したようなものだ。

従来は3選が限度だったのに、何年か前に自分で法律を変えた。ルカシェンコは「合法的に」何年でも大統領職につけることになった。

プーチンだってそこまでえげつないことはしなかった。法律にしたがって2期で退陣した。

(ただし、ちゃっかり後任のメドヴェージェフに自分を首相に指名させて、今も実権を握っているふうではある。それに、連続3回はダメでも、2回やって、1回休み、また立候補するのは合憲。もし2012年に当選したら、再びプーチンがロシア大統領になる。それはそれでいい。独裁者にもいろいろあるのだ。)


           *


ベラルーシがニュースになるのは、ロシアがヨーロッパに向けて輸出する天然ガスを通り道であるベラルーシで勝手に止めるときか、「ルカシェンコはヨーロッパ最後の独裁者である」という目新しくもない話を特派員が書くときだけだ。

今回もそのセンで報道されてきたが、初めて野党の集会を認めたり、テレビに出演させてやったり、多少は譲歩した点が違った。

ただし、それはEUが「ベラルーシ大統領選が民主的に実施されれば、30億ユーロ(約3330億円)規模の支援を行う」と表明したからだ。

頼みのロシアとギクシャクしているので、ちょっとEUにいい顔をしておかねばならない。BBCその他の報道を聞く限り、見掛け倒しに過ぎないが、ただのポーズでも取るようになったのは進歩か。

野党のテレビ出演はたったの1時間。ルカシェンコがすべてのマスコミを牛耳っているので、新聞もテレビもルカシェンコ一色になっているそうだ。

もちろん、裏でもいろんな圧力をかけている。「大学寮を追い出されたくなければ、誰に投票するべきかわかってるね。」という具合。

集会を認めたものの、人が集まりそうな広場は突然アイススケー・トリンクにしてしまったという、冗談のような本当の話もある。

寒いから、水をまけば簡単に自然のリンクができるのだろう。BBCでは広場でスケートをしている市民の姿が映っていた。

これでは反政府集会もデモもできまい。全員スケート靴を履いて集合すればどうだろう。そうしたら、今度は溶かしてしまうかもしれない。ルカシェンコならやりかねない。


          *


こんなに弾圧しておいて、あっさり再選されるのも不思議なのだが、ルカシェンコの支持者も多いのだ。

今朝のBBCで、ベラルーシ国民の5分の4が公務員で、しかも1年契約だと聞いてたまげた。「来年も仕事がほしかったら、政府の言うことを聞け」ということである。

そういう見えすいた圧力は別にして、たとえば年金生活者は今の生活で満足しているのだそうだ。ソ連時代からずっと言論や集会の自由がないので、感覚が麻痺しているのかもしれない。

オレンジ革命のウクライナやバラ革命のグルジアと違って、何の革命も起こさなかったベラルーシが他の旧ソ連国家に比べて安定しているのは本当らしい。

年金や給料は出るし、失業はない(世界不況の波を受けて輸出が滞っているのだが、仕事を無くすわけにいかないので生産は止めない。だから、品物が倉庫に山積みになっている。仕事を保証された市民はそれでも売れない製品を作り続けるというシュールな世界。まるっきりソ連にタイムワープした感じ)。

暴動はなくて、食料はある。街中は整然としている。政府に監視されていても、ネットは使える。ビザさえあれば、外国にも出られる。

ただし、反対派の政治家やジャーナリストが「失踪」したり、政府批判の記事を載せた雑誌がすぐ廃刊になったり、集会には官憲が近くで立っていて、適当な理由で参加者をしょっぴいたり、写真を撮っておいたりする。

BBCにインタビューされた市民のほとんどが、ファースト・ネームしか名乗りたくないと言っていた。

普通にしていれば、つまり当局に目をつけられなければ、なんともない暮らしなのだろうが、そういう話を聞くと小心者の私はちょっとたじろぐ。

まさかベラルーシのKGB(ソ連崩壊後、ロシアではFSBが取って代わったが、ベラルーシではまだKGBを維持している)が「ルカシェンコ」で検索して、私のブログを見つけたらどうしよう。

どういうルートか私の正体を探り当て、ルカシェンコ閣下を侮辱する不埒なヤツとして、ビザの発給禁止ブラックリストに載せられたらどうする?!と妄想がふくらむ。

言論の自由というのはそういうことなのだ。


           *


それにしても、どうして独裁者は申し合わせたように鼻の下にちょび髭を生やすのだろうか。

ヒットラー、スターリン、ルカシェンコ。ムッソリーニは生やしてなかった。やめときゃいいのに、東条英機にはあった。

ルカシェンコ本人はかっこいいつもりだろうが、まるで漫画。

私はどんなひげでも嫌いなので、ルカシェンコの顔が出ると、ゾリッと一気に剃り落としたくなる。こんなことを書いていては、入国許可が下りないか。

【追記】 東条英機と書いたのは、別に深い意味はない。ヴィルヘルム2世でもレーニンでもサダム・フセインでもムシャラフでもいいのだが、第2次世界大戦中に誰かいなかったかなあと考えて、ふと思い浮かんだだけである。私の歴史的見解を述べているのではないし、だいたい私はそんな大それたものは持ち合わせていない。こだわりがある人は、「東条英機」を上記の人物またはフランコやド・ゴールなど好きに入れ替えて読むべし。



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華氏をめぐる混沌

2010.12.20 (月)



アメリカはいつまでたってもメートル法に移行できないでいる。

もう慣れてしまったが、道具を買えばインチやヤード、ハイウェイを運転すればフィートやマイルの表示に出くわす。土地はエーカーで、部屋の広さはスクエア・フィート。スーパーに行けば、ガロンにクオートにパイントにポンドにオンス。

なぜか原油は世界的にバレルが使われている。

1バレル=42ガロンの単位はペンシルバニア州の油田で使い始めたのだそうだ。アメリカが世界一の石油消費国だったために、いつのまにか世界の標準になってしまったという。英語がビジネスやインターネットにおける事実上の公式言語になったのと似ている。

10年前までは、株価がたとえば4 5/32(four and five thirty-seconds)あるいは 5/16(five sixteenths)というふうに分数表示だったので、株式市況を聞くと発狂しそうになった。

数字に弱そうな国でどうしてそんなことをしているのか、とても不思議だった。
今はめでたく小数点になってヤレヤレである。

そうやっていくらか進歩した分野もあるのだが、アメリカでの生活はヤード・ポンド法が牛耳っている。

ほとんどの国がメートル法を用い、紙のサイズもA4なのに、アメリカは合わせる気がない。アメリカでは Letter Size というA4より短く幅の広いのが標準なので、日本のフォルダーが使えない。でも、アメリカしか知らないアメリカ人は、たぶんそれが世界標準だと思っている。


           *


気温は Fahrenheit (華氏)。

ウィキペディアによると、Celsius (摂氏)を使わないのはアメリカとジャマイカだけである。

体温やオーブンの温度などは、慣れればどうということはない。使う数字はだいたい決まっている。たとえば体温計が100度なら熱があるし、クッキーは350度で焼く。

夏の気温もまあいい。90度と聞けば「暑いなあ」とか、100度を超えたら「家から出ないぞ」と思うだけである。

問題は冬だ。水が凍るか凍らないかの時期は、イラッとする。

氷点は摂氏0度。華氏にすると32度。

私にとって、寒いか寒くないかの境界線は32度である。32度以上なら、たいしたことはないと思う。どこに行くにも車で、しかも極力出かけないようにしているので、何度でもほとんど違いはない。

ないけれど、素通りできないときがある。

sixteen above は、そのまま16 degrees Fahrenheit (16°F)のことで、これはよい。below freezing は、32°F(0°C)以下。これもわかる。

しかし、予報官が eight degrees below だの ten below zero だの言い始めると、混乱する。

eight degrees below は、氷点より8度低い。つまり32-8=24で、24°F(-4.4°C)。普通に twenty-four degrees と言う予報官も多いが、予報業界で統一されていないふしがある。

氷点ではなくて華氏0度(-17.7°C)を基準に考えると、-8°F(-22 °C)というとんでもない寒さになる。たとえば、北極の冬の平均気温よりちょっと暖かいくらい。私の住む町ではありえない。

同様に、below zero は華氏0度以下ではなくて、摂氏0度以下(氷点より低い)を意味する。

しかし、一般向け天気予報はあくまでも華氏が基準である。なぜ唐突に摂氏を連れてくるのだろう。華氏なら華氏で徹底する気はないのか?

アメリカ人でもよくわかっていない人がいる。検索したら、似たような質問がたくさん出ていた。たとえば、これYahoo Answer での Below Zero and Below Freezing Question. 天気予報なら状況でどちらかわかるが、科学の話なら華氏0度も摂氏0度もありえるわけで、混乱しないほうがおかしい。


            *


アメリカに来た当初は、日本から持ってきた料理本を使った。どうもお菓子がなかなか焼けないなと思ったら、本に書いてある200度は摂氏で、アメリカのオーブンは華氏設定だったのだから当然である。

さすがにもうそういう間違いはしない。

今は、摂氏に2をかけて華氏にしている。200°Cなら400°F, 180°Cなら350°F。それで間に合う。

しかし、2倍にするという大雑把な換算はいつも使えるわけではない。私は計算が遅いので、 °C x 9/5 + 32 = °F あるいは (°F-32) x 5/9 = °Cがパッとできない。料理以外は感覚で覚える。

39°C 102°F (高熱)
36.5°C 98°F (平温)
30°C 86°F (真夏の気温。90°Fを超えるとかなり暑い)
22°C 72°F (快適。NYの6月)
10°C 50°F (ちょっと冷える。東京の早春、NYの4月半ば)
5°C 41°F (ちょっと寒い。東京の真冬、NYの11月)
0°C 32°F (氷点)
-5°C 23°F (かなり寒い。しっかり防寒)
-10°C 14°F (とても寒い。普通の手袋では意味なし)
-12°C 10°F (アラスカの真冬並み。これは寒い。勝手に外出禁止令)
-15°C   5°F (北極。冬眠すべし)

華氏9度以下はsingle digit(一桁) と呼ばれる。こうなると換算は不要。計算するまでもなく、ともかく寒い。

ところで、摂氏マイナス40度は、華氏でもマイナス40度でまったく同じだった。

-40°C=-40°F  

なぜ?!

【追記】 ある方が非公開コメントで説明してくださいました。整然としていて、数学に弱い私は感動しました(実はよくわかってない?)。私だけが読むにはもったいないと思い、勝手ながらその部分のみ貼り付けます。

°C x 9/5 + 32 = °F 

°Cと°Fを同じ温度のTとして

T x 9/5 + 32 = T
T x 4/5 = -32
T = -40


<今日の英語>

The genie is out of the bottle.
もう取り返しがつかない状況になった。


FacebookなどのSNSに自分の情報を載せたら最後、ネット上で追跡されてしまうと警告したジャーナリストに対して、ある心理学者が「あらゆることをネットで公開し、ネット上で生活するような現状からもう後戻りすることはないでしょう。よりオープンなネットに向かって、大きくシフトしています。後戻りはできません。」と解説した。

文字通りには、魔人がビンから飛び出した。アラジンが魔法のランプをこすると、魔人が現れ、自由にしてくれたお礼に願い事をかなえてやったことから、ある人の望みが実現したために、取り返しのつかない状況に陥ること。



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あげるべきか、あげざるべきか

2010.12.21 (火)



うちの子どもたちがもっと小さかった頃は、「サンタさんへ、ぼくはxxがほしいです。」と紙と鉛筆で手紙を書いたものだが、ティーンエージャーともなると、「ほしいものリスト」を親にちゃっかりメールする。

今年は、アマゾンやゲームショップへのリンクまできっちり張ってあった。そういうことだけは抜かりない。

私はクリスマスはどうでもいい。

でも、アメリカで生まれ育った夫は思い入れがあるらしい。私と結婚してから、ごく限られた付き合い以外で教会に足を踏み入れたことはないくせに、三つ子の魂百までか、「クリスマスの朝にプレゼントを開ける儀式」はやりたがる。

それで、毎年なんだかんだと買い与えてきた。たいてい夫がオンラインやお店で手配したのが、先方から注文が入るようになってからは私の担当になった。

ケチで買い物が嫌いで、子供たちは十分すぎるほどゲームもカードも持っていると思う私は、ずるずると先延ばししていた。先週ようやく注文したのだが、クリスマスまでに全部届くかどうかわからない。クリスマスの次の週も学校が休みなんだから、ちょっとばかし遅れてもどうってことはない。

でも、夫は気にしている。

「子どもたちへのギフトはもう届いたのか。」

「1つを除いては、全部発送されたわよ。まだ1つしか受け取ってないけど。あの子たちのほしいカードなんかいろんな会社から来るんだから、郵送料のほうが高いくらいよ。それで、ちょっと遊んだらまた床に捨てておくんじゃない。あーもったいない。」

「まあ、いいじゃないか。」とこういうときは鷹揚な夫。

ちなみに、夫も私もお互いには何も買わない。私は自分でほしいものは自分で買いたいし、第一そんなにほしいものもないのだ。この間、電気毛布を買っただけ。あえていえば現金。

夫も赤の他人にお金をあげるくせに、自分では本以外ほとんど買わない。「靴に穴が空いているような気がするなあ。」と言うので、「新しいの、買えば?」と何度か促したが、それっきり。そんなこと私に言わなくても、さっさと自分でお店に行けばいいのに。しかも、これまで履きつぶした古い靴は捨てられずにそのまま置いてある。精神衛生上よろしくない。


          *


「パヴェルには何をあげるんだね?」と夫が唐突に聞いた。

「何も。いつもe-card を送るだけだけど。」

「これと同じのを送ったんじゃなかったか。」と夫はカウンターの上の電気ポットを指差した。

「あれは、パヴェルがドイツに行って大学の寮に住むはずが、オクサナっていう遠縁の女の子のアパートに住まわせてもらったでしょ。お礼に彼女にあげたの。でも、あの子はご主人と別居中で、結局離婚したんじゃない? それで、パヴェルは彼女の元夫のアパートで間借りしたでしょ。わりとすぐだったのよ。ポットは女の子が持っていったと思う。」と私は記憶をたどった。

もう6年前の話だ。

パヴェルは私に定期的にメールをくれる。3ヶ月空いたこともあれば、週に何度かやり取りをしたこともあるが、途絶えることはない。

夫は大学を卒業したパヴェルがどうなったのか、おそらく知らない。

「今は女の子2人と、そのどっちかのボーイフレンドと4人でルームシェアしてるんですって。」

「そりゃ、また大変だな。アマゾンのギフトカードでもあげたらどうだ?150ドル。」

私とちがって、パヴェルは人とうまくやれるし、他人と住むのも平気だ。本当は自分だけのアパートがほしいらしく、もっといいフルタイムの仕事を探しているが、まだ見つからない。だから、当分は今のルームシェアを続けるつもりでいる。当人はそれほど気にしていない。

彼が大学を卒業したときにお祝いを贈ろうとしたら、この次に結婚するときでいいとかわされた。寮を出たあとの住まいが決まっておらず、私は住所も知らなかった。もともと、私からお金を受け取ることをよしとしない子だ。

アンナとやっと離婚が成立したばかりで再婚はまだ先だろうが、新居祝いとか、就職祝いとか、いくらでも機会はある。だから、クリスマスと彼の誕生日には、またe-card と、もしできれば去年のようにうちでビデオを撮ろうと思っていた。彼も私の誕生日に自分で編集したビデオを2編送ってくれた。

「150ドル? うーん、でもパヴェルは『ぼくは何もいりません。もうすぐ大学に行く子どもたちのために使ってください。』って言うのよ。」と私は説明した。

「そりゃ、誰でもそういうよ!遠慮しているだけに決まってるじゃないか。150ドルあげよう。」

「彼はベラルーシでクリスマスを過ごすの。大統領選挙のあとで大変だから、それが落ち着いたら行くのかしら。」

「ギフトカードなら、どこにいても関係ないじゃないか。早くしないと、間に合わないぞ。」と夫はやたら積極的になった。


           *


台所で1人になった私は考えた。

確かに150ドルくらい家計に響くことはない。やっぱり卒業のお祝いと誕生日とクリスマスをかねて、それくらい送ってあげようか。

でも、夫がそれを盾にまたルーマニアの「友人たち」に送金したらどうする? パヴェルとそいつらとはまったく位置づけが違うが、夫に口実を与えかねない。

なんだか、夫が根回しをしているような気がしてきた。

だいたいそっちに600ドルも出して、どうしてパヴェルには150ドルぽっちなのだ。換算したら、113ユーロにしかならない。せめて150ユーロ相当にしなくては。

ともかく、アマゾンのサイトでギフトカードを探してみた。

電気ポットを送ったときはどうしたんだっけ。Amazon.de で品物を比較したのは覚えているが、私はドイツでは登録してないから、アメリカの Amazon.comから発送したのだろうか。電圧やコンセントの型の問題はどうしたのか、まったく記憶がない。そのころ、まだパヴェルはアメリカのシティバンクに銀行口座を持っていたから、私はそこにドルを振り込んで、パヴェルが自分で注文して、あて先をオクサナにしたのかもしれない。

アマゾンのギフトカードは発行した国でしか使えないことがわかった。

それではと Amazon.de で登録しようとしたら、ドイツの住所がないとできない。

VisaかAmexのギフトカードでもいいが、私はパヴェルの今の住所がわからない。あれもドル建てやユーロ建てがあるんだろうか。それに、ベラルーシに行っている間に郵送されたら、ちゃんと彼の手元に届くかどうか心配だ。ドイツだからたぶん大丈夫だろうが、紛失したら元も子もない。


        *


ニュースでは、イギリスもヨーロッパも雪と寒波で立ち往生しているという。

パヴェルが使うフランクフルト空港も閉鎖されてしまった。彼はまたバスで48時間かけて帰郷するのだろうか。

ベラルーシの大統領選挙のあと、一部でインターネットに接続できなくなったという報道が流れた。雪も危ないが、反政府運動に巻き込まれるのも心配だ。もし逮捕されたら、やっぱり現金が必要じゃないだろうか。アマゾンのギフトカードが賄賂になるだろうか。

PayPalはどうかと思ったが、以前聞いたときは、どのメールアドレスを登録してあるのか教えてくれなかった。ルーマニア連中のように、Western Unionでの受け取りを待ち構えているのとは違うのだ。

そう考えると、なんとしても多少の現金をパヴェルに送りたくなってくる。

でも、どうやって?




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Amazon.de での買い物

2010.12.22 (水)



パヴェルにギフトカードを贈る方法をあれこれ考えみた。

彼の誕生日は24日。あと2日しかない。私が持っているのは、彼のメールアドレスだけ。大学の寮の住所は知っているが、そこから今のアパートに転送してくれるかどうかわからない。

やはりアマゾンからメールで送るのが確実。それ以外、思いつかない。

ドイツに住んでいなくても Amazon.de が利用できると聞き、ダメもとで登録してみた。すると、「このアドレスのアカウントはすでにあります」と出るではないか。

もちろんパスワードは覚えていないので、リセットできるリンクを送ってもらった。そして、新しいパスワードを入れると、

Hallo, komatta3. Wir haben Empfehlungen für Sie.

アマゾンはどこの国のサイトでも同じようなデザインなので、なんとなく意味がつかめる。それに私には機械翻訳という強い味方がある。大学の第二外国語など、30年も経てば買い物すらできないレベルに落ちる。Click がドイツ語でも Klicken なのが可笑しい。

それはともかく、ドイツのアマゾンが私にお薦め商品があるというのだ。いつの間に?

履歴を見ると、私がオクサナに電気ポットを送っていて驚いた。7年前の日付だ。まったく記憶なし。それ以来、ドイツのアマゾンにログインした覚えもないのに、ちゃんと私のメールアドレスや買い物が記録されていた。

7年前か。ほんの2~3年前みたいな気がする。


            *


ありがたいことに、Hilfe(ヘルプ)には英語版が作ってある。小さなイギリス国旗のアイコンの横に、

For our English help pages please click here.

ドイツ語だらけのページを呆然とさまよっていた私の目に、見慣れた文字が飛び込んでくる。おぼれかかっていたら、誰かがロープを投げてくれたようなもんだ。必死にしがみつく気分でクリック。

Gift Certificate FAQ からギフトカードの注文ページへ飛ぶ。さびついた頭でドイツ語の画面をウロウロしながら、誕生日のデザインを選び、英語でメッセージを書いた。メールする日はパヴェルの誕生日に設定して、いつも使っているクレジットカードで支払った。画面が切り替わって、

Vielen Dank!

しばらくして確認メールが届いた。

150ユーロにしたので、今日のレートでは198ドル。KGBへの賄賂はいくらくらいだろう。

パヴェルの「ほしいものリスト」を探したが、作ってないのか公開してないのか、見つからなかった。


            *


夫が起きてきたので、ドイツのアマゾンでギフトカードを贈った経緯を説明した。

私より記憶力のいい夫は、電気ポットのことも覚えていたし(ほら、言ったとおりじゃないか)、ドイツ国外に住んでいてもサイトを利用できることを知っていた(そりゃ当たり前だよ)。

子どもたちへのプレゼントと同額にするために、150ドルを提案したらしい。

私が150ドルではなくて150ユーロにしたというと、「それでいいよ。そのほうがいい。」と同意した。

そして、私がいちいち別の画面で機械翻訳をしていたと知って、「Google Chrome にしろ。」とうるさい。そうすれば機械翻訳が自動的に出るのだそうだ。次男もクロームの愛用者で、「おかあさん、まだFireFox なの? クローム使ったら? すごく早いよ。」とよく言う。

興味はあるのだが、私のパソコンは古い。何か新しいことをすると壊れそうな気がするのだ。

ドイツのアマゾンでもちゃんと買い物できたし、ブログも書けるし、当分の間はこれでいく。


<今日の英語>

It hit just the right spot.
申し分のない食事だった。


ポークとポテトと野菜スープの夕食を食べた夫の一言。ちょうどいいタイミングで食べたかったものを食べ、満足したときの言い方。グルメである必要はなく、自分の体に必要なものが供されたかどうかがポイント。That hit the spot.(これに限る)という決まり文句もある。



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予感的中

2010.12.23 (木)



子どもたちへのプレゼントが次々と届いた。彼らが学校に行っている間に包装しておこうと、台所のカウンターに包装紙を広げていたら、夫がやってきた。

週1回のカウンセリングに出かける時間である。

これが長男ので、こっちが次男の。めぼしいものはだいたい届き、包装してツリーの下に置くからと説明した。

6フィートもあるクリスマス・ツリーは誰も地下室から出そうとしない。私はそんな大きなものはいらないし、第一だれが毎年やるのよと夫を引き止めたが、夫が「子どものために必要だ」と言い張って買ったのだ(それまでは生の木を買いに行っていた。あまりにも面倒で、ものぐさな私たちには大きなストレスだった)。

それなのに、夫が張り切ったのは購入した最初の年だけ。それ以後は私だけで組み立ても飾りつけもしてきた。

でも、子どもたちがサンタの実体を知り、私の体力がなくなってからは、ずっと箱に入ったまま。

ここ3年は、私が買ってきた50センチくらいのツリーをリビングルームのテーブルに置き、申し訳程度の飾りをつけるだけになった。

クリスマス・ストッキングはトナカイの形をしたホルダーにかけたが、猫が叩き落としてトナカイの角が折れてしまった。今年は階段の手すりに赤いリボンで4足を結びつけた。

玄関のドアには、ボーイスカウトが届けてくれたクリスマス・リースがかかっている。これは生の木でできていて、ドアの外側にある。本物の松ぼっくりとプラスチックの南天の実、それに赤いリボン。かなり大きく、配達してくれて16ドル。

うちの飾りはこれだけ。

ストッキングも、子どもの分はグランマがくれた。彼女にとってはクリスマスその他のイベントがとっても大事なので、私が何もしないだろうと危ぶみ(彼女は正しい)、あれこれ送ってきた。小さかった長男が、私と夫の分がないとサンタが困ると言い張ったので、近くの店で2足追加で買った。

もう子供たちはストッキングの中身などに興味はない。自分が注文した品物がツリーの下にあるかどうかだけが重要なのだ。


           *


夫と私は子どもたちのことで軽口をたたき、夫は「もう出かける時間だ」と靴を履いた。私はラッピング作業に戻った。

でも、夫はすぐには出て行かなかった。

「えーと、ちょっと考えておいてほしいことがあるんだけど。」

ほら来た。続きは聞かなくてもわかっている。私はハサミに集中しているふりをして返事をしなかった。

「150ドル使っていいかな。子犬が産まれたんだって。ほら、あの犬を飼っていた人の。」

はぁ? ルーマニア人の飼っている犬が子犬を産んで、どうしてうちがお金を払わなくちゃいけないのよ。だいたい食中毒で死ぬかもしれないとか騒いで、1ヶ月前に獣医の費用を220ドルせしめたばっかりじゃないの。

あまりに馬鹿らしくて、私は無視した。

「発情期に離しておいたらしいんだけど、何匹か飼ってるから、気がついたら遅かったんだそうだ。」

"Whatever."

アメリカ人が一番イライラするというフレーズで返事をした。どうでもいい。あなたが何と言おうと、私の知ったこっちゃない。勝手にほざいてたら?

夫は「そうか。じゃあ。」と言って、出て行った。


             *


Unpleasant あるいは disgusting というのはこういう気持ちだなと思う。

夫が急にパヴェルへクリスマス・プレゼントを送ろうと言い出したとき、これは伏線だという予感がした。

その日の朝、夫は私にパヴェルに送ったかどうか、また聞いた。私はアマゾンのドイツでギフトカードを買い、彼の誕生日に届くように手配したことを話した。

「どうしてすぐに送らないんだ?クリスマスにあげたらいいのに。」とトンチンカンなことを言った。

「パヴェルの誕生日はクリスマスイブだから、24日でいいのよ。これは、卒業祝いと誕生祝いとクリスマス・プレゼントを兼ねているんだから。」と説明しながら、夫はパヴェルの誕生日なんか覚えていないのだとわかった。卒業のこともよくわかっていない。単なるクリスマス・プレゼントのつもりだったのか。

パヴェルは family friend である。ルーマニア人にはうちの誰も(夫すら)直接会ったことがなく、私は話したこともない。フルネームも住まいも職業も明かされない。夫の怪しげな「友人(たち)」に過ぎない。

私はこの2つの贈り物を結び付けないことにした。

カウンセリングから戻った夫は、「ちょっと考え直して、200ドルにしたいんだけど。」という。

「子犬が全部死にそうだっていうこと?」

「そうじゃなくて、クリスマスプレゼントにしたいんだよ。ATMから出せるかな。」

205ドルしか入ってないわよ。」 こんなこともあろうかと、当座にはこのごろ最低限しか入れていない。しかも、先週100ドル引き出しておいた。

「じゃあ、また他から動かしておいてくれないか。いつごろになる? クリスマスに間に合うかな。」

「3日はかかるんじゃない?」と私。

私はもうノーとは言わない。夫が私にお金の管理をさせないと脅して以来、どうぞお好きなようにという立場でいる。ただし、現金はそうすぐ引き出せないようにしてある。


            *


夕食の前になって、夫が自分の部屋から出てきた。

「ATMから150ドルだけ出す。50ドルは子どもたちから借りる。彼らにはあとで返すよ。」

ルーマニア人とチャットして、クリスマスに贈る約束でもしたんだろう。

そして、本当に次男から30ドル、長男から20ドルを借り、外はもう真っ暗なのに車で出かけていった。ATMに寄って、そのあと200ドルを Western Union で送金するのだろう。

200ドルといえば、ルーマニア人の平均月収200ユーロの75%。子犬の餌(ふつう、母犬が母乳で育てるんじゃないのか?)がそんなにかかるわけがない。だから、子犬の件のつじつまが合わなくなって、クリスマスプレゼントに話を変えたんだろう。

このお金がどういうルートで誰の懐に入るかわからないが、私の知ったことではない。

こんなことでやきもきするのは無駄だと思う。結局、夫はお金の管理などできないし、やりたくもないのだ。

夫はまたしばらく部屋にこもるだろう。そして、私の怒りが収まるのを待って、徐々に顔を出し、話をするようになる。

私はもう怒りとか呆れとか虚しさを通り過ぎた。子どもたちと私の生活を守ることだけを考える。

感謝祭の二の舞にならないように、私は私の大事なことだけをして、夫の愚かな行いに引っ掻き回されないようにしよう。



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疲労困憊のクリスマス・イブ

2010.12.25 (土)



私は、大きな祝日の前後と当日には外出しないことにしている。

店内も道路も駐車場も混雑するし、飲酒運転が増えるからだ。

車がないとどこにも行けない地域なので、誰かがdesignated driver (指定運転手。グループで出かけるときに、自分は飲まないで帰りの運転を引き受ける人)になれと当局は広報に忙しい。でも、お祝いにかこつけて結局みんなが飲み、酔いが冷めた(と本人だけが信じている)ところで帰途につくケースが後を絶たない。

特に危ないのは、クリスマスと大晦日。

そう思って、今年もイブの前日にスーパーH店へ行った。次男のテニス・レッスンの合間に、クリスマス・ディナーの材料と当面の食料や日用品を買った。

レッスンは1時間半だが、なぜかここ2週間は他の子どもが来なくて、プライベート・レッスン扱いとなり、1時間で終わっていた。ふだんより賑わう店でレジを済ませ、あと10分というところでクラブに戻ると、今日はもう1人の男の子が来ていて、1時間半になるらしかった。慌てなくてもよかったのか。

レッスンが終わって家に戻り、車から買い物袋を運び出した。2時間後には空手があるので、急いで手抜き夕食を作らねばならない。

食べ物をしまいながら、たまねぎがないことに気がついた。あまりいいのがなくて迷ったから、結局買わなかったのかと思った。でも、確かに買った洋ナシもないし、りんごもない。マッシュルームはある。にんにくもあるが、お芋はない。

おかしい。

ガレージの中が暗かったから、袋を1つトランクに入れたままなのかもしれない。どうせ長男を連れて出るから、そのときでいい。

そして、長男を空手教室で降ろして、その近くのスーパーA店でまた買出し。

車に戻ってトランクを開けると、置いてあるはずのH店の袋がない。たまねぎがない。夫がオートミールに混ぜるバナナもない。H店では慌てていて、うっかり買いそびれたのかもしれない。いよいよ危なくなってきたか。

ないと困るので、A店に戻り、足らないものを買った。


           *


空手教室で椅子に座って、今日の買い物のレシートを財布から出した。

H店のを見ると、玉ねぎも洋ナシもレッド・ポテトもバナナも買っているではないか。確かに買ったという記憶がよみがえった。まだそこまでボケてはいない。

カートに置いてきたか? それはない。空っぽのカートを戻したのは確実(でも、だんだん自信がなくなってきた)。

すると、レジに置いてきたのか。あのとき慌てていたし、私も店員も袋に詰めていたから、カートに積み忘れたのかもしれない。

すでに9時を回っていたが、H店に電話してみた。

女の子が出た。

「今日5時半ごろお宅のお店で買い物したんですけど、1袋だけレジに置いてきてしまったみたいです。まだあるでしょうか。」と私。

「5時半?どんなものですか。」

「野菜と果物です。玉ねぎとか、バナナとか。」 すぐに腐るものではないし、もしかしてと淡い期待を抱く。でも、お店は9時に閉まった。

「たぶんもう棚に戻しましたよ。その日のうちに片付けますから。明日、また同じものを棚から取って、カスタマー・サービスにいらしてください。それを代わりにお持ち帰りください。」と慣れた口ぶりの女の子。

こういううっかり者は私だけではないと確信する。


             *


私は2年に1回くらい、買ったものをレジまたはカートに置いて帰るという失敗をする。

レジを離れて5歩くらいで呼び止めてもらったこともあるし、駐車場まで追いかけてきてくれた店員もいる(こういうとき、数少ないアジア人はすぐ覚えてもらえてお得だ)。

猫の爪とぎ箱をカートの下部分に置き忘れ、慌てて電話をして、お店に舞い戻り、同じものを無料でもらったこともある。たった30分だったが、誰かが「カートにこんなものがありました」という申し出はなかったそうだ。勝手に持ち帰って、飼い猫に与えたのだろうか。それじゃ、まるっきり泥棒猫だ。

ないものを証明するのは不可能なので、お店は客の言い分を信用するしかない。カスタマー・サービスで住所や電話番号、名前を記入させるお店もある。常習犯かどうかを調べるのか、単なる記録なのかどうかわからない。

今回のH店での置き忘れは12ドル程度だった。捨てるには惜しい。

クリスマス・イブとあって、駐車場も店内も23日の比ではない。特に、ふだんは買い物しないような男の人が右往左往して、混乱に拍車をかける。

カスタマー・サービスのお姉さんに事情を話し、忘れたと思しき品物に印をつけたレシートを見せた。

「その日のうちに片付けますから、お忘れになった袋は保管してないですね。もう一度、その品物を取って、ここに来て下さい。」という。

さすがに昨日の今日で、どれをいくつくらい買ったかを覚えていた。レシートには重さも書いてあるので、洋ナシやバナナもいちいち店内の秤にかけて、なるべくレシートに近い重さにした。

カスタマー・サービスに戻ると、さっきのお姉さんはいなくて、お兄さんがいた。もう一度説明すると、お兄さんはレシートと品物を照合し、そこの秤でやり直した。

「差額は払います。」と私。

「いや、だいたい同じならいいですよ。」とお兄さん。

そして、確認し終えると、「これでいいです。ハッピー・ホリデーズ!」と袋に入れてくれた。私の身元は聞かれなかった。運転免許も見せなかった。このお店は、お得意様カードも使わないので、クレジットカードをたどらない限り、私が誰かはわからないはずだ。

アメリカのお店は返品も簡単だし、概して鷹揚なのだが、あっさり渡されて拍子抜けした。お店としては、私が嘘をついていたとしても、12ドルの損失である。それより、私をお得意様にしたほうが価値があると踏んだのかもしれない。


           *


道路に出ると、州外のライセンス・プレートを付けた車が目立った。

混雑や飲酒運転に加えて、土地の人ではない車が増えるのも祝日に運転したくない理由である。地理がよくわかってないので、急に車線変更したり、いきなり右折したりとヒヤヒヤさせられる。

ぐったりして家に戻ると、2時半。

クリスマス・ディナーは、家によって食べる時間が違う。クリスマス・イブあるいはクリスマス当日の正午、午後、夕方遅く、夜。いつでもいいのだ。

私はこれといった方針はないが、たいていイブの夕食にする。そして、クリスマスのお昼も夜も、残りものを出す。どうせ子どもたちはプレゼントに夢中で、食事どころではない。

つい先日、感謝祭でターキーの代わりのチキンを焼き、パイを焼き、キャセロールを作ったばかり。たった1ヶ月しか空いていないのに、クリスマスもなんだか似たような感じになる。

せめてもの抵抗で、ローストビーフにした。パンプキンパイはあるが、コーンブレッドはなし。作りなれたのと久しぶりなのと、適当に野菜の付け合せ。

何を思ったか、初めて Popover というパンを作ってみた。

新しいレシピを試すのは、失敗しても他に食べるものがたくさんあるときに限る。本当は専用の型を使うのだが、うちにはない。カップケーキの型で代用した。塩が多いというコメントがあったので、減らしたが、まだちょっと塩辛い。それでも、初めてにしては大成功。

混ぜて焼くだけなのに、つまみ食いに来た長男が「うまい!」と大絶賛。

すべての準備が終わったら、夜6時半。4時間も立ちっぱなしで、くたくたになった。味見でお腹もふくれた。

子どもたちにはちょっと横になるからと言って2階へ上がり、夫の部屋のドアをノックして「ディナーができてるわよ。」と伝えた。夫は「ディナー?」とまるで何のことかわからないというような返事をした。

ベッドに横になると、もう立ち上がれなかった。

子どもたちと食事を終えた夫がやってきて、"You are a genius!" と私の料理を大げさにほめた。まったくアメリカ人は簡単に誰でも天才にしてしまう。私にとって、天才とはモーツァルトとダ・ヴィンチだけである。

「そう? ビーフは焼きすぎだと思ったけど。」と私。

「いや、完璧だよ。子供達は野菜もいろいろ食べたし。それにポップオーバーも。あれは絶品だ。長男は7個食べたな。もう1個も残ってない。きみも1つくらい食べただろうね。」と夫。

先に1個味見しておいてよかった。長男はこの頃あまり食べなかったので、7個とは驚いた。あんな手抜きでよければ、また作ろう。

しばらくして、猫が騒ぎ出した。でも、私は台所へ行く元気もない。内線で子どもたちを呼び出し、猫のごはんを任せた。

そのあとの記憶はない。


<今日の英語>

I would reduce the salt to one teaspoon.
私なら、塩を小さじ1杯に減らします。


ポップ・オーバーのレシピに寄せられたコメント。



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恋しい味

2010.12.26 (日)



クリスマス当日は、みんなに前日の残りものを食べてもらうつもりだった。

夫は朝からローストビーフ・サンドイッチを作ってパクついた。やっぱり狩猟民族だわと妙に感心する。私は肉を食べないので、自分だけリゾットでも作るか。

しかし、西洋風のものばかり作った後は、脳が信号を送ってくる。「私が食べたいのはそれじゃない。」

お米を使うのはいいのだが、リゾットはいま恋しい味ではない。先週からミートソースやビーフシチューやラザーニャなどが続き、肉を食べない私は作っただけで食傷気味になってしまった。そして、このクリスマス・ディナー。

食べたいのは、かつおだしと醤油を使ったものである。

おせんべいを食べたのは1ヶ月以上前だし、お味噌汁は2週間前か。処方薬のせいで夫が味噌を禁止されてから、お味噌汁を作る回数が減った。

先月、珍しく咳喘息の症状を起こした長男がまた咳き込んでいた。夫に似て、どうも気管支系が弱い。

「風邪にはネギ入りのミソ・スープがいいんですよ。」と、一風変わったアメリカ人の小児科医に言われたことがある。しかし、お味噌汁は作りたくない。

うどんなんかどうだろう。のどにもよさそうだし、長男の大好物でもある。

そう思うと、ものすごくうどんが食べたくなってきた。長男は素うどんでも好きなのだが、私は天ぷらうどんでないとだめだ。しかし、昨日は4時間も料理をしてクタクタになっている。天ぷらは大事業という気がした。

でも、食べたい。


          *


「ねえ、お昼にうどん食べたくない?」と私は子どもたちに聞いた。プレゼントとしてもらったカードゲームに忙しい彼らは、生返事をする。

「あれば、食べるけど。」と長男。

「えー、その程度なの。」

「どっちでもいいよ。おかあさん、食べたいの?」

そうなのだ。私が食べたいのである。でも、1人分だけ作るのは馬鹿らしいし、料理に疲れた身には動機付けが必要だ。

「天ぷらうどんが食べたいのよ。でも、天ぷらがめんどくさいの。」 実家の母の呆れた顔が目に浮かぶ。

「じゃあ、ただのうどんにしたら?」と長男。

「それじゃあおいしくないじゃない。やっぱり天ぷらがのってたほうがいいと思わない?えびとか、かき揚げとか。」

「じゃあ、作ったら?」と長男。

「あんたも食べるでしょ、天ぷらうどん。」と長男ほどうどん好きではない次男に確かめた。

「食べるよ。」とカードから目を離さない次男。

子ども相手に何をやっているのかと思うが、こうやってごちゃごちゃ言っているうちにやる気が出てくるのだ。幸い、子どもたちは「うるさいなー。」とは言わない。生返事ではあるが、私に付き合ってくれる。私にとって食べ物がどれだけ重要かをよく知っている。

「よーし。作る! 手伝ってって言ったら、すぐ来てよ。」と言い置いて、台所に急いだ。やる気が消えないうちに、取り掛からねばならない。

うどんスープの素はお湯に溶かすだけでいいし、調合済みの天ぷら粉もある。うどんをゆでるのは、スパゲッティと同じだ。えびを解凍し、玉ねぎとにんじんを切り、ネギを刻む。

たいした作業ではない。何事も始めるのが難しいだけである。

とりあえず4人分のうどんをゆでた。夫は天ぷらは好物だが、うどんはそれほどでもない。むしろ、私たちに付き合って食べているふしがある。でも、夫の分をゆでないで「のけ者にされた!」と被害妄想を持たれたら困る。夫は、自分にだけ箸がもらえないときもこだわるのだ。


         *


そうして一気に天ぷらうどんを作った。

誰でも失敗しないとある天ぷら粉でも、私はあまり上手にできない。なぜか今日はうまくできた。夫はこのところG氏に頼まれた書類作りにかかりきりで、部屋から出てこない。

3人でズルズルと食べた。夫は日本人の麺類の食べ方を知っているが、夫がテーブルにつくと、なぜか私たちはちょっと遠慮してしまう。なるべく音を立てないように食べる

子どもたちには単なる天ぷらうどんだろうが、私にとっては懐かしい日本の味。これで、日本の味を恋しがる禁断症状が抑えられた。

食べ終わった長男が言った。

「おかあさん、お正月、何かする?」

今年はお餅もない。1時間もかけて、日本食品店へ買出しに行く元気もない。書初めも面倒だ。あれ、日本のお正月って何をするんだっけ。私は21年間日本のお正月には帰っていないのだ。

「何もしないけど。何もないし。あ、そうだ、カルタしない? カルタ覚えてる? 犬も歩けば棒に当たるって読んだら、『い』のカードを取るやつ。」と私。うちに百人一首はない。

同じカードでも、子供たちは遊戯王とマジックなんとかというカードのほうがいいらしい。

まあ、お正月の行事なんかどうでもいい。私には日本の味のほうが何倍も重要なのだ。


<今日の英語>

We are holding our own.
負けずに持ちこたえています。


去年に比べると、今年は寄付する人も金額も増えたというニュースで、街頭で活動していた救世軍の人がインタビューされたときの一言。「まだ景気は回復していませんが、確かに去年より余裕のある人が多いようです。厳しい状況ですが、我々も屈しないでなんとかがんばっています。」



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年末の追い込みと「悲しいお知らせ」

2010.12.27 (月)



ふだん何の締め切りも責任もない生活をしている私だが、12月31日までにやっておかねばならないことがある。

たとえば、できの悪いファンドを売り、もっと有望なものを買う。確定申告をするとき、損失分で儲けを相殺する。

今年の医療費は今年中に支払う。なるべく今年に集中させて、控除の対象になるようにする。

夫が前の会社に残した401Kを、今年こそ投資会社のIRAに移すべきか。何度か投資会社のアドバイザーと話したが、のばしのばしにしてきた。これ以上手数料を払うのが惜しい。

うちはほとんどすべての資産が共同名義になっている。ただし、401KやIRAだけは個人単位でないと作れないらしい。だから、夫の401Kをどうにかしようと思うと、夫も電話に出て、「妻に一任する」と説明しなくてはならない。

オンラインでできることは私が勝手にやるが、口座を他の金融機関に移動させるとなると、いろいろ選択肢があってややこしい。投資会社としては、夫を電話口に呼び出して、夫の意志を確認するのが必要な手順だという。

「ご主人に電話に出ていただかないと、何もお教えできません。」

私がぜんぶ担当していると言っても、規則は規則なのだ。ふだんノータッチの夫は、何を聞かれてもよくわからない。だから、私が「xxはxxですって言って。」とコーチする。夫は復唱し、投資会社が満足すると、また私に受話器が戻る。そして、やっと私は具体的な質問をすることができる。

投資会社は、顧客との会話をすべて録音する。私が小さい声で夫にゴショゴショ言っているのも、しっかり残っているかもしれない。


              *


医療関係では、夫の歯医予約が今週もう一回あり、それで今年は終わる。

届いた請求書は、全部支払った。

6週間通ったフィジカル・セラピーからの請求書がまだ来ないのが気になる。保険会社のサイトを見たら、すべて処理済だった。

セラピーセンターの受付では「まとめて請求します」と言われたが、最後のセラピーは11月12日だ。ちょっと遅すぎる。

セッション1回で500ドルの請求に対して、保険会社はほとんど認めず、私の負担分は1回12ドルという通知が来ていた。心配になって、セラピーセンターに問い合わせたものの、私は保険会社が決めた金額だけ払えばよいと言われた。

どうも腑に落ちないが、アメリカの医療は不条理な世界なので、あまり深く考えないことにした。

正式な請求書が届けばはっきりする。1回12ドルとして、17回で204ドル。

控除の対象は、AGI (Adjusted Gross Income 調整後総所得)の7.5%以上の分だけである。夫のヘルニア手術や毎週のカウンセリングでかなりの金額になるが、微妙なところだ。

「病気になるなら、12月31日までになってよ。」と子供たちに説明する。


               *


来年度の健康保険は、とりあえず今の会社で今年と同じプランを登録できた。

2月末で切れる可能性が高いが、それ以後どうするかは、そのときになってみないとわからない。

夫は3月1日で自動的にメディケアに切り替わる。普通は12月31日までに申し込まねばならない処方薬プランやその他の各種プランも、加入期間が違うことがわかった。3月を挟んで前後3ヶ月ずつ、あるいは3月以降の6ヶ月など、いろいろあるのだ。

年度途中でメディケアの対象者になるのは夫だけではないはずなのに、ウェブサイトでは必要な情報がすぐに見当たらなかった。何度か電話をして、やっと回答が得られたのだが、どうしてもっと簡素化して合理的にやらないんだろうと不思議でしょうがない。

社会保障庁でもAARPでも、電話に出た人がそもそもよくわかっていない印象を受けた。私の質問にも「6ヶ月です」という漠然とした、明らかにマニュアルを読み上げただけのような答えだったので、「具体的には、何月から何月ですか」と追求せねばならなかった。

投資会社のウェブサイトやカスタマーサービスに比べると、かなり劣ると思った。先が思いやられる。


              *


こういう落ち着けないときに、困ったことが起きた。

いつもテニスクラブのレッスン・スケジュールを送ってくれるバーバラから、"Sad News"という題名のメールが届いた。悲しいお知らせってなんだろう。誰かクラブの人が亡くなったんだろうか。おじいさんオーナーかな。まさかコーチの誰か?

メールを開けて驚いた。

12月31日をもって、クラブ全体を他の会社にリースすることが決まり、テニスコートはサッカー・フィールドに変わるため、今後はテニスレッスンを提供できないと書いてあった。その他の改装もあるので、1ヶ月間はすべての施設が使用不可になるという。

このスポーツクラブは、前にも破産による閉鎖騒ぎがあり、その後オーナーが入れ替わって再開した。教え方に少し不満があるが、次男はとても気に入っている。仲良しもできた。

やはり経営に行き詰ったかと思い、読み進めると、影響を受けるのはテニスだけで、ジム設備やプールなどは改装後に再び利用できる。テニスコートは1年半前に表面をきれいに直したばかりなのに、新オーナーは人工芝を敷き詰めてサッカー・フィールドにしてしまうのだ。

アメリカは世界で一番サッカーの人気のない国じゃなかったの。

確かに子供向けのサッカー教室はあちこちにあるが、ハイスクールにもなれば、野球やフットボール、バスケットボールはもちろん、ラクロスやトラックに押されている。それに室内サッカーなんて聞いたことがない。

最近、次男のレッスンに行くと、テニスコートの2面しか照明がついていなかったり、4人いたはずの次男のグループでも個人レッスンになったり、気になることはあったが、ホリデーシーズンはこんなもんだろう、失業してスポーツジムどころじゃない人もいるだろうと思った。

バーバラは、「今週はホリデーのためにレッスンは無しとなっていましたが、1月第1週の代替レッスンを申し受けます。ご希望の方はコーチまで電話してください。」とあった。

そうだ、今のセッションは1月の第1週まであり、先払いしていたのだった。それ以降の振り替えはできないのだから、今週行かないと1回分が無駄にする。


             *


こんな田舎ではスポーツクラブも限られる。

今のクラブが閉鎖中に、少し離れたところのクラブHSに次男を参加させた。サマーキャンプの2,3日だったが、次男はおもしろくなかったらしい。

もともと次男はハイスクールのテニスクラブに入れてもらえるかどうかわからない程度のレベルだ。来年の春にテストを受けて決まる。私は次男にテニスの面白さを知ってほしかったし、週に何回かはパソコンから離れて運動させたかった。その程度の話であって、たとえばテニスで大学に入ろうとか奨学金をもらおうなどとは夢にも思っていない。

次男はテニスを続けたいというくせに、あのクラブHSは「好きじゃない。」

誰も知り合いのいない夏だけのセッションではそうかもしれない。でも、毎週通えば、友だちもできて、何より今のクラブでは直してもらえなかったところももう少し厳しく指導してもらえる。

少し高いし、少し遠いが、他に当てはない。

それにしても、テニス・レッスンを取りやめるなら、もう少し早く知らせてくれればいいのに。経営上の判断だろうが、がっかりした。どこでもそんなものだろうか。

これから新しいクラブのスケジュールやレッスン料を比べて、早々に結論を出さねばならない。


<今日の英語>

A big snow storm is ahead of us.
そのうち大雪がやって来るよ。


部屋から出てきた夫の一言。今年初めてのブリザード。



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遅れて届いたプレゼント

2010.12.29 (水)



ブリザードが15インチ(38cm)の雪を残して通り過ぎ、クリスマスのあと初めての郵便配達があった。

郵便を確認するのは子どもたちの仕事だが、夫に頼まれたというスプレッド・シート作成がなかなか終わらなかったので、私が郵便受けを見に行った。

ごついブーツを履き、ダウンジャケットを着て、スカーフを巻き、マフラーを巻き、厚い手袋をし、帽子をかぶる。100歩しか歩かないのに、この支度。冬はこれがめんどくさくて、外出嫌いに拍車がかかる。

そろそろと郵便受けにたどり着いて、ふたを開けると、ジャンクメールや保険会社からの明細書に混じって、水色の封筒が1枚入っていた。

消印はカリフォルニア。義父の字で、長男と次男宛になっている。

義父母は毎年子どもたちにクリスマス・プレゼントを送ってくれた。何も送らなくていいと私が言っても、夫に相談してあちこち探したらしく、直前の配達になりがちだった。

以前は夫と私にもプレゼントをくれたが、私たちが何もほしがらず、何もあげないことに納得したのかあきらめたのか、取りやめてくれた。もらってばかりで居心地の悪かった私は、ほっとした。

子どもたちに「グランパとグランマからクリスマスカードが来たわよ。何もしなくていいって言ったのに、律儀ねえ。」と伝えたが、まだ夫に頼まれたお手伝いが終わってなかった彼らは関心を示さない。ゲーム中に命じられたらしく、二人ともご機嫌が悪い。

「おかあさんが開けてもいい?」と長男に聞くと、「いいよ。」とそっけない。

カードの表にはペンギンが並んでいた。カードを開くと、小切手が2枚出てきた。長男と次男にそれぞれ50ドル。小切手の記載と署名は義父の字だ。

「ちょっと! あんたたちに50ドルずつもよ。こんなことしなくていいのに。」と私。

カードだけでなくて現金もあると知って、子どもたちは俄然興味を示した。ちゃっかりしている。

カードの中のメッセージは義母の字だった。義父はサインのところだけ参加していた。小切手の字もそうだが、昔に比べて筆力がなく、手が震えているようだった。

「メリー・クリスマス! 私たちは今年はカリフォルニアにいます。友人を2、3人だけディナーに招いて静かに過ごす予定です。これであなたたちの好きなものをお買いなさい。貯めておいて、なにか大きなことに使ってもいいでしょう。夏に会いに来てくれるとうれしいです。グランマとグランパより。」


           *


つい先日、geni.comというサイトから、夫側の家系図ができ、私も追加されたというメールが届いた。管理者は義父。

赤の他人だけでなく、親戚(自分と夫の両方)とも付き合いの悪い私は、絶対に手がけないプロジェクトである。ところが、夫によると、genealogy(系譜学)つまり、家系図を作ったり先祖をたどったりする作業は、義父のライフワークなのだそうだ。

出張でワシントンDCに行くたびに、Library of Congress(米国議会図書館)に寄り、自分の先祖に関する資料を探して、コピーしていたという。何十年か保管していた大量の資料を、家系図サイトに入力し始めたのである。

もちろん私も入っている。誕生日やメール・アドレスまである。夫は自分の学生時代の写真を載せている。まるでヒッピーみたいな長髪。子どもたちも登録してある。すでに、義父の曽祖父くらいまで埋まっていた。

私がログインしたら、義父からWelcomeとメリー・クリスマスのメッセージが来た。私が返信して、その後2回ほどやり取りをした。家系図サイトにちゃんとメールの履歴も残っていて驚いた。

耳が遠くなった義父と電話で話すのは、非常に難しい。

「ダディに頼まれた仕事が終わったら、すぐにグランパとグランマにお礼を書いてよ。Family Tree のサイトから書いてくれない? グランパがわかりやすいように。50ドルはぼくの銀行口座に貯金しますって。」とあれこれ注文をつけた。

「どうしてグランパとグランマの両方に書かなくちゃいけないの?グランパに書けば、グランマもいっしょに読むんじゃない?」とウダウダいう長男。

「二人からもらったんだから、二人にお礼をするのは当たり前でしょ。」

あれだけ友だちと毎日チャットしているのに、なんで簡単なサンキューのメッセージ2通がさっと書けない?

「なんて書けばいい? ぼく、わかんないもん。」と次男。

Thank you for the gift とか、ちょっと遅いけどMerry Christmas とか、クリスマスはどうでしたかとか、できれば夏にカリフォルニアに行けたらいいと思いますとか、なんでもいいのよ。わからなかったら、お礼の書き方を検索すればいいじゃない。」 

なんで私がネイティブ・スピーカーに書き方を指導しなくてはいけないのだ? 次男は英語でもアドバンスのクラスにいる。それくらい自分の頭で考えられないのか。

呆れつつも、なだめすかし、「お礼しないと、来年は来ないわよ。」と脅して、どうにか書かせた。

グランパたちは、そうそうパソコンに張り付いているのではない。特にグランマは機械に弱い。ブラックベリーもマックも持っているのに、どうもわかっていない。グランマには電話をかけて、子どもたちのメッセージが届いたかどうか確認しなくては。

この間の電話では、グランパの世話でストレスがたまっているようだった。

あらゆるイベントが生きがいのような彼女には、さびしいクリスマスだったと思う。その上、私のようにまったくホリデーに無関心の嫁がいては、なんともお気の毒である。


          *


子どもたちが受け取った小切手は、グランパとグランマをTrustee(管財人)とする、Family Trust (家族信託)の口座から出されていた。

これまで何らかの理由でやり取りがあった小切手は、すべて普通の銀行口座から出ていた。義父が元気なうちに、トラストを作ったのかもしれない。そんな話を夫から聞いたことがあるような気がする。

でも、義父の財産分与に関しては、夫も私もまったく期待していない。

倹約家で、大企業に勤めたとはいえ、中間管理職で退職した、ごく普通の人だ。義父自身も、親からの遺産はなかった。南カリフォルニアでああいう素敵な家に住むには、相当のお金がかかるし、タイムシェアを持ち、クルーズや海外旅行もよくしていた。なによりグランマがブランド好きで、ちょっと見栄っ張りなところがあるので、支出も多かったはずだ。

夫の家系は長生きだし、これから介護が必要になったら、貯金はどんどん目減りする。

ベビーブーマーは親の遺産をたっぷり受け取る世代だと言われるが、それは甘いと思う。

「父はきっとリンにほとんどの財産を残すと思うよ。当然だけどね。」

後妻のリンは、15歳も年下。一人残される彼女の長い老後生活を支えるのが最優先事項である。

彼女には実の娘が2人いて、 姉のほうは裕福そうな(派手な)暮らしをしている。リンが未亡人になったら、彼女たちとうちの夫と夫の弟、合わせて4人(プラスそれぞれの配偶者)がリンを守るわけだが、義父は自分の息子たちに継母の面倒を見させることにかなり遠慮があるように見うけられる。

そのためのトラストかもしれない。そんな貴重な口座から、うちに100ドルも回してくれたと思うと、「そんなことしなくていいんですよ。」と言いたくなる。

「そうやって孫にプレゼントをするのも彼らの楽しみなんだよ。」と夫はいう。

それはわかっているけど、プレゼントをあげるのももらうのも苦手な私は、「悪いなあ。」と思うのだ。

何かお礼にできることはないだろうか。やっぱり夏に会いに行くべきか。


<今日の英語>

This is just a lawsuit waiting to happen.
これでは、いつ訴訟を起こされてもおかしくない。


玄関から続くレンガでできた道に、誰もがつまづいて転びそうな段差がある家について、不動産ブローカーが一言。




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タイヤ交換

2010.12.30 (木)



ミニバンのタイヤを交換するために、ディーラーに行って来た。

11月に車検があり、合格したものの、タイヤが磨り減っていると指摘された。「冬になる前に取り替えることをお勧めします。」とサービス・デスクのお兄さん。

私の車は2000年モデルで、走行距離は10万マイル(16万キロ)ちょっと。1年当たり1万マイル走った計算になるが、補習校への遠距離通学がなくなってからは1年に7000マイルも走っていないと思う。

私は車の仕組みをまったく知らない。

フッドを開けて、ワイパーと連動して出る青いガラス拭きの液体を入れる以外は何もしない。何もできないと言ったほうが正しい。あとはガソリンスタンドでガソリンを入れ、たまに洗車に持って行くだけだ。

「どれくらい磨り減っているんですか。」と聞くと、「4/32 インチ(3.17mm)です。」

そんな数字を言われても、どれくらい危ないのかさっぱり見当がつかない。

「2/32 (1.58mm)になると、車検に通りません。」

つまり、あと2/32インチはあるわけだ。それでも、どれだけ切羽詰った状況なのか、わからない。さらに質問をする。

「新品のタイヤの溝はどれくらい深いんですか。」

「10/32です。一般的に、4/32になったら交換したほうがいいと言われています。特にこれから雪が降ったり、道路が凍ったりすると、トラクションが問題になりますから。」

「タイヤ4本全部ですか。おいくら?」 一番知りたいのは金額だ。

お兄さんは、私の車種に合うタイヤの値段表を調べ、「ミシュランなら1本あたり149ドル。ヨコハマなら126ドル。取り付けも込みです。それに、Four Wheel Alignment (タイヤ4本の配置調整)で、99ドル95セント。全部で700ドルくらいですね。」

高い。高いが安全には代えられない。

「今日やらないと危ないということはないですよ。来店される前に、タイヤの在庫があるかどうか確認のお電話をください。もちろん、タイヤを他のお店で買って持って来ていただければ、こちらで取り付けだけすることもできます。」

そして、Fuel Induction Service もお勧めするとお兄さんは言った。燃費がよくなるし、排ガスも少なくなるのだそうだ。

でも、私は聞いたこともないものに129ドル99セントは払わない。第一、車検とオイルチェンジだけのつもりだったので、これ以上ここで時間を費やしたくない。

「それはいいです。タイヤの件だけ、また連絡します。」と答えて、ディーラーを後にした。

それが11月半ばのこと。


          *


12月31日までの割引クーポンもあったので、年内に済ませようと思っていたのが、あっというまに年末になった。

車の知識は皆無なのに(だから?)、ディーラーの話を信用していなかった私は、本当に4/32が交換基準なのかをネットで調べることにした。

2/32 では車検に合格しないというのは本当だった。

そして、4/32 でタイヤ交換を考え始めたほうがいいという専門家の話もあった。しかし、いったいどういう条件でどれくらい走れば、1/32インチ磨り減るのか。私みたいにめったに出かけず、遠くにも行かない場合は、かなりもつんじゃないだろうか。

車関連の話は、日本語で読むと混乱する。私は日本では免許もなく、車とは無縁だった。車に関する語彙は英語のほうが多い。だから、英語のサイトを読んだほうがまだしもわかるのだ。

そのうち、4/32 ではトラクションが不十分であり、雪道や濡れた道路では6/32 は必要という説明に出くわした。4/32 はあくまでも乾いた道路を基準にしているため、雪や氷はもちろんのこと、雨で濡れているときも4/32 ではハンドルしきれないとある。

タイヤ業界のサイトではなく、車愛好家の専門的なアドバイスだった。

そして、ハタと思い出した。

何週間か前、かなり気温が下がり、雨のあと、道路が一部凍ったことがあった。ゆっくり走ったのに何度もすべりそうになって、ヒヤヒヤした。

ゾッとして、すぐにディーラーに電話し、予約を入れた。予約日の2日前にブリザードがやってきたのだった。


           *


道路は除雪されていたが、まだ雪が残っていて、私は慎重に運転した。

念のため、windshield washer(フロンドガラスの洗浄液)を満タンにした。運転しながら、洗浄液を出していみたが、なぜか後ろには一滴も出てこない。以前にも同じことがあった。管の中が詰まっていたか、ノズルの角度が悪かったかのどちらかだった。料金を取られたことはない。

サービス・デスクで問題点を伝えると、

「すぐに原因がわからない場合は、ワイパーを分解して調べる必要があります。それだけで99ドルかかりますが、よろしいですか。」

車は本当に金食い虫である。

でも、これから吹雪の中を運転して、後ろが見えなかったら困る。ワイパーは動くが、やはりウォッシャーを流さないと、雪道運転の汚れは取れない。

承諾するしかない。診断の結果、もし部品の取替えや修理が必要になったら、事前に私に確認を取るという。

タイヤ交換とアラインメントだけで2時間待つことになっていた。送迎のシャトル・サービスでいったん家に戻ろうと思ったが、それもめんどくさいので、待合室で待つことにした。

そこには、インターネットに接続しているパソコンもあるし、テレビも雑誌もある。

家には夫と子どもたちだけだが、学校が休みになってから毎日彼らと一緒なので、開放されたくなっていた。今日はディーラーで1日過ごすつもりで、文庫本をかばんに詰めてある。


             *


結局、3時間半も待った。

待ちくたびれて、「ワイパーの件は今日でなくていいです」と告げにいったら、すべての点検修理が終わってロードテストに出たところだった。

ブリザードの影響か、飛び込みで修理に持ってきた人が何人かいたらしい。何のための予約かわからない。おかげで、待合室のテレビでHGTV(家の改築や室内装飾をテーマとするテレビ局)を延々と見てしまった(うちにもインテリア・デザイナーや庭師や大工などの専門家集団が来てくれないものだろうか)。

幸い、後ろのワイパーは分解せずに済んだらしい。洗浄液の管が詰まっていただけだったので、無料にしてくれた。

サービス・デスクに渡しておいたクーポンで10ドル引いてくれたが、税金込みで743ドル40セントになった。

高い足だ。

この車には15万マイル(24万キロ)まで乗るぞと決意する。これまで普通のメンテナンス以外は必要なかったし、いまどきの日本車は15万マイルくらい余裕で走ると聞いた。

次男が高校を卒業して、夫と私だけになったら、もうミニバンは要らない。それまでもってくれればいいのだ。


<今日の英語>

Sorry, but I was next.
すみません、私の番なんですけど。


ディーラーのサービス・デスクで、私より先に待っていたらしい男性が一言。その人は少し離れて立っていたので、誰かの連れだろうと思った。私が順番を抜かしてしまったとわかって、すぐに謝ってどいたが、ずうずうしい中年女だと思われたか。



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耳を疑ったコマーシャル

2010.12.31 (金)



クリスマスの朝、子どもたちは新しく手に入れたカードで真剣勝負をしていた。 

見てもいないのに、テレビがついている。夫もそうだが、どうしてうちの男たちは意味もなくテレビをつけっぱなしにするのだろうか。

「なんとかマラソン」となうって、シリーズものの映画を連続して放映するのはホリデーによくあることだ。よっぽど暇をもてあます人向けなのか、あるいはテレビ局もお休みしたくてお手軽な番組制作になるのか。

いつの祝日だったか忘れたが、"Back to the Future" と"Indiana Jones" を一挙に放映していたことがあった。

それぞれ3部あるが(後者の4作目はとんでもない駄作だったので、私の記憶から抹消した)、私はすべて個別に見ているはずなのに、話がごちゃまぜになってしまった。さすがに両方の映画が混じることはないが、「これって、中国人のおじさんが手にやけどして、雪で冷やすやつ?」だの「ヒンデンブルクでみんながチケットを一斉に見せるやつ?」だの、つい確認してしまう。

子どもたちは、「ちがーう。それは2番目のだよ。」と呆れたり、「おかあさん、わかってないでしょ。」と今目の前で放映されている作品のあらすじを説明してくれたりする。

自分でも不思議なくらい、本当に混乱する。説明してもらったところですぐ忘れる。

その最たるものが"Star Wars".

アメリカに来てから見たのだが、最初の3部作も消化できなかったのに、実はそれはエピソード4・5・6で、sequel (続編)ならぬ prequel (過去を描く続編)というエピソード1・2・3が出てきて、私の混乱に拍車をかけた。

エピソード1は子どもたちと夫に付き合って映画館で見た。CGを駆使した画面も、こねくり回したストーリーもおもしろくなかった。

記憶に残ったのは、チンドン屋みたいな格好のパドメと、ヘラヘラした非常にいらつく醜い動物男(名前も忘れた)と、延々と続くポッド・レーシングともたついた戦いのシーン。あれだけテクノロジーが進んでいるのに、なんで刀で戦うのか。しかも、動きにくいローブなんか着て。

どうもよくわからん。

エピソード2と3は見なかった。でも、映画評は読んだので、だいたいの筋書きは知っていた。またエピソード1みたいな出来だったなら、ハリソン・フォードが出ていた昔の(でも、実際は後に起こったことになっている)3編を上映したほうがマシだと思った。

その後、テレビでもしょっちゅう放映され、こどもたちは何回でも見ていた。

私は「ハリソン・フォード、若いわ~!」とか「プリンセス・レーアの人、もう少しどうにかならない?」とか、通りがかって口を挟むくらいだった。おとぎ話と同じく、いろんな話がごちゃまぜになっているので、ストーリーはあえて追わない。


             *


クリスマスの朝も、スター・ウォーズ・マラソンだと子どもたちが言うので、カードゲーム8割、映画2割くらいだろうと思いつつ、テレビはそのままにしておいた。

子どもたちはリビングルームのブラインドも開けずに、カードの細かい字を読んでいた。目が悪くなる。言っても動きそうにないので、私が開けて回った。2つ目の窓に向かったとき、ちょうどコマーシャルに切り替わった。

スターウォーズ6作を全部放映したら何時間になるんだろう。コマーシャルを挟んでいたら、1日がかりじゃないだろうか。

ブラインドの紐を引きながら、ぼんやり考えていると、突然テレビから女の子数人のはしゃぐ声がした。

そして、vibrating, intense pleasure, Trojan といった単語が耳に入った。えっ?と思った。聞き間違いかと思った。ちらっと画面を見ると、やっぱり若い女の子数人がきゃあきゃあしゃべっている。インフォマーシャルらしい。トロージャンはコンドームの会社だ。

テレビに背を向けていた次男が、ふりかえって"What?!.. Ew.."とつぶやき、またカードに戻った。長男は聞こえなかったのか、知らんぷりをしていたのか、ずっとカードに集中していた。

私には画面を見続ける勇気がなかった。子どもたちがソファでカードをしている部屋のテレビが、大人のおもちゃを宣伝しているという事実に硬直した。そそくさと、ブラインドを開けているうちに、そのコマーシャルは終わった。

今のはいったい何だったんだろう。

あとで調べたら、Spike というケーブル・チャンネルだった。アダルト・チャンネルでもない(そんな契約はしていない)、基本パッケージに入っている局だ。

ピューリタン思想にとらわれ、表向きはセックスや裸に過敏で、成人ものを厳しく規制するアメリカで、真昼間からこんなコマーシャルが流れているとは知らなかった。しかも、あの女の子達は、下手するとハイスクールか、せいぜい女子大生に見えた。ちなみに裸でも下着でもなかった。

バイブレーターは、"Sex and the City"のエピソードにも出てきたが(私は一時期TBSで再放送を見ていた)、あれはあくまでも大人向けの番組だ。もともとのHBOでも放映時間は遅かったはずである。

別に性具を売ってもいいし、広告を出してもいいが、スターウォーズとの組み合わせに驚いた。


             *


映画と同じように、テレビにも Rating(格付け)がある。

TV-GとかTV-PGなら子どもでもOK。TV-14は14歳以上、TVーMAは17歳以上。それ以外に、番組が始まる前に、「この番組には、成人向けの内容(暴力、セックス、卑猥な言語など)が含まれています」と注意書きが出る。

Spikeはディズニー・チャンネルではない。でも、スターウォーズのコマーシャルがバイブレーター? しかも、クリスマスの朝に?

どうも気になって検索してみたら、憤慨した母親たちのページに出くわした。私の幻覚ではなかった。

このコマーシャルは、すでに今年の9月からComedy Central やMTVなどのケーブル局で流れていたことがわかった。世間が騒いでいたら私でも知っていただろうから、視聴者からの抵抗はそれほどなかったと思われる(画面ではバイブレーターという品名は出さず、実物の画像も出さない契約になっているそうだ)。それとも、私がぼんやりしている間に、論争が終わっていたのかもしれない。

「あの局だったら、成人向けコマーシャルが出てもおかしくない。用心しなくちゃね。だから、うちの子にはテレビを一切見せないの。」

「ヨーロッパでやってるコマーシャルに比べたら、アメリカのなんか全部Rated-G(一般向け)よ。」

「こうやって消費者の感覚が麻痺していく。」

MTVはもっと早い時間でのコマーシャル放映を検討してるんですって。」

「アメリカは検閲がうるさすぎ。隠したって、しょうがないじゃない。ディズニー・チャンネルでやったら問題だけど。」

彼女たちの子どもはもっと小さいようだ。うちみたいにティーンエージャーの親らしきコメントはなかった。


           *


こんなコメントがあった。

「スケベ親父たちが若返ろうと必死になってるバイアグラのコマーシャルより、まだしも耐えられると思う。」

バイアグラやシアリスを売っている製薬会社は、夕方6時半のネットワーク・ニュースの合間にもしょっちゅうコマーシャルを流している。それも遠まわしに、中年以降のカップルがいちゃついている(微笑ましさとは対極にある)シーンを妙なBGMとナレーション付きで映す。

しかも、心臓に持病のある人はどうの、持続時間が何時間を超えたら医者に行けだの、副作用の警告が続く。そこまでしてやりたいのかね。女性も乗り気であるかのように振舞っているが、私には男の身勝手なファンタジー・コマーシャルにしか見えない。しらける。

かなり前に、長男が夫に「あれは何?」と聞いたことがある。

夫は「年を取った男に必要な薬だよ。」と答えた。長男はそれ以上追及しなかった。

きっと今でも、小さい子どもたちに質問されている親があちこちにいるだろう。


           *


日本では、バイアグラが申請後5ヶ月という異様な早さで承認された。

議員の大多数を占める男のエゴ丸出し。どんなに真面目くさった顔で賛成票を投じたのか、見てみたい。

それに対して、低用量ピルは9年近くも「審議」にかけられて、だらだらと承認を先延ばしされたあげく、バイアグラ承認後わずか半年で条件付認可となった。

条件付とは馬鹿にしているが、男の快楽のためには、官僚手続きをインパラ並みに駆け抜けてみせた手前、妊娠(ひいては中絶、出産にかかわる)という女性の基本的権利をほったらかしにできなかったものとみえる。

ピル認可について検討するための厚生省公衆衛生審議会は、十人以上の委員から成り立っていたが、ある時期まで女性の委員は一人もいなかったそうだ。冗談ではない。

そう考えると、ED がどうの、いつでも準備OKだの、ムカッとくるコマーシャルが夕食時に流れるよりは、若い女の子たちがキャーキャー楽しそうに大人のおもちゃを囲み、ブライダル・シャワーみたいな雰囲気で、あっけらかんとおしゃべりしているほうがましかもしれない。

どっちもどっちか。

いや、私はバイアグラとシアリスのコマーシャルに辟易しているのだ。夫や子どもがテレビをつけていれば、否応なく目や耳に入ってくる。

男の快楽成就ばかり押しつけられると、女のほうはどうしてくれる?と言いたくなる。バイブレーターのコマーシャルはむしろ歓迎すべきなのかもしれない。

でも、やっぱりスター・ウォーズはないんじゃないの?


<今日の英語>

I think it's just more of the slippery slope.
危険な道に踏み込んでいくだけだと思う。


文字通りには、滑りやすい坂道。転じて、危険な先行き・展開。「これはもう坂道を転げ落ちていくようなもの。あと5年もすれば、朝7時のニュース番組でバイブレーターのコマーシャルを見せられるようになるんじゃない?」と皮肉なコメントを寄せた母親。




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