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<今日の英語> 2010年10月掲載

2010.11.02 (火)



10/5/10
I almost fell over.
倒れそうなほど驚きました。

10/7/10
It was very much a Band-Aid.
一時しのぎにすぎなかった。

10/8/10
After all, I can’t take it with me.
どっちみち、持って行けない。

10/9/10
I can go grab one.
私が取ってきます。

10/11/10
I can stay.
まだ居られます。

10/13/10
If I make an exception for you, then I have to make an exception for everyone.
あなたを例外にすると、全員を例外にしなくてはなりません。

10/15/10
I hate seeing an empty room with the lights on.
誰もいない部屋に電気がついているのを見るのは、とても嫌だ。

10/17/10
I'll meet you at the front.
レジで待ってるから。

10/18/10
Nice and easy.
無理しないで、そうっと。

10/19/10
You should take it with a grain of salt.
話半分に聞いておいたほうがいいですよ。

10/20/10
What if it doesn't work?
もしうまく行かなかったらどうするの。

10/23/10
I can vouch for that.
それは私が保証します。

10/24/10
It's not for me.
それは私の趣味じゃないの。

10/26/10
Who has time for that crap?
誰がそんなくだらないことをやる時間があるの?

10/28/10
You are not missing a thing.
あなたは何も見逃していませんよ。

10/30/10
Why don't you look it up on the internet?
ネットで調べてみたら?

10/31/10
More later.
詳しいことは後で。
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危うい中間選挙

2010.11.03 (水)



商業主義イベントの一つが終わったところで、中間選挙である。  

私は「自分の利益が守られるかどうか」というのが唯一の関心なのだが、健康保険改革も景気刺激策も細かいところはよくわからない。情報がありすぎて、お手上げ状態。

それでも、投票日直前まで民主党がどれほど必死だったかはよくわかった。

やめときゃいいのに、夫はずっと民主党に登録している。ただし、集会にも資金集めのパーティにも行かない。最後に政治献金をしたのは、たぶんブッシュ再選を阻止しようとしたときだ。それでも、こういうときは名簿に載っているだけで(選挙時限定の)貴重な有権者らしい。

ここ10日ほど、電話攻勢がすごかった。

毎回選挙の前はそうだが、今年は1日に数回かかったこともあった。たいていはロボ・コール(robot call の略か)と呼ばれる録音済みのメッセージが流れる。今年は3分の1くらいが生身の人間だった。候補者本人ではなくて、選挙運動員が「投票日には候補者Aを支持してくださいますか。」などと尋ねる。

夫はヘッドフォーンをしていて電話には出ないので、私が対応せねばならない。

留守電に答えさせるようにしていたが、うっかり出てしまったことも多い。Caller ID には「民主党」「候補者A」などという表示は出ない。あまり立て続けにかかってきたときは、「もう電話しないでください。」と言ったこともある。

これも夫が民主党に登録しているのがいけないのだ。夫の名前と電話番号が載った名簿は、大量に複製配布されたらしい。


         *


ロボ・コールだったら、私はすぐに切る。こんなのを聞かせるために電話口に呼びつけたのかとイラッとする。

テキもそのへんはよくわかっているらしく、有名人を活用する。

「エド・コッチです。」 「ビル・クリントンです。」

声を聞けば、誰でもすぐわかるような人たちだ。

これも録音だとわかっていても、一瞬ドキッとする。そして、多少は言い分を聞いてあげようという気になる。しかし、受話器を置いたあとは、結局何を言われたのか覚えていない。民主党をよろしくということなのだが、それで目的は達成されたのだろう。

人間の場合は、私が誰かも確かめずに、いきなり「民主党のAをサポートしてください。」という頼みもあれば、夫につなげというのもある。

「いま電話に出られません。」と言うと、「では、あなたもぜひ民主党に。」と続く。「私には投票権がありません。」と答えると、一瞬間があく。そして、そそくさと電話を切られる。

1票に結びつかないおしゃべりは無用らしい。


           *


私はオバマの"Change" にも"Yes, we can!"にも食傷気味だったし、たいして期待していなかった。だいたい私はヒラリーを推していたのだ。

もちろん、誰が大統領になっても、ジョージ・まぬけブッシュが始めた戦争のツケを引きずりつつ、失業率が10%近い不況をそう簡単に改善できるわけがない。
私は期待値が低かった分だけ失望も小さいのだが、そうでないアメリカ国民が多いらしく、オバマの支持率は37%まで下がった。

私にはオバマが八方美人に見える。どうにか医療保険改革法案に署名したものも、あっちをなだめ、こっちの言い分を聞きという感じだった。もっと思い切って自分の信じることをやれ!と思う。

いみじくもJon Stewartがオバマのやり方をtimid (臆病な)と評していた。景気刺激策も、ニューディールに比べると中途半端なのだそうだ。

政府が国民の税金をつぎ込んで大企業を救済し、身分不相応な家を買って借金が払えなくなった人を援助したりするのを見れば、「自分は収入に見合った生活をして、ちゃんとローンも払ってきた。それなのに、不動産バブルで家を抵当にローンを組んでクルーズに出かけた人の尻拭いをするのは不公平だ。」という声があがる。

貯金に励む私には、彼らの気持ちがわかる。まじめにやってきた人が損をするのはおかしい。ついでに、イラク侵略戦争に費やした税金も返してほしい。

選挙当日になって今さらどうしようもないのだろうが、これでお茶会のおばさんたちが大躍進して、「健康保険の話は白紙に戻すわね。」なんてことになったら困る。


           *


ところで、アメリカでは市民権がなければ投票できない。

2週間前のNYタイムズに、うっかり投票して強制送還されそうになっている人の記事が出ていた。

彼は私と同じく永住権しか持っていないのだが、1992年に初めて投票し、その後の大統領選挙で毎回投票してきた。2008年に市民権を申請し、2009年に面接を受けた。その際、聞かれもしないのに、投票したことを話した。それは選挙法違反というわけで、ちろん市民権は拒否され、国外退去かどうかの瀬戸際に追い込まれている。

彼にはアメリカ生まれ(アメリカ市民権を持つ)の子どももいるし、1984年からアメリカに住んでいて、前科はない。

ブルックリンの登録所でグリーンカードを持っていることを告げたところ、「税金を払っているなら投票権があります。」と係りに正しくない説明をされた。そのまま登録し、投票したのがただ一つの過ちとなった。

実際に投票しなくても、選挙人として登録するだけでも違法なのだそうだ。

いかにもありそうな誤解である。

ご近所のお父さんが地元の教育関係の公的機関に立候補するとかで、一家でうちに署名を集めに来たことがあった。夫は不在だと告げると、「あなたも署名してくれませんか。」と頼まれた。

私はグリーンカードだけで市民権を持っていないからできないと説明すると、非常に驚かれた。彼は行政学の博士号を持っているし、奥さんは弁護士だ。

そういう人たちでも知らないのである。

「署名だけだから、いいんじゃないかな。」と言われたが、「その用紙のどこかに規定は載っていませんか。」と確かめてもらった。そうしたら、やはりアメリカ市民に限ると書いてあった。彼らは残念そうに帰っていった。

市町村によっては、ローカルの選挙なら永住権だけでも投票できるところがあるというから、ややこしい。でも、私はNYタイムズの記事を読んで、やはり慎重を期してよかったとホッとした。


         *


というわけで、今日の中間選挙でも単なる傍観者なのだが、民主党の大敗は確実らしい。

医療保険改革について、国民の60%が取り止めに賛成だと聞いて驚いた。

そして、サラ・ペイリンが「他に誰もいないならぁ、アタシが次の大統領に立候補しようかしらん。」とほざいている。まさかと思うが、あの間抜け能無しブッシュを2回も大統領に選んだ国である。

誰が首相でも同じ、どうせ1年足らずで交代だよという日本も困るが、アメリカもかなり危ない。


<今日の英語>

The rest kind of fell into place.
あとはなんとなくうまく行った。


あるインタビュー番組の製作者が、どうやって番組の構成を作り上げたのかと聞かれて、「実はまったく別のコンセプトでやろうと思っていました。でも、番組の名前が決まったら、あとのことはあるべき所に自然に収まったという感じになりました。」



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夫からのテキスト・メッセージ

2010.11.04 (木)



フィジカル・セラピーに行くためにガレージから車を出し、いったんドライブウェイに停めて、携帯の電源を入れた。

私の携帯は、外出時の緊急連絡用である。家の中では電波が届きにくいし、重要な連絡は固定電話かメールで入ってくる。だから、出かけるときにつけて、帰宅したら消す。

電源が入ると、携帯会社お仕着せのトーンがする。念のために、電話があったかどうかを画面で確認する。

たいてい何もないか、すでに固定電話にかかってきた連絡がダブっている。最近は「クレジットカードを作りませんか」とか「おすすめ金融商品のお知らせ」とか迷惑な広告が入る(どんなものを受信しても私に支払い義務がある。そういうものかと思っていたら、日本ではかけたほうが料金を負担すると聞いて驚いた)。

私はテキストを送る必要がないので、どうやって書くのか知らない。届いたのを読むことしかできない。それで生活に支障はない。

今日は "New Message" という文字とそれを知らせる短いトーンがあった。またジャンクメールかと受信箱を見ると、夫の携帯の番号からのテキスト・メッセージだった。

夫からそんなものを受け取ったことは一度もない。

開けてみたら、こうだった。

No I bed trying to sleep
[09:43:27 AM]
***END***

どうやらルーマニアあてのメッセージを間違えて私に送ってしまったらしい。

朝9時半なら、昼夜逆転の夫はまた一眠りするころだ。寝ぼけていて、間違って送信したに違いない。きっとあちらからチャットのお誘いでもあったのだろう。ルーマニア女と私は電話帳で並んでいるのかもしれない。


         *


夫が失態に気づいているのかどうかは、わからない。私はしらんぷりをすることにした。

バッカだねえと思った。どうせこんなことをしているのはわかっていたので、怒りや失望という感情はなくて、ただ笑えた。不愉快というより呆れた。

夫は本当に下手だ。すぐにしっぽを出す。

それにしても、ルーマニア女は夫からの返信がなかったのを不思議に思っただろうか。前に夫の携帯を見たときは、3人くらいの名前があったので、これが誰宛なのか特定できない。

私は返事はきちんとするほうなので、妙に気になる。行き違いがあったことを説明したくなる。

「いつも夫がお世話になってます。夫はうっかりして私にテキストを送ってしまったようです。いま寝ていますので、起きたら気がつくと思います。それまでお待ちください。妻より。」

と彼女ら全員に送信したらどうだろう。

とりあえず、夫からのテキストメッセージは永久保存することにした。




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予想外の遅延

2010.11.05 (金)



1週間ほど前、夫の会社から珍しく封書が届いた。

まだ在職中ではあるものの、もう1年半も職場を離れていれば、会社が遠く感じる。休職が決まってから、会社の人事よりも長期療養を担当する保険会社と話をするほうが増えた。

改まって手紙が来ると、つい悪い知らせかと思う。

でも、今は来年度の健康保険を決める時期なので、きっと締切日までに済ませるようにという話だろうと、台所のカウンターに置いておいた。夫宛なので、私には開けられない。

他にもいくつか封書があるが、差出人で医療関連だとわかる。そちらはレポートなので急ぎではない。しかし、会社からの手紙は早く確認したほうがいい。来年度の保険料の情報がなぜか登録開始日になっても保険会社のサイトに現れないのも不安だ。

夫はこういうことも後回ししたがるので、これもしばらくほったらかしだったが、そんなことは言っていられない。

台所で夫を待ち受けて「これ、開けてもいい?」と聞いた。会社関係ではやましいことはないらしく、もちろんとうなづく。

やはり題目は来年度の保険加入についてだったが、内容はまったく予期しないものだった。


        *


医療保険改革法案がまだ流動的なので、申し込み開始は12月第1週まで延期すると書いてあった。締め切りはクリスマス直前。つまり2週間の間に来年度1年間の家族の健康保険のオプションを決めなくてはならない。

うちは例年同じようなものを選ぶので、1日で決められるが、もっと真剣にいろんなオプションを比較検討する人は2週間では足らないかもしれない。

夫はいつも大企業で働いてきたが、こんな事態は私の知る21年間で初めてだ。

毎年たいてい10月半ばから11月半ばまでの1ヶ月間が申し込み期間になっていた。その時期にはメディアでも取り上げられるので、どこの会社も同じようなものだと思う。

これは中間選挙の結果を待って郵送されたのではない。2010年10月の日付だし、選挙の前に届いている。

今回の遅延が果たして夫の会社だけなのか、他でも起きているのかわからない。大きなニュースにはなっていないと思う。

あるいは、こうなることは世間では予想済みのことだったのか。

手紙には、「当社では、医療保険改革法案の影響を調査する特別チームを作り、この数ヶ月間取り組んで来ましたが、いくつかの事項については、まだ結論が出ていません。それも例年よりスケジュールが遅れている理由の一つです。」とある。

保険会社のほうでも来年度の保険料をまだ決められないのだろうか。詳しい事情は何も書いてない。


          *


うちはおそらく3月までしか今の保険は使えない。退社後も、会社負担の分も自腹で払うという条件で最長18ヶ月間は継続できるが、その時点で2年間休職していたことになるから、どうなるかわからない。

そうしたら、いよいよ private insurance と呼ばれる個人向け民間保険を自費で買わねばならない。

G氏のスタートアップは小さいので、従業員に保険は提供しない。もし夫が入社したら、保険料を給料に上乗せすると言ってくれたそうだ。

それで、いくらになるかネットで検索してみた。

まずメンタル・ヘルスを含む保険はかなり限られる。あっても適用範囲は狭い。

うちの郵便番号と全員の年齢を入れ、ニューヨーク州の家族4人分で探すと、

Medical  $3427
Dental  $115
Vision  $35

合計$3577(1ドル100円として、35万円!?)。これは1か月分の保険料である。1年とすると、 $42924(430万円)。さすがのG氏もこれだけ上乗せして給料を払ってはくれないだろう。

メンタル・ヘルスがなければ、$1505というのがあった。そうすると、歯科・眼科と合わせて毎月の保険料が$1655。

これらの数字は保険料だけで、実際の治療には自己負担額がある。適用されない治療や処方薬もありえる。それは自腹。

G氏のいるメリーランド州の郵便番号で調べたところ、メンタル・ヘルスありでは1ヶ月$965、なしでは $507というのがあった。やはりニューヨークは高いらしい。

でも、これらの数字はあくまでもウェブサイトでの見積もりで、夫や私の健康状態や既往症によっては保険料が上げられたり、最悪の場合は加入を拒否されることもありえる。

私は、夫が定年まで今の大企業に勤めるだろうと漠然と考えていた。だから、アメリカの医療保険問題は他人事に近かった。夫がパニック障害で休職し、躁うつ病だと診断されてから、ようやく先行き不透明の怖さがわかってきた。

なにごとも自分の身にふりかかって初めてわかるというものだ。

いくら高額でも、無保険というわけにはいかない。それこそ自己破産への道まっしぐらとなる。

かくなるうえは、G氏のスタートアップが軌道に乗り、個人で保険料をさらっと払えるくらいの給料を出してくれることを願うのみである。


<今日の英語>

Next time I'll write it down.
この次は紙に書いてくるわ。


セラピー・センターでペダルをこぎながらおしゃべりしていた2人のおばあさん。
1人がレシピの説明をしていたが、ややこしくてこんがらがってきたらしい。



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 |  医療  |  コメント(3)

今度は左手

2010.11.08 (月)


1週間前のフィジカル・セラピーのあとで、急に左手が痛くなった。

左手の親指の下にある内側のぷくっとしたところが腫れて見えた。押すと、鈍い痛みがある。これまでにも手首が痛いことはあったが、こんな症状は初めてである。

私は右ひじの治療でセラピーに通っているのだが、セラピストのエンジェルは「左もやりなさい。」と言う。シンメトリーが大事なんだそうだ。

疑問を持ちつつ、左も鍛えるに越したことはないと思って、右手にウェイトを持って腕を曲げ伸ばししたら、左手でも同じことをした。ペダルを手で回したり、滑車を引っぱったりするのは両手を使うので、自然と左右対称の運動となった。

左には何のトラブルもないまま、右ひじもなんとなく良くなってきたかなというときだった。それまで1ポンド(453g)のウェイトを使っていたのだが、もう簡単すぎて効果がないという理由で2ポンドのを渡された。

ウェイトの棚を見たら、1ポンド単位で重くなっていた。2ポンドから3ポンド、3ポンドから4ポンドへ移るのはいいとしても、1ポンドから2ポンドはいきなり倍である。他のセラピー・センターはどうなのか知らないが、せめて1.5 ポンドのウェイトはないのだろうか。

回数をごまかしつつ、セラピーを終えた。

左手に違和感があったのはその夜だった。ふだん使わない左手の筋肉痛だなと思った。左の手首も少し痛かった。

次のセラピーにはどうも行く気がしなくて、初めてずる休みした。もちろん電話で連絡したが、それまで毎週3回もまじめに出かけて、根が出不精で付き合いの悪い私は精神的に疲れていたのだ。

その次のセラピーでは、左手を極力使わないようにした。シンメトリーはどうでもいい。私は右ひじだけが治ればいいのだ。

ぷくっとしたところはたぶん筋肉だから、筋肉痛だ。幸い、手首の痛みはすぐ引いたが、手のひらの親指側には鈍い痛みが残った。親指の下を押すと、テニスひじのピリッとした痛みではなくて、ズキズキというかヒリヒリする。


         *


金曜日は初めてブライアンがマッサージしてくれた。本当は1人がずっと担当すべきなのだろうが、シンディもエンジェルもいなかった。初日のアーノルドを入れて、これで4人目である。

始める前にひじの状態を質問された。

「ひじは、朝起きてもごくわずかしか痛みません。ミルクのボトルを持ち上げたりすると、まだピリッとしますが、以前ほどではありません。」と答えた後で、左手の痛いところを指した。「むしろこっちのほうが痛いくらいなんですけど。右をかばおうとして、左に負担をかけすぎたんでしょうか。」

ブライアンは、だまって私の親指を曲げ伸ばししたり、ふくらんだ部分を押さえたりした。「これはたぶんarthritis (関節炎)ですよ。」

そういわれて、2つのイメージが浮かんだ。

1つは関節炎の治療薬を宣伝するコマーシャル。孫娘の髪を編んであげられなくなったおばあさんが、薬のおかげでまたできるようになったというもので、老人の病気だと思わせた。

もう1つは、私の手を見た主治医が言った「あなたみたいな手の持ち主は、関節炎になりやすいのよ。」という一言。その頃、私はまだ40にもなっていなかった。特に節くれだった指ではない。むしろ人には、労働しない手と言われたことがあるくらいヤワな手だ。

ブライアンは医者ではないが、フィジカル・セラピストだからいろんな体を見てきている。もしかして私の症状は典型的なものかもしれない。

それにしても、痛いのはぷくっとした柔らかいところで、骨ではないのが不思議だ。

なぜかその日は1時間のセッションで終わり、滑車もボールも使わないでいいと言われた。治療は右ひじだけで、左手には何もされなかった。医者の診断がないからだろうか。追加の治療をしたら、またお金がかかるからか。

ともかくなるべく左手を使わないようにして過ごした。

ブライアンのマッサージは、他の3人のセラピストより群を抜いてうまかった。


         *


ところが、その夜、車のシートベルトを引っぱろうとしたら、左手が痛くてできない。しかたなく、右手を添えて、両手で引っぱってようやくはめた。

スーパーに行ったら、今度はショッピングカートを押すと左手が痛い。

家でふきんを絞ろうとしたら、やはり左手が痛い。

そのほかにもちょっとしたことで左手がズキズキヒリヒリする。左手といっても、手のひらの親指の下の部分だ。私のイメージする関節炎は、骨が痛くなるもので、柔らかいところが痛くなるのは変だ。

ネットで検索してみたら、そのものズバリの症状があった。

Basal Joint Arthritis

親指の関節炎にも手の甲の側や手首に近いほうまでいろいろあるらしいが、私の場合はこの図解で示された場所だ。

日本語では「母指CM関節症」の症状に近い気がする。これがBasal Joint Arthritisと同じかどうかわからない。

原因や治療法を探してみた。40歳以上の女性で、閉経期に特に多い。これといった原因は特定できず、老化現象とされる。職業がら手を酷使したり、怪我をしたり、他の病気の影響でなったりということもあるらしい。レントゲンを撮ればはっきりわかるという。

右も左も故障では困る。しかも、関節炎はテニスひじよりもっと深刻そうだ。

ともかくなるべく左手に力をかけないようにして、マッサージをしたり、冷やしたり暖めたりしてみた。ブログも書かなかった。


           *


フィジカル・セラピーは今週で終わるが、整形外科医の予約は今月末だ。それもテニスひじのフォローアップだけである。もっと早く診てもらうべきか。

夫は「カルシウムの取りすぎじゃないかな。」などとトンチンカンなことを言う。

私はもともと力がないので、ビンのふたを開けるときはテコの原理を応用した道具やゴム製のホルダーを使ったりした。それでたいていのものは開けられたが、本当に関節炎だったら、そんなことも難しくなる。

アメリカに来たばかりの頃、夫の祖母を訪ねて南部に行ったことがある。彼女は電動の缶切りを使っていた。アメリカ人はこんなことも機械にやらせるのかと驚いた。

彼女は心臓の手術をして自宅に戻ったばかりだった。それでもコーンブレッドやパウンドケーキを作ってくれた。たぶん80歳くらいだった。電動の缶切りはおそらく必需品だったのだろう。怠け者ではなくて、もうキコキコと手を動かして缶を開ける力はなかったのだ。

それに気がついたのは、彼女が亡くなって何年も経ってからのことである。

【関連記事】
フィジカル・セラピー初日 2010.10.09
信ずるものは救われる? 2010.10.11
フィジカル・セラピー終了 2010.11.16


<今日の英語>

The swelling has come down quite a bit.
腫れはかなり引きました。


ひざの手術を受けた人がセラピストに術後の状態を説明したときの一言。



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理想の老人ホーム

2010.11.09 (火)



朝日新聞に渡邉美樹という人のインタビューが載っていた。

ワタミという外食産業から始まった会社の社長で、手広く事業を展開しているらしい。名前は聞いたことがあるが、その会社のチェーン店に行ったことはない。

朝日の記事に「80歳まで屋久島で登り続ける」という見出しがあったので、そんなに高い山が屋久島にあるのかなと思って読み始めた。

2004年に畑違いの介護産業に進出し、今や全国に56ヵ所の介護施設を運営しているという(もう日本では老人ホームとは呼ばないのだろうか)。「驚き、感動していただける最高のサービス」「心からありがとうを言ってもらえるサービス」の提供をモットーにしているとある。

そんなきれいごとが通用するものかと鼻白む。

入居金は700万から800万円。一般的には2000万円相当のサービスを、三分の一くらいの費用でまかなっているという。

最近、老化をヒシヒシと感じている私は、がぜん興味を持った。


         *


「ワタミの介護」というウェブサイトを見てみた。

入居金は250万から3680万円まで、いろんなプランがあった。それとは別に月額利用額が設定されていて、17万円から25万円くらいまである。それ以外に、介護保険給付一割負担額というのがかかるらしい。私が渡米してからできた介護保険についてはよく知らないが、これも健康保険と同じで、一割が二割、三割と増えていくのだろうか。

1ドル80円ではドルで貯めたお金もずいぶん目減りする。日本に住めないなあと思う。

特に私のように絶対に個室でないと暮らせない人間は高くつく。アクティビティなんかいらないし、ヒノキのお風呂でなくてもいいから、個室がほしい。

それと同じくらい重要なのは食事だ。私は偏食なのに食いしん坊ときている。

いつかアメリカの老人ホームの食事について調べたことがある(そのときの記事はこちら)。あれを見ると、老後をアメリカで過ごすのが憂鬱になる。

ワタミの食事はどうか。

「ワタミのお食事」というページがあった。

目の毒というのはこれだ。この食事の写真だけで日本に帰りたくなった。

有機米や季節のメニューなんて贅沢は言わない。毎日ふつうのご飯でいい。こんな食事を出してもらえるなら、相部屋でもいいですと言うべきか。いや、プライバシーだけは譲れない。ワタミにはもっと個室を増やしてもらわねば。


          *


アメリカでもワタミのような経営理念を持って老人ホームを経営している会社があるかもしれない。でも、日本の食事と気配りは期待できない。

私はアメリカに骨を埋めるつもりでいるものの、ちょっと体調が悪くなると、「一人になったらどうしよう。」と考える。

夫はほぼ確実に私より先に死ぬ。子どもたちに負担をかけるわけには行かない。老人ホームに入れてくれればいいのだが、死ぬまでアメリカの食事かと思うとげんなりする。

日本には帰らないと夫には常々言っているが、自分が弱いときは気持ちがぐらつく。

私がアメリカ市民権のテスト問題を子どもたちと話していると、夫は「本当にアメリカ市民になるのか。」と聞く。「子どもたちが独立して、ぼくが死んだら、きっと日本に帰りたくなるよ。日本国籍は持っていたほうがいい。」と言う。

「その頃には日本に誰も知り合いがいないと思うから、いいのよ、死ぬまでアメリカで。こっちの生活に慣れたら、日本は住みにくいの。」と答えつつ、「でも、アメリカの老人ホームの食事がねえ。」と心の中で思う。ボケ始めても英語で話さなくちゃいけないのもねえ。

21年前に結婚して渡米したときは、当然アメリカに永住するつもりでいたし、老後のことなど具体的には何も考えていなかった。


          *


アメリカのソーシャル・セキュリティ全額受給年齢(67歳)になるまで、15年以上ある(62歳からもらえるが、3割引かれる)。だから、今もってそれほど具体的な計画はないのだが、体が老化現象を現し始めたとあっては多少は真剣に考えざるを得ない。

ヨーロッパのように福祉が充実していればまだしも、アメリカでは老後も弱肉強食。先立つものがなければ、劣悪なナーシング・ホームに行くしかない。

もちろんワタミの介護施設に入るのにもお金がいる。ドルを持って帰国して、「円に換算したら、足りません。」なんて言われたらどうしよう。やっぱり最後に頼れるのはお金だといういつもの結論に達する。

失業率は9.6%のままなのに、なぜか株価は回復してきた。またドッカーンと下がるかもしれないが、投資会社のサイトで見る総資産の数字が日ごとに大きくなるのはうれしい。

この間、長男に株価の説明をしてやったら、「それって、ギャンブルじゃない?」と言われた。「そうなのよ。上がるか下がるか、誰にもわからないしね。」と答えつつ、私(と夫)の老後資金はギャンブルかとどきりとした。

401KでもIRAでも、投資の素人がファンドを選んで、自分のお金を賭けている。そんな無謀な老後対策が当たり前の国に住んでいる。


<今日の英語>

It's crummy.
ひどい天気だよ。


セラピーセンターで天気のことを話していたおじさん。寒くて、風が強く、アラレとヒョウが舞い、雪というよりは氷雨が降る、薄暗い日だった。非常に不快で、具合が悪くなりそうな、いやあな気候を評して。




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 |  社会  |  コメント(5)

夫と私の寿命

2010.11.09 (火)



投資会社のサイトで、引退資金のシミュレーションをやってみた。

現在の資産はいくらあって、何歳まで生きるとして、あとどれだけお金を貯めたらいいかという試算である。

最近の株価上昇のおかげでかなり持ち直し、これだけあればなんとかなりそうな気になっていたのだが、老人ホームの費用とアメリカの医療費を考えると楽観的すぎないかと心配になってきた。

ニュースで見聞きするアメリカ人の引退資金の少なさに驚く。ベビーブーマーがいっせいに引退したらどうなるのか、想像すると恐ろしい。昔のように、引退して10年か15年で死ぬ時代ではない。アメリカだって寿命が延びているのである(女性81歳、男性76歳)。

私は世界一の長寿を誇る日本人女性だが、アメリカに住んでいる分だけ寿命は短いと思う。ただし、このシミュレーションでは人種の質問はなかった。

結果を見て、めまいがした。

今の年齢と性別に基づいて算出した一定の年齢までの生存率


 50% の確率 25% の確率 10% の確率
   85    92    97
   88    94    99


結婚している場合は、夫か妻のどちらかがもっと長生きする可能性が高い。


 50% の確率 25% の確率 10% の確率
   89   95   99
   98   103   108


夫が85歳のとき、私は75歳。なんとかまだ運転も家事もできるだろう。そのころには自動操縦の車があるかもしれない。介護する体力と気力には自信がない。

夫が92歳のとき、私は82歳。運転は危ない。関節炎になったら、ボタンもかけられないかもしれない。夫は老人ホームに入れよう。夫婦で入ればいいのか。でも、私は個室がほしい。

夫が97歳のとき、私は87歳。日本語しか話さなくなったらどうする?そのときになって日本に帰ろうと思っても、13時間も飛行機に乗る体力は残っているだろうか。途中で事切れたら、太平洋にボトンと落としてもらってもいい。

夫が97歳まで生きる確率は10%だが、夫の家系で長生きする人は95歳か100歳まで死なない。セロリで減量に励む夫も、その1人になるかもしれない。


           *


既婚者のほうが独身者より長生きするというデータは聞いたことがあるが、いったいどういう根拠なのだろうか。

結婚生活の質にもよると思うが、「夫婦仲はいいですか。」という質問もなかったし、ストレスがたまる結婚生活で長生きするイメージは持ちにくい。

それに、私が結婚していれば、50%の確率で98歳まで生きるというのも妙だ。そのとき夫は108歳になっている。

もしかして、この場合の夫は、今の夫ではないのかもしれない。再婚でも再々婚でもして、いつも"married" の状態でいればということか。私は結婚はもう十分経験したので、2回目をするつもりはない。ただし、2番目の相手が大富豪なら考える。

私が88歳まで生きるとして(確率は50%)、これからまだ40年近く残っている。

日本女性の平均寿命は86.44歳だから、ありえない数字ではない。

ここでパソコンがおかしくなり、結局いくらあればいいのかという段階まで進めなかった。4つ以上の概念がない未開地の住民ではないが、とにかく「たくさん」ということにしておこう。


<今日の英語>

I was blindsided by her decision and I'm totally shocked.
彼女の決断に不意打ちをくらって、すごくびっくりしました。


ドーハのトーナメントで負けたあと、突然引退を表明したディメンティエバについて、ある選手がコメントした。Blindside は見えない側(死角)から当たられること。




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アフガン女性の焼身自殺

2010.11.10 (水)



NYタイムズにまたアフガン女性についての記事が載っていた。

強制的な結婚や虐待から逃れるために焼身自殺を図る女性たちの話である。写真とビデオは悲惨で生々しい(ビデオの初めに警告されている)。

目をそらしたくなる。helpless というのはこういう気持ちだ。

タイムズに寄せられたコメントでも、awful, horrible, sick, speechless, terrible という言葉が多く、アメリカがアフガニスタンで戦争を始めてからもう9年経ったのに、特にアフガン女性に関しては結局何も変わっていないことへの疑問や怒りが目立つ。

「女性を人間扱いしない野蛮な部族が支配する国へ、アメリカ人兵士を派遣する意味があるのか。」「我々の命をかけて戦う価値はない。早く撤退すべきだ。」 

アフガニスタンで唯一のやけど治療専門病院では、10月初旬までに75人がかつぎこまれた。去年に比べて30%も多いのだそうだ。

その中の1人、Gul Zada は6人の子どもの母親で、45歳。妹の家のパーティに子どもを連れて行ったのだが、プレゼントを用意してこなかったことを親戚に揶揄された。その後で、自らの体に火をつけ、頭から足まで、全身の60%にやけどを負った。

たかがプレゼントのことで焼身自殺なんてと思ったが、病院のスタッフによると、彼女はうつ病だったらしい。家庭内のトラブルが公になるのは恥なので、1人で耐えていたのか。彼女は掃除婦をしてわずかなお金をもらっていた。仮に診断されたとしても、カウンセリングや投薬に手が届くはずもない。

長男である32歳のJuma Gulによると(つまり彼女は13歳で最初の子を産んだ)、彼女は貧しい生活の中でも子どもたちには精一杯のことをしてやっていたらしい。いい母親だったのだ。その証拠に、長男は病床に付き添っていた。彼は自分の妻をなぐったりしないだろうと思う。そうであってほしい。

でも、母親が瀕死であることが彼にはわかっていない。先進国で最新の治療ができてもやけどは難しいのに、アフガニスタンなどではsepsis(敗血症)で死ぬケースが多い。抗生物質を買うお金もない。

Gul Zadaも焼身自殺をしてから2週間後に亡くなった。

彼女には10歳の双子もいた。どちらも女の子である。彼女たちも母親と同じような一生を送るような気がする。


          *


アフガン女性は婚家で暴力を振るわれても、逃げることができない。

逃げ出せば、どこかでレイプされるか、牢屋にぶちこまれるかだ。そして、家に戻されたら、家の名誉のために殺されることがよくある。逃避中によその男といっしょにいたかもしれないから。それまでさんざんなぐっておいて、名誉も何もあったもんじゃない。

また、夫だけに虐待されるのではない。実の父親や兄弟もそうだし、舅や姑、夫の姉妹も首謀者になるのだそうだ。

非常に悪意に満ちた場合は、焼身自殺と見せかけて、実は彼らが手を下して火をつけるケースである。

息子の妻に油をまいて火をつける女性がいるのだから、ゾッとする。

大やけどをして一命をとりとめた後、一大決心をして離婚を決意する女性もいるが、ほとんどは泣き寝入りらしい。

NYタイムズでは、「彼女たちは、まず夫に火をつけるべきじゃないの?」という意見に300人が賛同している。でも、夫だけが原因ではないのだ。同じ女性をここまで痛めつけることができる姑の神経が信じがたい。嫁姑の諍いのレベルではない。

自分の息子が妻をひどく扱うのを平然として見ている不気味さ。自分の娘が嫁ぎ先で同じような目に合っていたらと想像できないのだろうか。

私には息子しかいないが、ことあるごとに「女性を大事にするように。」としつこく叩き込んでいる。どんなに父親が育児に参加するようになっても、母親の影響力は大きい。特に男の子の教育は重要だと思う。しかし、それも私が日本で教育を受け、アメリカで人並みの生活をしていて、そんなことを考える余裕があるからである。

アフガン女性を救うには、まずアフガン女性を教育することだと思うが、タリバンと麻薬と貧困と戦争では、たぶん生きるだけで精一杯。これからあと何十人、何百人の女性が焼身自殺を図るのか。

そんなことをしたって状況はよくならないのに、それしかできない彼女たちにかける言葉はない。


           *


Farzanaという女性は8歳で婚約させられ、12歳で結婚させられた。

17歳のとき、舅に「おまえに焼身自殺をする勇気はないだろう。」と馬鹿にされて、自らに火をつけた。それまでの5年間、夫とその家族にさんざん殴られ、虐待され続けていたらしい。

落ち込みつつも開き直った彼女は、庭に出て、9ヶ月の娘を夫に手渡し(母親が燃えるのを見なくて済むように)、料理油を全身にかけ、マッチで火をつけた。彼女の苦痛や怒りはそこまで達していたのだ。

Farzanaは賢くて、将来は先生になることを夢見ていた。しかし、12歳のとき、彼女の兄と結婚した女性の実家へ嫁がされてから、苦しみが始まった。

夫は14歳になったばかり。嫁いだ日にもう夫に殴られ、怒鳴られた。虐待は4年続いた。彼女の実の兄が2人目の妻を娶ったことで、Farzanaへの仕打ちはさらにひどくなった。最初の妻の実家(Farzanaの嫁ぎ先)への侮辱だと受け取られたからである。

6年前にもこの結婚に異議を唱えるために自殺しようとしたという。もちろん逃げようとしたし、離婚も考えた。しかし、それでは実家の名誉を汚すことになる。

彼女のように若い女性の場合は、逃げ場のない絶望的な状況、それに対する怒り、夫に恥をかかせたいという望みなどに突き動かされて焼身自殺を図るケースが特に目立つとタイムズの記事にあった。

57日間の入院と何回もの皮膚移植で、彼女は実家に戻った。彼女の娘は夫の家族が育てているが、会わせてもらえない。でも、夫の元には戻れないと言う。

そりゃそうだろう。戻ったらどんな目に会うか。しかも、夫と夫の家族は、彼女を虐待して焼身自殺にまで追いやった罪に問われることはないのである。


          *


焼身自殺という一番苦しそうな方法をなぜ選ぶのか。

貧困と無学のなせるわざである。

アフガン女性の多くは、なぜか焼身自殺は確実に即死だと誤解しているらしい。まともに学校にも行けず、12歳の頃から家の中で奴隷のように働かされていれば、知識を得る機会はないだろう。

それに、どこの家でも、生活のために油とマッチは必ずある。

奴隷のように扱われて、最後は自らの手で苦しんで死ぬというやりきれなさ。
もし生き残れても、体が不自由になるだろうし、その後の人生も別の意味で悲惨なものとなる。なんのために生まれてきたかわからない。

それが何代にもわたって繰り返される。

アフガニスタンだけではなく、イランにも同じような焼身自殺の「文化」が存在するのだそうだ。インドでもお嫁さんが虐待されたり、殺されたりすると聞く。

動物以下だ。

のほほんと専業主婦をしている私はフェミニストではないが、こういう話は素通りできない。

【関連記事】
鼻を切り落とされたアフガン女性 2010.08.10
「戦時下」のアメリカで自転車操業 2009.10.29


<今日の英語>

I only wish there was something I could do to help them!
彼女たちを助けるために何かできることがあればいいんだけど。


焼身自殺の記事に寄せられたコメントより。



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再び売りに出たお向かい

2010.11.11 (木)



お向かいの前庭に、売り家の看板が立っている。

2年前、ちょうどリーマン・ブラザーズが破綻した週にも同じような看板を出しており、今回も同じ不動産会社だが、エージェントの名前は違う。

お向かいには娘さんが2人いたが、今は夫婦だけだ。

長女のビクトリアはミドルスクールから学校になじめず、とても太って、ピアスだらけになり、ときには警察の車がお向かいにやってきたりした。高校は卒業したものの、大学には行かず、仕事にも就かず、ボーイフレンドとフラフラしていたようだった。

9月のタグセールで久しぶりに奥さんのデビーと話をしたら、ビクトリアはボーイフレンドと別れて、ニューヨークのもっと北のほうに住んでいるとのことだった。どうやって生計を立てているのかは知らない。

次女の二コールはフロリダの大学に通っている。姉とちがって、ごく普通の子だ。もっとも、ビクトリアだって12歳くらいまではそうだった。ご近所の奥さんたちは、父親のフランクが厳しすぎたせいだと非難していたが、そんな単純な話ではないと思う。

お向かいはうちより1年ほど前に土地を買い、家を建てた。16年前のことだ。

その後、フロントポーチを取り付け、プールを造り、あずまや、ジャングルジムと次々と追加していった。外だけでなく、家の中もこの辺にしてはかなり豪華にしていた。しょっちゅうリモデル業者が出入りしているような、家に投資するタイプの人たちである。

このあたりではどの家も敷地が広い。きっちり手入れしようとすれば、非常にお金がかかる。

フランクは警察関係で働いていたが、心臓を病み、早期退職した。年金生活者である。3年ほど前にハーレーみたいな大きいオートバイを買った。50歳くらいだったので、ミッドライフ・クライシスか。

デビーは2人の娘が小学校を卒業したころから一般企業で働き始めた。しかし、その会社は2年前に事業を大幅縮小したので、今はよそで働いているらしい。


         *


ネットのおかげで、売値もすぐわかった。

2年前と比べて、8万5千ドル以上安い。1ドル80円として、700万円。早く売りたいのだろうか。ホリデーシーズン前のこんな時期に売り家の看板を出して、買い手がつくだろうか。

不動産市場の回復を待つ余裕がないのかもしれない。この町にはたくさん納税してくれる企業基盤がないので、固定資産税と学校税が高い。タグセールのときにも、奥さんは税金に不満たらたらだった。

うちだって高い税金を払っているが、仮に子どもが巣立っていても、いま家を売ろうとは思わない。うちのすぐ近所だけで2軒が何ヶ月も売り家の看板を掲げていてるのだ。車で出かけると、町中にそんな看板が目に入る。

それにしても、2年前の値段が強気過ぎた。その1年前に、同じ通りにあるかなり新しい家がいい値段で売れたので、それにあやかろうとしたのだろうが、いくら手入れのいい家でも無謀だと思った。エージェントを代えた理由はそれか。

結局、そのときは3ヶ月足らずで看板をはずしてしまった。


          *


うちの通りには15軒あるが、この15年間に引っ越したのはたった3軒。アメリカでは珍しく、動かない人たちだ。

どの家も最初の子が生まれてから家を買ったので、家族構成や年齢が似ている。お向かいと隣のメアリ宅は、すでに空の巣になっているが、遅かれ早かれ、ご近所一帯が夫婦だけになる。斜め向かいは2年後、その1軒向こうとうちは4年後だ。

子どもが巣立っても、ずっとここに住みたい人もいるだろう。静かで緑とプライバシーがあって、住環境は最高なのだ。

でも、ベッドルームが4つに、リビング、ダイニング、ファミリールーム、お風呂が2つにトイレが3つもあるような家では大きすぎる。どこの家も庭も広く、手入れに苦労している。メンテナンスには体力もお金もいる。

なによりも、税金が高い。家の評価額が上がれば、税金も上がる。なぜかこの不景気でも評価額はそんなに下がらず、税金も下がらない。

必要以上に大きい家に住み、高い税金を払うのはばからしい。

お向かいの奥さんが「みんな、同じ状況なのよ。」と言っていた。あと数年でこの通りに売り家ラッシュが起きるかもしれない。そうなると、お互いがライバルか。

うちは土地だけは1、2番目に広いが、建物は小さいほうだ。夫も私も、家のメンテナンスが苦手なので、売る前には相当の手入れをしなくてはならない。老後資金と思って貯めたお金をまずそれに費やすことになる。

新しい住人のために美しく快適にしてあげるのは惜しいが、そうしないと売れない。


           *


お向かいの家のプロフィールによると、フロント・ポーチはマホガニーだった。

ひょうたん型のプールにはタイルが張ってあり、プールの周囲にはレンガが敷き詰めてある。進入防止の白いフェンスがぐるりと囲む。地下室も住めるようになっていて、部屋の総数は9となっていた。

奥さんは「うちはまだローンが終わってないの。家が売れても、借金が残るのよ。」とこぼしていた。8万ドルも安くして、元が取れるのだろうか。

夫は「お向かいの収入で、よくあれだけのことができるなあ。」とよく言っていたが、そのためにローンを組んでいたのか。

この15年間で、うちの近所の不動産価格は2倍以上になった。田舎にしては上出来だ。リーマンショック以後も、そんなには下がっていない。ただし、買い手がつくかどうかが問題である。

タグセールのとき、デビーは「フランクがフロリダに移住したがってるの。だから2年前に家を売ろうとしたんだけど、最悪のタイミングだったわ。」と話していた。あれから1ヶ月半が過ぎたが、もう一度家を売ることに決めたらしい。

ちょうど15年前の私たちみたいに、小さな子どものいる家族がターゲットである。そして、子育てを終えた夫婦が出て行く。うちの順番はいつか。

お向かいにSOLD(売却)の札がかかるのを、私も他のご近所さんもそれとなく見守っている。


<今日の英語>

Live and learn.
生きていれば学べます。


不景気でお店を文字通り小さくしてみたら、買い物客にも「これくらいの規模のほうが品物を探しやすいし、わかりやすい。」と評判がいいという店主。棚やテーブルも固定しないで、流動的にし、レジすらもいろんな場所に移動できるようにワイヤレスにした。「今はとてもうまく行っていますが、ホリデー・ショッピングでどうなるかは、経験してみないとわかりません。」 

文字通りには「生きて学べ。」 失敗しても、経験から学べる。ことわざとして、長生きはするものだ、あるいは、人生はいつも勉強。



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セラピーという名の社交

2010.11.13 (土)



今週がフィジカル・セラピー最後の週である。整形外科医の指示通り、毎週3回通った(1回だけずる休みした)。

顔見知りも増え、おばさんたちからいろいろ話しかけられるようになった。おばさんというより、おばあさんに近い。

私の行く時間帯は、男は中年か若い人が多く、女は高齢者が多い。

私にハイスクールに通う息子が2人いるとわかると、ちょっと驚かれる。目元の小じわや手の甲のシミが見えませんか。

でも、鏡に映った自分を見ると、白人に比べて何となく顔立ちも体つきも幼い。

私だって背中や腰に中年特有の脂肪がしっかりついているが、白人の脂肪のむっちりボヨ~ンとした厚みとはぜんぜん違う。それに、白人の腕や首から胸にかけてびっしり浮かぶシミは、私には(まだ)ない。


           *


「腕をどうしたの?」とかなり太っていて、いつもディズニーの長いTシャツを着ているおばあさんに聞かれた。彼女は、必ずダンキン・ドーナツの大きい飲み物を手にやってくる。

「テニスひじです。」と答える。

「あなた、テニスをするの? 私はねえ、carpal tunnel syndrome(手根管症候群) なの。しかも、左手。私は右利きなのに、おかしいでしょ。なにかのまちがいじゃないですかって言ったんだけど、クラフトが好きでずっとやってたからじゃないかって。まさかと思ったわ。でも、私がここに来ているのは、ひじの骨を折ったからなの。ここにプレートが入ってるのよ。」

ディズニーおばあさんは延々と自分の話をする。

私はベッドの上でマッサージの順番を待っていたが、おばあさんはおしゃべりしていていいんだろうか。

聞いてばかりでは退屈なので、私も質問する。アメリカに20年も住んで、今さら英会話の練習でもないが、わざわざ出かけてきた、せっかくの機会である。

「どうして骨が折れたんですか。」

「転んだの。それがなんと、病院の床でよ。」

それで病院を訴えたという話になるかと思ったが、そうではなかった。

「痛かったでしょうね。どれくらいギブスをしてたんですか。」

「ギブスじゃないの。プラスチックで、こういう、えーとあれは何ていうものだったかしら。」と思い出せないおばあさん。通りがかったアシスタントのクリスをつかまえて、「ちょっと、そういうの何て呼ぶの?」

アシスタントはいろいろ忙しいのである。


           *


今度は、ちょっと上品でかわいい感じのおばあさんが横にやってきた。アシスタントがフィッターと呼ばれる、手で前後左右に押して動かす道具をベッドの上に置いた。

「あなた、テニスするの?」と山の手おばあさんが手を動かしながら私に尋ねる。ディズニーおばあさんより若い。

おばあさん同士で、他の患者の情報交換でもしているのだろうかと思ったが、私はUSTA Team Tennis のTシャツを着ていたのだった。

「昔はしましたけど。テニスひじになる前は、3年くらいまともにボールを打ってません。どうしてテニスひじになったのかわからないくらい。たぶんコンピュータのマウスがいけなかったんじゃないかと思います。」

「私は、肩を痛めたの。肩から腕まで。私もテニスをしてたんだけど、もうぜんぜんできないでいるのよ。そういえば、あなたはどこのクラブでやってたの?」

いや、私は長いことやってないのだが、せっかくなので、次男がC町のテニスクラブに通っていると説明した。

「ああ、あそこね。私はデビスカップが好きなのよ。この間の、見た?イタリアとアメリカの。この肩で何もできないから、テレビばっかり見てるのよ。」

うちにはテニス・チャンネルがないが、ウェブサイトでちょくちょく試合結果を見る。あれはフェドカップじゃなかったっけ。そう聞いてみたが、どうも会話がかみ合わない。彼女はデビスカップだと信じているらしい。まあ、どっちでもよろしい。

「イタリアが勝ちましたね。アメリカは若手ばっかりで。」

「ペネッタがよかったわよ。彼女のプレイはいいわ。でも、ほんとのことを言うと、男子の試合のほうが好きなの。」

それは私も同じだ。サフィンの話をしようと思ったが、マッサージの順番が来た。


            *


男たちは「おー、久しぶり。どう調子は?」くらいで、あとは黙々と運動をする人が多い。セラピストとは話すが、男同士の会話は短い。

女たちは、まあよくしゃべること。愚痴から自慢話から、病気のこととかどこのお店がいいとか、私は3週目くらいまでは黙って見ていたが、そのうち徐々に引っぱり込まれて、おばあさんたちの孫の話やホリデーの計画などを聞くともなしに聞かされた。

もちろん、寡黙な人もいるが、そういう人にはセラピストがよく声をかけている。

ちょうど日本の病院の待合室が老人でにぎわうように、アメリカのセラピー・センターもおばあさんたちにとっては社交の場なのかもしれない。みんな体に故障があって来るのだから、それくらいの楽しみがあったほうが長続きするのか。

私は社交嫌いだが、にっこり笑って適当に相手をするくらいはできる。特に英語では、ニュアンスの理解に限界があるので、変に気を使うことがなくていい。

夫婦でやってくる人も少しだけいる。決まって老夫婦。

印象に残ったのは、夫婦とも白髪で小柄でとても静かなカップルと、大柄で声の大きい奥さんとちょっとボケかかったような、動作の鈍いお腹の出たご主人のカップル。

前者は奥さんの足が棒切れみたいに細く、ご主人が労わるようにぴったり寄り添っていた。奥さんは杖をついていても、ふらつく。あれでは運転できまい。きっとご主人が家の中でもどこに行くにもいっしょなのだろう。不安そうな奥さんに椅子を勧めて、自分は立っていた。ときおり小さい声で言葉を交わす。

後者は奥さんはまだまだ元気。ご主人に命令口調であれこれうるさい。

「ほら、そこがトイレよ。ショートパンツを持っていって、着替えて。」

自分はどっかり座って、パンツをバッグから出す手伝いもしない。ご主人はのろのろと着替えを取り出す。

「さっき受付で聞いたけど、やっぱりこの書類よ。ほら、ちゃんと読んで。裏もちゃんと記入しなさいよ。」と突き出した。ご主人はあきらめたような顔で書類を受け取った。年齢からして、長い結婚生活だと思われる(最近、再婚したという感じはしない)。

よその夫婦の仲はわからないが、ひどくぶっきらぼうな奥さんで、しかも人目を気にしない様子だった。これがあたしのやり方よ、文句ある?


            *


1人で通っているおばあさんたちは未亡人なのか、離婚したのか、ご主人は家で待っているのか。なぜかご主人の話は出なかった。

もし夫にフィジカル・セラピーが必要になって、自分では運転できないとしたら、私は1時間半も付き添うタイプではない。私がいっしょにいてもしょうがない。夫を送り届けたら、1人で買出しでもして、あるいは家に戻って1人の空間を満喫して、1時間半後に夫を拾って帰宅する。

「あの奥さん、そっけないわね。ご主人への愛情が感じられないわね。何年くらい一緒にいるのかしら。」などと、おばさんたちのおしゃべりのネタになりそうである。


<今日の英語>

That's all that matters.
それが一番大事なの(他のことはどうとでもなる)。


息子の誕生日会の様子を話していたセラピストのシンディ。予期しないトラブルが起きて大変だったらしいが、息子さんはとても楽しそうだったという。それを聞いていたおばあさんが一言。



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老夫婦モード

2010.11.14 (日)



結婚生活が長くなってくると、ぶつかり合いが減る。

お互いに何が鬼門かわかっているので、無駄な衝突が避けられる。それでも言いたいときは言うが、大喧嘩に発展することはない。うちの場合はそうだ。

残り少ない人生を夫との口論で費やすなんてもったいない。それより、おもしろい本を読むとか、おいしいものを食べるとか、猫と遊ぶとか、優先すべきことがある。

結婚した当初は、話し方のきつい夫の一言でじわっと涙が出たものだが、近頃は蚊が刺したほどにも感じない。

また始まった、と思う。ふーん、へえー、そう? 図太くなったもんだ。

夫がジャケットを私の部屋の椅子の上に置いたり、マグカップをバスルームのシンクに忘れたり、カウンターの上にバナナの皮を捨てたりしても、怒る気になれない。

さすがに牛乳が出しっぱなしの場合は事実だけを指摘する。「今朝、ミルクがカウンターの上に出てたわよ。」 腐っちゃうじゃない、いつになったら覚えるのよとは問い詰めない。言っても無駄である。

夫はすぐには認めない。たいていは"Did I?" という白々しい返事が来るので、私は"You did." と答える。それで終わりである。

すごくカチンと来るときは、猫に愚痴を聞いてもらう。「もー、どうしていっつもこうなのかしらねえ。ちょっとは考えて行動すべきだと思わない?」


          *


というわけで、穏やかな老夫婦のような毎日なのだが、「(ルーマニア人にあげる)現金を都合してくれ。」という夫の定期的な要求で台無しになる。

ポルノにもゲーム(最近はあまりやっていないらしい)にも、無駄遣いだと思いつつ、私はめったに口を挟まない。もったいないが、夫の楽しみならお小遣いの範囲としてあきらめる。

それが赤の他人に数百ドル単位でただあげてしまうとなると話は違う。

夫もじゅうぶんその点は承知している。せっかく穏便に過ごしているのに、自分の一言で私が非常に不機嫌になるのがわかっている。それならやめておけばいいのに、やめないんだから、馬鹿じゃないかと思う。

私もすぐにはOKと言わない。あれこれ説得を試みる。しかし、最後は夫の要求に折れる。それくらいのお金で路頭に迷うほどうちの財政は逼迫していないせいもあるが、しつこい夫に疲れるのだ。

さんざん嫌味を言って、お金を動かす。夫は「ありがとう。」と言う。私が投資で増やした分を除き、ほとんどは夫の稼いだお金だ。でも、それで威張るのは夫のプライドが許さない。私が夫だったらもっと強気に出ると思うが、夫はなぜかそうしない。

結局、私は大蔵大臣の権限で「もー、うるさいからあげるわ。これで最後よ。」と認めてやる。

しかし、いい気分にはなれない。失望、落胆、怒り、不快、軽蔑その他、いやな気持ちがふくらむ。

夫は夫で、やましいことをしたという引け目からか、しばらく姿を見せず、おとなしくなる。


          *


それからの2、3日は、夫が何を言っても、私はいつも以上に無関心になる。

夫の顔を見ると、「ルーマニア人となにをコソコソしてんのよ?」と言いたくなるので、余計な話をしないようにする。夫の長い話も適当に聞き流す。

夫は私の機嫌を取ろうとする。たとえば、ごみ収集車が来たあと、45ガロンのゴミ箱をころころ引っぱってガレージに戻したりする。そんなことは1年に2回あるかどうかだ。もちろん、いつもと違う場所にしまう。出入りに困るような場所である。

子どもたちの仕事なので、夫がやらなくてもいい(むしろやってもらっては困る)のだが、夫としては「家事を手伝った」と示したいのだろう。「自分はやましいことをしました。」と夫の字でゴミ箱に書いてあるようなものだ。

私は別に「ありがとう。」も「やらなくていいの。」も言わない。また、「バッカじゃない?」と思う。600ドル返してよ。

しかし、徐々にいつもの老夫婦モードに戻っていく。

私は子供じみたシカトはしない。そのかわり、夫の大好物のパンプキンパイをわざわざ作るくらい底意地が悪い。夫はもちろん食べる。子どもたちも好きなので、最後の1切れを争う。

そんなことをしながら、夫も私も600ドルの件は忘れたふりをする。どうでもよくなってくる。特に株価が上がっているときは。


          *


前回の600ドルについては、夫が毎月使っていたオンラインでのチャージをしばらく止めるという交換条件を夫自ら持ち出したが、結局守られていない。それとは別に、お小遣いを決めて、そこから使うようにしたら支出をコントロールできると夫は主張した。現金をくれたら、クレジットカードを使うたびに私に現金で支払うという話だった。

私はどれも無意味なことだと思った。それでお小遣い制は却下した。

先日、夫は歯医者に予約があった。歯医者はちょっと遠いが、その近くにいいスーパーがある。私は夫にリストを渡して、買って来るように頼んだ。夫は、帰りに本屋にもちょっと寄るという。

「財布に現金がないんだけど、少しくれないか?」と夫。

「歯医者もスーパーも本屋もクレジットカードでしょ。」

「途中で何があるかわからないから。」と言い訳にもならないことをいう夫。しかし、多少は現金を持っていたほうが安心だ。私は60ドルだけあげた。私の財布にだってあんまり入っていない。ふだんは何を買うにもクレジットカードだから。

夫は前回の買い物の反省から、かなりリストに忠実に買い物をしてくれた。もちろん私は非常に細かい説明をリストに書いたのだ。スーパーのどのへんにあるかとか、何個入りのパッケージかとか。ただし、1つずつでよかったのに、2つずつ買って来たのもあった。そして、リストにないアップル・シュトルーデルを例によって1つ。まあお駄賃として認めましょう。

「ダディ、この間の買い出しが1点だったら、今日のは20点はもらえるよ!」と長男。甘い。

結局現金の出番はなかったらしい。

2日ほどして、私が台所にいると、夫がやってきて30ドルを私の前に置いた。

「ネットで使うから。」

「これ、私が一昨日あげた60ドルの半分じゃない?」

「それはどうでもいいんだよ。ともかくネットで使うときは渡すと言ったから。」と夫。

肝心の150ドルをチャージしているではないか。あれはしばらくやらないという話ではなかったのか。

クレジットカードの明細をみたら、すでに何日か前に30ドルをペイパルにチャージしていた。事後処理か。

しかし、私から60ドルもらって、そこから30ドルを堂々と渡しに来るとは、まるでままごとである。せっかくなので、この30ドルは再び私の財布に戻した。


<今日の英語>

My heart went into my throat.
心臓が口から飛び出しそうになった。


急に冷えて、路面が凍結した日に医者に出かけた夫。車がスピンしそうになったらしい。



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フィジカル・セラピー終了

2010.11.16 (火)



整形外科医の処方どおり、6週間のセラピーを終えた。セラピストたちは私にそのまま続けてほしそうだったが、いったん止めることにした。

受付に「病院での診察には、当センターの進捗レポートをお持ちください。」という表示があったので、シンディに書いてもらった。センターのレターヘッドに手書きしたものである(読めないところは??? )。

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親愛なるドクターF、

kometto3は先月からかなり進歩しました。ほとんどのADLs(Activities of Daily Living 日常生活における動作)を行うことができますが、物を持ち上げるときに痛みを感じています。

本日の客観的な検査結果は、以下の通りです。

ROM: WFL elbow/wrist (R)
MMT: wrist 1 4/5, ??? 4/5
Grip Strengh (R) 22# (L) 55#
Flexibility: Mod ??? wrist extensions

このまま専門のセラピストによるフィジカル・セラピーを継続することをお勧めします。
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Grip Strength というのは握力である。右22ポンド(10kg)、左55ポンド(25kg)

これには問題が2つある。

1つはセラピーを始める前にも途中でも、握力テストをされなかったこと。つまり、比較の対象がない。こんなこともセラピーに懐疑的になる理由である。

もう1つは、私は右利きだが、子供のときからなぜか左手の方が握力が強いという事実。それでも右の2倍以上ということはなかったので、確かに右はテニスひじの影響を受けている。


        *


中年女性の握力はどれくらいだろうと思って調べたが、英語のデータは見当たらなかった。アメリカでは日本のように詳しい体力測定をしないからだろう。

そういえば、家の子どもたちも体育の授業で年1回レポートを持ち帰るが、50 meter dash(50メートル走。なぜかこういうのはメートル法)、sit-up(腹筋)、push-up(腕立て伏せ), chin-up(懸垂)くらいだ。ペアを組んだ子ども同士で回数を記入するらしい。

日本女性の平均握力については、文部科学省のサイトに統計があった。

45~49歳では29.39kg。

私は強いほうの左でさえ、平均以下か。でも、左も親指の付け根当たりが痛いのだから、まともに握れなかった。どうりでいろんな蓋を開けるのに苦労しているはずだ。


         *


ドクターFの診察は2週間後。

テニスひじも多少はよくなってきた。でも、それがセラピーのおかげなのかどうかはっきりしない。セラピストは、テニスひじは治るのに時間がかかると話していたが、いつ治るという予測が立たない。主治医ドクターBが言うように、セラピーは無駄ではないかという疑いが晴れない。

自分でウェイトを買って家でやっても同じじゃないだろうか。アーム・バイクはないけれど、ストレッチも家でできるし、アイスパックで冷やすこともできる。

ドクターBはコルチゾン注射をやってみたらどうかと言ったが、そのすぐあとにNYタイムズにあれは効果が継続しないし、何度もやると筋肉を傷めると書いてあった。これはドクターFに確かめることにする。

そして、左手の関節炎も調べてもらわねばならない。もしかしたら、そっちの理由でフィジカルセラピーに舞い戻る可能性がある。

これから寒くなるので、1日おきの外出はうれしくない。しかし、保険があるうちにやれることは全部やっておこうという気もする。


          *


セラピー最終日に、年取った小柄なおじいさんが来ていた。

前にも見かけたことがあったが、いつも1人で、車椅子にもたれるように座っていたり、鼻に酸素チューブを入れ、ゆっくりと自転車をこいだりしていた。とても静かで、セラピストの話しかけにもちょっとうなづくくらいだった。

今回は娘さんらしい中年女性が同伴していた。

私は今日が最後だと思って、手当たり次第にいろんな器具を使って鍛えまくった。おじいさんの近くに行くと、娘さんがイタリア語で話しているのが聞こえた。おじいさんはイタリアからの移民だったのか。

セラピストとアシスタントがやってきて、おじいさんを立たせようとした。

2人の英語を娘さんがイタリア語に通訳する。

「腕に力を入れて、はいっ、腰を持ち上げる。エクセレント!そうそう、まっすぐに、ベリーグッド!その調子!まず、右足。」

おじいさんの英語力はともかく、Excellent! Fantastic! Beautiful!なんていう激励の言葉は、気持ちでわかるんじゃないだろうか。ちょっと調べてみた。

excellent -> eccellente
fantastic -> fantastico
beautiful -> bellissimo

イタリア語のほうが派手でおいしそうに聞こえるが、やはり同じインド・ヨーロッパ語族なのである。日本語と英語では、こういうわけにいかない。

そのあと、おじいさんは2歩だけ歩き、またゆっくりと車椅子に腰かけた。そして、クリスに押されて自転車のエリアに行き、サドルにまたがった。これも2人がかりである。

娘さんはずっとそばに立っていた。自転車が終わると、今度はベッドに横になって電気療法。

クリスが電極をつけて、ダイヤルを回しながら、どんな風に刺激が変わって行くかを説明すると、娘さんがイタリア語で通訳した。

おじいさんはいつアメリカに来たんだろう。年を取って英語を忘れてしまったのか。もともと話せないのか。ふだんの生活はどうしているんだろう。イタリア人の友だちはいるのか。奥さんは生きているのか。

私はいろいろ聞きたかったが、さすがに立ち入りすぎた質問だと思って、わかりもしないのに娘さんのイタリア語を聞いていた。


<今日の英語>

It will give you a leg up.
そうすれば有利になる。


ホリデーの時期に店員を雇うお店が多い。「ホリデー中に販売員の仕事につきたいなら、今からお店に履歴書を持って行きなさい。ホリデー直前まで待つよりも有利です。すでにお店は面接を始めています。」と就職アドバイザーの一言。

leg up は馬に乗るときや壁を乗り越えるときなどに、その人の足を手のひらに乗せて持ち上げてやること。転じて、手伝うこと。



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犬も好き

2010.11.16 (火)



私はプーチン首相のファンである。

無能のジョージWがアメリカ大統領だったときは、プーチンと入れ替えたいと何度思ったことか。

プーチン政権を批判していた石油会社ユーコスのミハイル・ホドルコフスキーを何年も牢屋に閉じ込める独裁ぶりだが、ロシアみたいな国はあれくらいのカリスマ性のある指導者が強引にやらないとだめなのだろう(でもユーコス元社長は解放してやってほしい)。有能で、イメージ戦略もうまい。ヘラヘラしない。背は高くないが、鍛えた体と色気がある。

というわけで、私はプーチンのニュースはしっかり読む。

ロシア大統領だったときに、選挙当日に赤い目をして奥さんと投票所にやってきたことがあった。なんでも飼い犬が出産したとかで、奥さんと徹夜したそうだ。プーチンは犬が大好きなのである。

指導者には犬が合うらしい。

ホワイトハウスでも大統領が代わるごとに、新しい犬が紹介される。オバマは就任後に飼い始めた。シェルターにいた雑種でなく、ブリーダーから買ったために非難されたが、娘のアレルギーで犬種が限られたというからしょうがない。

クリントンのときは、チョコレート色のラブラドル・リトリーバーがいた(ソックスという猫もいた)。パパ・ブッシュもジョージWもぞろぞろ犬を連れていた。

そういえば、プーチンが訪米した際に、キャンプ・デービッドでブッシュがバーニー(スコティッシュ・テリア)を紹介したのだが、その後ブッシュがロシアを訪問したときに、プーチンの飼い犬(ブラック・ラブラドル)を見せて、「お宅のバーニーより大きくて、強くて、速いですよ。」と自慢したそうな。バーニーに罪はないが、飼い主が悪すぎる。


          *


今日は「ブルガリアを訪問したプーチンに、ブルガリア大統領が子犬をプレゼントした」というニュースがあった。

どんな「子犬」かと思って写真(Reuterから拝借)を見たら驚いた。

putin_dog1

ブルガリアン・シェパードというくらいだから、きっと大きくなるんだろう。何ヶ月の子犬かはわからないが、それにしても大きい。それに、なんともかわいい。子犬はどれもかわいいが、これは特にかわいい。さすが国家間の贈り物として選ばれただけのことはある。

首相になると、こんな特典があるのか。プーチンが子犬にほおずりしている写真もあったが、メロメロである。無敵プーチンの弱点はこれだ。

【追記】ブルガリアのニュースサイトで詳しい情報を見つけた。この犬の名前はYorgo(元の名前はギリシャの戦争の神Ares。ロシアへの贈り物にそんな名前はつけられない)。ただし、ロシアでまた改名するかもしれない。8月29日生まれ(2ヵ月半でこの大きさ!でも、やっぱり子犬の顔をしている)。モスクワ郊外のプーチン邸で先住犬のコニーと仲良くやっているという。

【追記】子犬が手渡されたときの動画。




          *


私は猫が好きなのだが、実は犬も好き。

それも、小型犬じゃなくて、大きいのがいい。義母はシーズーを飼っているが、あれくらいなら私は猫のほうがいい。

ご近所ではラブラドル・リトリーバーの人気が高い。黒いのから、茶色いのから、いろいろいる。一軒だけ、ボルゾイみたいなのを飼っている。お向かいと斜め向かいには、猫より小さい、ちょこまかしたのがいる。

もし私が飼うなら、ジャーマン・シェパード。ハスキーもいい。プーチンがもらったのと同じのでもいい。

それで頭が良くて、健康で、素直で、私の邪魔をしない程度に愛想がいい犬。猫とちがって、呼んだら来る。私の役に立つのが至上の喜びという犬。

しかし、私みたいなグウタラ人間に犬を買うことはできない。

このへんは家の敷地が広いので、どこの家もinvisible fence というのを張り巡らしている。犬が境界に近づくと、地中に埋めたセンサーが犬の首輪に軽いショックを送る。だから、散歩させなくても、敷地内でうろうろできる。

でも、それでは散歩の代わりにならない。

たまに散歩させてもらっている犬がいると、敷地から出られない犬はうらやましそうにじーっと見ている。


              *


毎日の散歩もそうだが、犬は猫の何倍も手間がかかる。自分で舐めてきれいにしないらしいので、シャンプーをしてやらねばならない。それに、ドッグフードの袋の大きくて重いこと。テニスひじになる前にスーパーで持ち上げてみようとしたら、できなかった。

子犬のうちのしつけも大変らしい。"Marley and Me"という本を読んでたまげた。あれは特別にできの悪い(だからこそ可愛い?)犬だったようだが、1回でトイレを覚える猫に比べたら相当な忍耐がいる。

それだけの手間をかけても飼いたい人だけが飼うべきだ。

だから、私はよその犬で我慢する。運転していて、前を走っている車の窓から犬が耳をひらひらさせているのを見ると、つい手をふってしまう。

盲導犬や警察犬、救助犬など、働く犬も好きだが、仕事中だから話しかけられない。えらいねえと心の中でほめる。

でも、しつけのできていない犬はだめ。汚い足で飛びついてきたり、よだれだらけの舌で舐めたりするのも困る。だれかがしつけも世話も全部してくれるなら、私でも犬が飼えると思うが、そんな自分勝手な飼い主になつくだろうか。

私には犬は無理だと悟りつつ、抱っこもきらいなうちの猫たちを見ると(それでも寝るときは私の横にひっつく)、大きい犬といっしょに寝たら楽しいだろうなあと想像する。

【関連記事】
命名 バフィ 2010.12.13




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10%値下げして売れた家

2010.11.17 (水)



不動産屋のツルツルした葉書きが郵便受けに入っていた。

うちの通りに交差する道路沿いのY邸だ。住所と概観ですぐわかった。角にあって、これまで何度も住人が入れ替わっている家である。プロが撮ると、実物の10倍はすばらしく見える。。

角でも交通量は少ないし、前庭は広く、コロニアル風の家もきれいなのだが、前庭になぜか小川が流れていて、それが芝生によくないらしい。何度か工事をしているのを見かけた。

また売りに出たのかなと思ったら、「うちの不動産会社が売りました」という広告だった。

ウェブで売値を調べたら、今年の6月に10パーセント値下げしたとあった。おそらく最初の値段も低めに設定したのに売れなかったのだろう。最終的な売値はとてもリーズナブル。それで売れないほうがおかしいと思うが、5ヶ月もかかった。

お向かいの売値は、リーマンショック前の値段より下げたとはいえ、Y邸に比べると12万ドルも高い。お向かいはもっと奥まったところにあるし、敷地も広い。Y邸と違って、地下室は住めるようには改装してあるし、プールもある。それでもかなり強気だ。

家の値段というのは難しい。

一生のうちでおそらく一番高い買い物だから、売るほうは少しでも儲けたいし、買うほうは当然いいものを少しでも安く買いたい。それに、今の家を売るタイミングと次の家を買うタイミングがある。アメリカに来て2回やったが、あれはストレスがたまる。

Appraiser(不動産鑑定士)がComparative Market Analysisというのをやるのだが、部屋数や建築年数その他が似ている近隣の物件を比較の対象にするらしい。だから、うちとしては、お向かいの売値があまり低いと困る。でも、いつまでも売れないのも困る。


         *


お向かいは、今度こそ本気で引っ越すつもりらしい。

郵便受けに「家具売ります」という紙が1枚入っていた。

ご夫婦のものらしいクイーンサイズのベッドルームセット。ドレッサーやナイトスタンドまで含む一式。Ethan Allenというちょっと高い家具店のもの。

娘さんのベッドルームセット。こちらは女の子用と書いてあり、花模様のモチーフで新品同様。

卓球台とラケット、ボールなど一式。これも新品同様。

どれも値段は書いてない。とにかく見にきてください。

「ぼく、卓球台ほしい。」と次男は言うが、ああいうのは結局使わない。だからお向かいも新品同様で売る。

それに、うちだって物を処分するのに必死なのだ。あと3年は引っ越す予定はないが、もう物は増やしてはいけない。

「卓球ならアンディのうちの地下室にあるでしょ。あそこでやりなさい。」と私。


          *


郵便受けには重要な封書も入っていた。

社会保障事務所からの保険切り替えの予告である。

夫は来年の3月にちょうど2年間の障害者手当てが終わる。そうすると、自動的にメディケアに移行するという。

しかし、休職している会社へ復帰するのか、このまま引退するのかもはっきりしない。今の保険を継続するオプション(会社が負担していた保険料も自分で払うのが条件)はあるのかどうかもわからない。

夫がメディケアで、私と子どもたちはプライベートに保険を買うという選択もある。抗うつ剤と血圧降下剤を飲み、関節炎の疑いもある私をカバーしてくれるところはあるだろうか。

ソーシャル・セキュリティからの手紙にも、健康保険改革の行方によっては内容が変更になる可能性があると書いてあった。

一番基本的な国民の保険がこんなふうに宙に浮いている。


<今日の英語>

What's holding him up?
何に手間取っているんだ?


夫が長男を何度呼んでも現れないのにしびれを切らし、いったいお兄ちゃんは何をしていてこんなに遅いのかと次男に聞いたときの一言。




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DVの信憑性

2010.11.19 (金)



今年の春先に、NYのホワイト・プレーンズ市長が奥さんに対するDVで逮捕された。アメリカの政治家のスキャンダルは日常茶飯事だが、奥さんがフミコさんという日本人だったので気になっていた。

その後、どういう経緯があったのか知らないが、先週やっと裁判が始まった。

陪審員のいないbench trial で、裁判官が双方の言い分を聞き、判決を出す。それでも傍聴はできるらしく、地元の新聞サイトが詳細にレポートしている。

レイプやDVにつきもので、目撃者がいない。証人として、市長夫妻の隣人や知人友人が呼ばれる。

フミコさんのお母さんも日本からやってきて、法廷通訳を通して証言した。普通の日本人は裁判などには縁がないと思われるが、NYで英語での裁判に出廷するはめになった。

お母さんは、市長がフミコさんの手をドアのフレームに押し付け、バンとドアを閉じて怪我をさせたというそのとき、ちょうどNYに滞在中だった。娘が有利になるように証言したかったのだろうが、ドアを閉めたときに市長がベッドルームのドアのどこに立っていたのかという質問に、「ベッドルームの外」と答えた。フミコさんは「ベッドルームの中」と言っていた。

こういうちょっとした食い違いを弁護士が追求する。しだいに、何が事実で誰が真実を語っているのかわからなくなる。

アメリカのドアは内側に開くので、市長の立っていた位置からそれができたのかという疑問が生じる。仮に本当に手を挟まれたとしよう。今度はそれが意図的なものか、ただのアクシデントなのかわからない。

検事は市長が以前からDVを振るっていたと証明したいし、市長の弁護士はフミコさんは嘘つきだと言いたい。双方の主張はまったく逆で、しかも物的証拠がない。水掛け論になってしまう。

"he said, she said" (彼は言った、彼女は言った)の典型である。


        *


被告側の証人の1人は、Kodomono Kuni Schoolという日系学校の副経営者ヤマナカさん。

フミコさんは1999年にそこで働いていた。ヤマナカさんによれば、ミーティングでフミコさんについて話し合われたことがあり、彼女と男性教師に関わる問題だったという。フミコさんは誠実さに欠け、作り話をする人という評価を受けていたと語った(嘘が原因で解雇されたという報道もある)。

被告側の弁護士に「あなたはMrs. Bradley が宣誓した上で発言した内容を信じますか。」と問われたヤマナカさんは "No."と答えた。

さらに、事件の6週間前に、共通の友人を通じてフミコさんの子どもたちと初めてプレイデートをしたエイミーという女性も召喚された。

9月にフミコさんに会ったとき、フミコさんが「私は警察に嘘をついたの。緊張すると英語が出なくなるけど、警察が言っていることや見せられた書類は理解できたわ。」と笑いながら話したという。「フミコは相手によって話を変える。それに、作り話をする。」とも証言した。

ただし、検察側の尋問で、エイミーはブラッドリー家の友人であることがわかった。そうなると、多少割り引いて聞かなければならない。

逆に、不利な証言をするなとフミコさんに脅されたという隣人も出てきた。

裁判官は市長の父親の助けで仕事に就いたことが明らかになった。裁判官を決める前にそれくらい調査しないのだろうか。市長に有利な判決が出たら、ケチがつくではないか。

地元のサイトには「税金の無駄遣いはやめろ」「市長は辞職しろ」という声も当然あるが、フミコさんの証言の信憑性を疑う声も出てきた。

「手をドアに挟まれたなら、相当ひどい怪我をするはずだ。なぜ彼女は写真を出さないのか。」

「フミコは前からヒステリックな女性だった。普通じゃない。」

夫を訴えたからには勝つ自信があったと思うが、どうも雲行きがあやしい。


         *


フミコさんの記事を載せた数週間後、彼女を個人的に知っているという人から非公開コメントが届いた。

フミコさんは「病的ともいえる虚言家、かつヒステリックな人物」で、 「ヒステリーを起こすと、成人とは思えないレベルの嘘」をつくため、日本人は彼女との「接触を避けて」おり、だから相談できる日本人はいないと書いてあった。嘘の例も挙げてあった。

フミコさんの話はありそうなことだと思っていた私は驚いた。そういう人から見ると、彼女の話は最初から信用できないのだろう。私に情報を流しても何の得にもならないのだから、コメントをくれた人のでっちあげとも思えない。

ところで、市長夫妻は結婚カウンセリングを受けていたそうだ。

カウンセラーを証人に呼ぶのかどうかでまたもめている。カウンセラーには守秘義務があると思うが、法廷に呼ばれたらどうなるのだろう。

今日は、フミコさんが「夫とベッドに座っていた」と調書で述べていた住み込みのオーペアが証人席に座る。ユウコさんという日本人である。いっしょに住んでいた彼女の証言は、隣人たちよりも重みがあると思うが、今度はユウコさんを信用できるかどうかだ。


        *


結局のところ、私は単なる野次馬であって、ホワイトプレーンズみたいな都会で何が起ころうと影響はない。

フミコさんと私の共通点は、アメリカ人と結婚して子どもを生み、アメリカに住んでいる日本人女性ということだけである。うちの夫も相当な変人だが、私の体に危害を加えたこともなければ、お金をくれないなんてこともない。

フミコさんは(彼女の話を信用すれば)、熱いお茶をかけられたり、ゴキブリの入ったカゴを顔に押し付けられたり、シャワーヘッドを指差して「ここで首をつれ」と言われたりした。

そんな扱いをされて、どうして別れなかったのかという最初の疑問に戻る。

市長夫妻は結婚して8年になるが、数年前にはCPS(Child Protection Services 児童保護局)がやってきて、娘さん(今は7歳と9歳)のどちらかが「マミーがダディを叩いた。マミーがダディに熱いお茶を投げた。」とソーシャル・ワーカーに話したらしい。その一方で、娘さんたちは父親を怖がっていたという話もある。

市長夫妻の結婚生活が暴かれるにつれ、「両親のいさかいに巻き込まれた子どもたちがかわいそうだ。」というコメントも増えた。しかし、裁判が始まったからには、検察側が告訴を取り下げないかぎり、判決が出るまで続くと思われる。

フミコさんの裁判費用は誰が払うんだろう。

【追記】 2010年11月9日、ブラッドリー市長に対し、軽犯罪2件と暴行3件につき有罪判決が出た。2011年3月17日に刑期(最長1年の禁固刑)が申し渡される。市長は無実を主張し、フェアでない裁判だとして控訴する予定。

【関連記事】
市長の日本人妻 2010.03.30



<今日の英語>

I just can’t see that happening.
そういうことが起こるとは思えない。


子連れ専用の飛行機を飛ばすべきかという議論で、「航空業界は苦労してやっと利益を出せるまでに回復した。お客が特定のフライトに乗れないような規制をするはずがない。そんなことは実現しそうにない。」とリアリストが一言。



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グルメ・マーケット

2010.11.20 (土)



2週間ほど前、よく通りかかる大きなショッピング・センターの看板に、聞いたことのないお店の名前が書いてあるのに気づいた。

何年か前に倒産したお店のスペースがずっと空いていたので、新しいテナントが入ったんだなと思った。しかし、すでにいろんなチェーン店があって、新規参入できそうな業種は限られる。

しかも、レストランには天井が高すぎるし、広すぎる。ホーム・デポやシアーズには狭すぎる。スポーツ・ジムか、家電か、まさか本屋?

想像しているうちに、カラー刷りのチラシが届いた。

「あなたの街にグルメ・マーケット・オープン!」

やったー! ついにこの田舎でおいしいものにありつける。しかも、うちから車で5分ちょっとのところだ。

私は偏食なのに食いしん坊。出不精なので、ふだんはうちから10分圏内のスーパー2店のどちらかで買出しをする。でも、たとえばヨーグルトは車で20分、フレッシュ・オレンジジュースは30分離れたお店のが一番いい。その方面に行く用事があるときは必ず寄る。

困ったことに、少なくとも4店にそれぞれお目当てのものができてしまった。

用事もなく、30分も運転したくないときは、近場で間に合わせるが、「ここのじゃ、だめなのよ。」と子どもたちに説明する。彼らは私に洗脳されて、「xxに行くなら、フレッシュ・サルサ買って来て。」などと注文するようになった。

夫はどこのストア・ブランドでも変わらないと思っている(私はアンチ・ストア・ブランドではなくて、まずいものがいやなのだ。ストア・ブランドのおいしい製品もたまにある)。

むしろ私がブランド物を買うと、なんで高いのを買うんだ、ストアのと同じじゃないか、もったいないと言う。その割りに、私が躊躇する高価なクラブ・ケーキを6個も買ったりするが、基本的においしいものを追求する気がない。

アルデンテにゆであがったスパゲティが待っているのに、パソコンの途中だからと1時間も来なかったりする人だ。昔はイライラしたが、この頃は放任している。パスタが伸びて固まろうが、トンカツが冷めようが、どうぞご自由に。

その代わり、まだ希望の持てる息子たちには「スパゲッティがゆであがる3分前にはテーブルにつく!フォークを手に持って待つ!それくらい真剣に食べてよ。」と教え込む。


           *


グルメ・スーパーのチラシで舞い上がった私を前に、夫と子どもたちは黙って顔を見合わせた。

彼らは私がアメリカの食生活に文句タラタラなのを知っている。このバターがどうの、焼き具合がどうのと、うるさいのも知っている。そして、これまでにどれほどの「グルメ」・ショップやら「本格的」イタリアン・デリやら、「本物の」ジャパニーズ・レストランに深く失望したのかもよーく知っている。

「お母さん、あんまり期待しないほうがいいよ。」と長男。

「わかってるわよ。期待してないから。でも、これ見て。お寿司も売ってるって!ベーカリーもあるし、出来合いのお惣菜もあるし、オーガニックもローカルのものもあるし。このお店、もう少し都会のほうにも出してるみたいよ。ちょとよさそうじゃない?ピザは brick-oven だって!」

言葉はわからなくても、夫は私が訴えたいことは理解したらしい。

「そりゃ、行ってみなくちゃ!ついに君のお気に召すお店ができたかもしれない。」とからかうような口調で言った。まずいストア・ブランドで満足しているあなたに発言権はありません。

それから開店日まで、毎日チラシを隅々まで読み、指折り数えて待った。ただし、「期待しない期待しない…」と自分に暗示もかけた。


          *


そして、やってきたグランド・オープニング。

駐車場もガラス張りのお店の中もにぎわっている。「期待しない、期待しない…」とつぶやきつつ、お店に入った。

入ってすぐに、ベーカリーがあり、焼きたての匂いが漂ってきて、暗示は吹き飛ばされた。このへんのスーパーとはさすがにちがう。蛍光色のクリームなんか使っていない。見回すと、かなり広いデリのセクションがある。

これはじっくり見ていかねばと、カートを押しながら歩き始めた。

しかし、みるみる心がしぼんでいく。

確かにベーカリーは他よりまともだ。でも、陳列されている洋ナシのタルトはぜんぜんおいしそうじゃない。空のクラストを焼いて、クリームを入れて、その上に生の洋ナシをのせただけ? 私のタルトのほうが10倍はうまいんじゃないかと思った。

チーズケーキもクッキーもあったし、シュークリームらしきものもあったが、いまいち買って食べようという気にならない。

そして、お寿司。

最近はどうしてこう奇妙なお寿司ばかり並ぶんだろう。まずお米が白米でなくて、ブラウン・ライス(玄米)。健康志向なのだろうが、あれは見た目がよくない。銀しゃりには勝てない。

スパイシー・ツナとか、クリームチーズ入りとか、なんでこんなことをしてくれるのだとガックリくる。たいていは具のほうが寿司飯より多く、米粒がつぶれるくらいギューギューに巻いてあるのもよく見る。

1メートルくらいの寿司カウンターには、韓国人か中国人らしき男の人が2人いたので、聞いてみた。

「ごくフツーの鉄火巻きはありませんか。」

「今すぐお作りします!」と愛想がいい。初日だから当然か。そして、2本作って、きれいに容器に詰め、ガリもワサビも入れてくれた。8ドル99セント。

デリのガラスケースもサラダ・バーも Hot & Cold ビュッフェも、「ああ、ここはアメリカだ…。」と今さらながら思い起こさせる。

それでも、もしかしたらおいしいかもしれないという淡い期待で、コールスローやスープを少し買った。バゲットも買った。ヨーロッパからの輸入ビスケット、クラブケーキを2つ。魚売り場に非常によさそうなツナ(まぐろ)があった。値段は1ポンド当たり17ドル99セント。誰が買うのだ。

フレッシュ・オレンジジュースの試飲をしていたので、1つもらった。まるでグレープフルーツ・ジュースのような薄い色だったが、味も水で薄めたみたいだった。


          *


家に戻って、買ったものを食べてみた。

もう一度買おうと思ったのは、バゲットのみ。お惣菜はいつものスーパーのほうが何倍もおいしい。クラブケーキはスーパーと同じ。もともとそんなにおいしいものではないのか。大粒のブドウは甘くない。すっぱくもない。無味無臭のような変な味。「返品」の2文字が頭に浮かんだ。

子どもたちが学校から帰ってきたので、「今日ね、グルメ・マーケットに行ってきたの。」と話した。

「それで? どうだった? なに買った?」

「それがね、期待してないつもりで、やっぱり期待してたみたいなのよ。がっかりだわー。なにがグルメよね。でも、フランスパンだけはおいしいわよ。お寿司もわりとまともかな。これは頼んで作ってもらったの。」

食いしん坊の次男は、今度は私といっしょに行きたいという。あまり期待できないが、たまに子どもたちを連れて行くと、私が気づかないものを見つけてくれることがある。なんといっても、うちから近い。なんでこんな田舎に出店したんだろう。まさか田舎の購買層向けに手抜きをしている?

そうだ、投書しよう!

コールスローは間が抜けた味がします。スーパーAのを食べてみてください。セルフサービスのところには、あんなに大きな容器だけでなく、あの半分の容量のものを用意してください。お寿司には白米のものも作ってください。あのブドウには味がありません。輸入物のクッキーはしけっていました。デリーやブッフェには材料を説明したタグを貼ってください。ベジタリアンのパニーニ希望。

あの程度でグルメと謳っているのが信じられない。

かくなるうえは、私好みのグルメ・ショップになるように、この新しい店を教育するのだ。

これが日本だったら、デパートの地下でなくても、駅ビルだって、そのへんのスーパーだって、もっとまともなものを売ってるのになあ…と毎度おなじみのため息をつく。


<今日の英語>

Do you mind the dog?
犬がご迷惑じゃありませんか。


大型犬を連れてエレベーターに乗ろうとしたら、先客が急いで降りてロビーに出た。怖そうな顔をして見つめられたので、ひどいマナー違反をしたんじゃないかとパラノイアになってしまった。誰も乗っていないエレベーターが来るまで待つべきだっただろうかと悩んでいる人へ、「そんなに気に病まないで。この次は、『犬がいっしょですけど、かまいませんか。』とにっこり尋ねてみましょう。返事によっては、次のエレベーターにすればいいだけです。そして、断られても個人攻撃だと受けとらないこと。」とマナーの先生がアドバイス。




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左手悪化

2010.11.22 (月)



フィジカル・セラピーが終わって1週間が過ぎた。

意識してストレッチやマッサージをしているが、セラピーセンターで強制的にトレーニングさせられるのとちがって、「思い出したときにやる」程度になってしまう。時間は十分すぎるほどあるので、あとはやる気の問題だ。

こういうことは毎日の生活に組み入れないとだめなんだろう。

右ひじは、特定の動作をするとあいかわらずピリッと来る。もう慣れてしまって、ピリッと来るのを待ち構えるような感じになってきた。ほんの一瞬のことだし、飛び上がるほど痛くもない。

しかし、死ぬまでこの痛みに付き合うのは気が重い。整形外科医ドクターFの予約は感謝祭の翌週なので、あと1週間以上ある。

セラピストが「テニスひじはしつこくて、治すのに時間がかかる。」と言っていたし、ドクターFも6週間のセラピーで全治するとは思っていないはずだ。

どうもセラピーが信用できない私は、もうセラピーには戻りたくないのだが、ここ数日、左手の痛みがまたぶり返している。手首や手の甲にひびくこともある。シートベルトを引っぱるときが一番痛い。両手を使って、ようやくカチッとはめられる。

テニスひじよりひどいかもしれない。

右はひじだけが痛くて、指や手首はどうともない。ひじさえ気をつければいい。実際は握力がかなり弱くなったが、ふだんの生活でそんなに力を入れることはない。握手がヘナヘナなのは、説明すればわかってもらえる。

それに比べると、左は親指の付け根に痛みの元があるので、影響を受けない動作のほうが少ない。

包丁を持つのは右手でも、あんがい左手でしっかり抑えているものだ。床掃除のスイーパーを押すのは右手でも、左手を添える。洗濯物をたたんだり、枕カバーをつけかえたり、右手だけではできないことがたくさんある。洗濯物を洗濯機から乾燥機に移すのにも力がいる。

こうやってタイプすると、左手の内側、親指の下あたりがちょうどキーボードに当たって、圧迫を感じる。

ふだんは意識しないのに、不自由を感じるようになって初めて気がつくことがままある。


        *


私は長男を産んでからずっと家にいるのだが、根がズボラで怠け者なので、手抜きもいいところ。室内装飾や園芸にも才能がなく、最低限の家事しかしない。

夫が私に文句を言わないのをいいことに、非常に適当にやってきた。夫のガラクタがあるかぎり、この家は片付かないと悟ってからは、特にそうだ。

それでも、両手が普通に使えたときはまだよかった。

力が入らないと、台所のカウンターを拭いてもきれいにならない。お鍋を洗おうとしても、撫でることしかできない。なるべく皿洗い機につっこむようにしているが、流しの中でゆすぐのさえ難しい。掃除機を持つのも億劫になる。

年を取ると、家の中が汚くなるという。老眼で汚れが見えず、スタミナがないせいだと思ったが、関節炎で力が入らないのも原因か。

日本に比べて家が大きいだけあって、拭いたり掃いたりする面積も大きい。ふだん以上にいい加減な家事になり、子どもに手伝わせるにも限界があるので、汚れが取れなくてもしょうがないとあきらめている。

両手がまともに使えない専業主婦なんて、これが職業ならクビである。

この状態では、スーパーでの袋詰めパートすらできない。実際、自分の買ったものを袋に入れて持ち上げるだけで、腕や手首を痛めやしないかとヒヤヒヤする。

関節炎は "degenerative" なのだそうだ。つまり、これから徐々に悪くなる病気である。

まだ関節炎と診断されたのではないが、9割がた確信している。ドクターFが違うといっても、「でも、ネットで調べた症状とそっくりです。」と反論しないことには納得できない。こういう患者が増えて、お医者さんも大変だ。


         *


左手が気になりつつも、つい長い記事を書いてしまう。

フミコさんの裁判の行方とか、プーチンが子犬の新しい名前を全ロシアで募集中とか、夫の愚行とか、英語と日本語の話とか、書きたいことはいろいろあるのだが、今日はこれまで。

アイス・パックの時間である。


<今日の英語>

I was taken aback by it.
あれには面食らいました。


長患いの末に妻を亡くした親友に、半年もしないうちにまた結婚すると打ち明けられた人。亡くなった奥さんにどれほど愛情を注ぎ込んでいたかを知っていたので、最初はあっけに取られたが、親友の話を聞いて納得したという。



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不可解なセラピー費用

2010.11.23 (火)



セラピー・センターからの請求はまだ来ないが、保険会社のEOB(Explanation of Benefits 保険給付明細書)が何枚か届いている。ウェブサイトで見ることもできる。

10月末に確認したときは、初回から6回目までの請求金額が合計2950ドルで たまげたのだが、セラピー・センターに保険会社の決めた自己負担額だけを払えばいい(初日は28ドル。2回目以降は12ドル)と言われて、胸をなでおろした。

それでも、保険会社のサイトのチェックは欠かせない。

11月3日の請求が上がってきた。

医療者はアーノルド。請求額は525ドル。保険の適用額は475ドル。しかし、すべてDeductible(免責金額)で、私の負担が525ドル!

これでは話がちがう。

だいたいアーノルドには初日に診てもらっただけで、それ以後はシンディかエンジェルかブライアンだった。

初日のEOBを見たら、なぜかブライアンの名前で請求されていた。エンジェルの名前は一度も出ていない。ブライアンには後半の3回くらいしかやってもらってないのに、それ以前にも施術者の名前になっている。

適当に名前を入れているんだろうか。カルテと一致しなくていいんだろうか。

このセラピーセンターは保険会社と提携していて、ネットワークに属している。アーノルドだけネットワーク外に扱われているらしい。

前にも、どこかで似たようなことがあった気がする。いつもの医者がいなくて、代理の医者が診てくれたとき、Out-of-Networkの治療だとして全額自己負担にされそうになった。病院と保険会社にかけあって、結局はIn-Networkとして処理してもらった記憶があるが、細かいことは覚えていない。


           *


ともかく、このままでは525ドルの請求が来てしまう。

まず保険会社にメールした。

他の日の治療に関しては自己負担額が12ドルだったこと。当セラピー・センターは保険会社のネットワークに入っていること。さらに、アーノルドの名前が医療者名の検索で出てこなかったので、センターに確認してほしいこと。

次の日、問答集のような返信が来た。

この治療については契約どおりに処理しましたと書いてある。それにより、あなたの負担額は525ドルと算出されました。もしアーノルド氏がネットワークに登録したければ、彼が手続きを取らなくてはなりません。

保険会社はセラピー・センターという団体ではなくて、個々のセラピストを登録している。センターでは当然そのへんの事情も承知しているはずだが、私には一言の説明もなかった。聞かなかった私が悪いのか。

今度はセンターに電話して、保険会社がネットワーク外の扱いにしたために、全額が私の負担になりそうなことを話した。

「でも、あなたに支払いの義務はありません。その日も、他の日と同じ金額でいいんです。」

「12ドルですか。」 保険会社はセンターに525ドル払えと言うのに、センターは12ドルでいいと言う。どうもこの仕組みがわからない。

「いくらか私は知りません。会計は隣の郡にあるオフィスでやっていますから。」 それも初耳だった。

いつものセンターの受付嬢は、会計担当者アニタの電話番号をくれた。


          *


この件で3回目の電話をかける。

「保険会社が11月3日のセラピーをネットワーク外だとして、全額私の負担として処理しています。アーノルドは登録されてないと言われたんですが、その日はアーノルドの担当じゃなかったんですよ。」

健康保険で揉めごとが起きると、同じことを何度も複数の人に説明するのが常である。

「ええ、アーノルドはあなたの保険会社には登録できてないんです。彼がここで働き始めてまだ1年足らずですから。いろいろ審査があるんです。時間もかかりますし。」とアニタ。

「そんなこと、誰も教えてくれませんでしたよ。そうとわかっていたら、最初からシンディかブライアンを指名したのに。だいたいアーノルドは初回だけで、エンジェルのほうが多かったくらいですよ。」

「エンジェルはアシスタント・フィジカル・セラピストなんです。11月3日はエンジェルが担当でしたが、診療記録にはアーノルドがサインしてますね。」

ちょっと待て。エンジェルが正式なセラピストでなくて、ただのアシスタントだとも聞いていない。サインできない人が記録して、保険会社に登録していない人がサインしたわけ? 

あっけに取られていると、

「3日の記録にはシンディかブライアンにもサインさせて、もう一度保険会社に書類を出しますから、大丈夫です。」とアニタ。

そんなことでいいのか。しかし、セラピー・センターから最終的な請求書が届くまで油断できない。

「6週間のセラピー・セッションに関して、センターからはまだ何の請求書も来てませんけど。」 

「普通は保険会社の処理が全部終わってから出します。あなたの分はまだ半分しかこちらに書類が戻ってきてないので、あと数週間はかかると思います。」


          *


なんだか肩透かしをくらった気分である。525ドルに驚いた私だけがアタフタしていたらしい。

それにしても、セラピーセンターは最初に電話したときに保険のことを聞いたし、初日には保険会社のカードのコピーも取った。アーノルドの名前で請求すればこうなることがわかっていたはずなのに、どうしてそのままにしておいたんだろう。保険会社がどう処理しようと、患者には12ドルしか請求しないからどっちでもいいのかもしれない。

保険会社からの支払いを入れても、1回あたり60ドルしかセンターには入らない。一人当たり最低1時間、場所と器具を提供し、セラピストや助手を雇って、経営が成り立つんだろうか。

アニタにじっくり裏話を聞きたいところだが、まずは11月3日の自己負担分をはっきりさせねばならない。

私はまだ保険会社や病院に対抗する時間も気力もあるからいい。もっと重篤な病気を抱えながら、保険会社と戦っている人の話がときどきニュースになる。

病気になるのも命がけという感じがする。

【関連記事】
ぼったくりセラピー 2010.10.28




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救世軍の赤い鍋

2010.11.25 (木)



1週間くらい前からスーパーの入り口に Salvation Army の人が毎日立つようになった。年末恒例の赤い社会鍋である。

赤いエプロンをした人が1人、三脚みたいなものにぶら下がった赤い鍋の横で、ベルをちりんちりんと鳴らし続ける。昨日よく見たら、鍋には蓋があって、鍵も付いていた。

昔はたぶん鍵どころか蓋もなかったんじゃないだろうか。世の中がせちがらくなるにつれて、お鍋の中にお金が見えたら盗む人がいてもおかしくない。

うちは田舎で犯罪らしき犯罪もなく(ローカル新聞の警察レポートは飲酒運転か万引き、ドラッグ所持がほとんど。たまに殺傷事件があると、もちきりになる)、治安は非常にいいのだが、現金をそのへんに出しっぱなしにするのはさすがにまずい。

アメリカは日本よりも寄付行為が一般的だと思う。

小さいときから親が教会や慈善団体やなんとかソサエティに寄付するのを目の当たりにしているからだろう。私の親はせいぜい町のお祭りに寄付したくらいだった(それもたぶん半強制的な徴収)。

しかも、私は小さいときから非常にケチだった。人に何かをあげるのがいやで、人から物をもらうのも苦手である。

修学旅行でもお土産を買わないタイプ。いろいろ買い込む友だちを見て、「あんな子供だましみたいなものにお金を使って、もったいない。お菓子は上げ底だし、土地の名前がついた飾り物なんてダサい。」と思った。

そういう性格は大人になっても変わらない。

義父母と何度かニューヨークの博物館などに付き合ったが、義母は必ずギフトショップに寄り、必ず何かを買う。私は見るだけでいい。義母が「これ、素敵ね!」と興奮して私に持ってくると、「そうですね。素敵ですね。」(棒読み)とお愛想で返事はするが、きっと全身から不買運動という雰囲気がにじみ出ていたはずだ。


         *


こういう私だが、アメリカに来て、地元のDV被害者救済や癌研究の団体へ小切手を送ったことがある。

何か思うところがあってやったのだが、それから2年ほど寄付のお願いが延々と届いて辟易してやめてしまった。

うちの兄妹猫をくれたアニマル・シェルターに猫の缶詰を届けたこともあった。

そのうちなぜか高級ブランド指定になってやめた。シェルターの猫がうちの猫よりいい缶詰を食べているのだ。そのほうが病気になりにくくて、結局安上がりなのだろうか。あるいは、そういう缶詰をもらってから、元野良猫がグルメになって他のメーカー品は拒否しているのだろうか。

それ以外は、ガールスカウトのクッキーやボーイスカウトのクリスマス・リース、高校生がスポーツクラブの資金集めに売っている近隣のお店の割引券セット(結局1度も使わない)、次男のシンフォニー・バンドの旅行資金集め企画である果物詰め合わせ(これはカタログ会社と提携していた。ああいうのは、マージンが大きそうだし、商品も高額。そのわりに品質はたいしたことがない)。

ご近所または学校付き合いの範囲である。

長男がキンダーガーテンに入ったときは、何も知らなかったので、PTA主催のクリスマス・ラッピング販売で律儀にいくつも注文した。しかし、2年も買うと、あと数年分は残る。しかも、近くのお店ではもっと安いのを売っている。近所のお母さんたちの話で全員が買うのではないと知ってからは止めた。

ラッピング以外に、ナッツやチョコレート、チーズやハムの詰め合わせ、半調理品、クリスマス・オーナメントなど、子どもたちはいろんなカタログを持ち帰ったが、何も買わなかった。

エレメンタリースクールでは、子どもたちが授業時間内に買い物をする Holiday Table という催しがあった。

アメリカの1ドルショップで売っているような、すぐ壊れるチャチなものをジムに並べ、子どもたちはあらかじめ配布された用紙に何をいくつと書いて持っていく。PTAのお母さんたちがそれを見て、現金と引き換えに渡してくれる。

用紙には、「お父さん、お母さん、兄弟姉妹だけじゃなくて、他の大切な人たちも忘れないでね。おじいちゃん、おばあちゃん、おじさん、おばさん、いとこ。ゴッドマザー、ゴッドファーザー(名付け親)。ご近所の人たち、ファミリー・フレンド、学校の先生、習い事の先生、スポーツのコーチ。あなたのかわいいペットにもあげましょう!」と、ありとあらゆる受取人が想定してあった。

なんでそんなにプレゼントを買わなくちゃいけないのよ、とあほらしくなったが、狡賢くも授業中に行われる。子どもたちは当然楽しみにする。これも付き合いだと思って、5ドルの予算をあげた。

ああもったいない。ごみを増やしただけである。

あんな買い物ごっこをさせるより、その分のお金をそっくり集金したほうがまだしも使い出がある。しかし、そういうお達しが来て「はい、そうですか。」とすんなり現金を持たせる私ではない。


           *


こういう人間は、社会鍋を素通りする。

本物の救世軍だとわかっていても、現金をあの赤い鍋の中に入れる気はしない。私がお金の寄付をするときは、ちゃんとレシートがもらえて、税金控除できる場合だけである。

救世軍の人に強制されたり、嫌味を言われたりしたことはないが、なるべくそちらを見ないように、視線を合わせないようにする。

ターゲットだったか、商売の邪魔だからと救世軍お断りのポリシーを打ち出していたところがあった。かなり非難を浴びたが、私も寄付集めの人は入り口にいないほうがいい。

どこでもお店に入る人は、かならず財布を持っている。お買い物の帰りに、ぜひ恵まれない人たちへというわけだ。ホリデーシーズンにはふだんよりお客が多いし、クリスマスを前にして寛容な気持ちになる人も多い(らしい。私は年中安定した自分勝手なケチなので、季節によって変動する人のことはわからない)。

しかし、寄付の現場はめったに見ない。素通り派はあんがい多いと思われる。

これからクリスマスが近づくと、"Happy holidays!" などと声をかけられたりする。あれは困る。無視するのも悪いが、返事をしたらしたで、素通りしにくくなる。

しかも、自分のカートには食料品が山と積んであるのだ。それが買えるお金を持っているのだから、財布にだっていくらか余裕があるはずで、25セント硬貨1つ入れないのは、なんとも利己的ではないか。

素通りする人を観察すると、たいていうつむき加減で足早に立ち去る。あるいは、カートを押すのに集中していますという顔をする。なんとなく後ろめたい感じが漂う。


             *


今年は、去年よりはいくらか買い物客の財布の紐がゆるくなっているらしい。

私にはまったく縁のない Black Friday の話がニュースに出る。この寒いのに、日の出前から並んで開店を待ち、ドアが開くといっせいにお店になだれ込む。店員が踏み潰されて死んだ年もあった。

駐車スペースを求めてぐるぐる運転するのがきらいで、出かけるのと人ごみと列に並ぶのがきらいで、買いたいものもない私は、感謝祭の翌日もいつもと同じ。どこにも行かず、せいぜいネットショッピングで子どものズボンを買うくらい。

そして、売り上げに貢献し、アメリカ経済を牽引してくれそうな浪費者たちをニュースでありがたく眺める。私の分までたくさん買い物してください。


<今日の英語>

I'm not sure I entirely follow you.
おっしゃることがよくわからないんですが。


ラジオのインタビューで、学者が難しい説明をしたのを受けて、聞き役のアナウンサーが一言。ぜんぜんわからないわけではないが、どうも理解できない。



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目の前が真っ暗

2010.11.25 (木)



先週、夫が「あのー、これを言うと、君が怒ると思うんだけど。」と言った。

夫は9月末に「今後はどういう状況であろうとルーマニア人に送金しない」と約束していた。そして、それまで毎週クレジットカードにチャージしていた75ドル(夫は白状しないが、アダルトサイトである)を止めることを条件に600ドルを出したのだ。

その後、クレジットカードのチャージは150ドルになったり、30ドルになったりしながら、結局やめていない。

私はクレジッドカードのサイトから明細をコピーして、夫にメールした。夫からの返事はなかった。

もともとあんな約束はあってないようなものだと思っていたので、それ以上追求するのはやめた。無駄遣いはいやだが、夫が自分のために使うならまだあきらめもつく。

それでしばらく落ち着いていたのに、夫は臆面もなく再び現金を要求してきた。誘拐犯だって、ここまでチマチマ身代金を集めたりはしない。

「ノー。」と私は一蹴した。

「200ドルだけでも?」としつこい夫。

「1ドルだって出しません。今忙しいから、一人にして。」

夫は少し考えていたが、いつもの「火事になった」だの「強盗に入られた」だのという下手な作り話はせずに、部屋を出て行った。それから3日くらいは何も言わなかったので、次の作戦を立てているのかと思った。


          *


昨日、夫がカウンセリングに出かけたあとで、シティバンクのサイトを見た。

出かける直前まで、夫はふだん以上に饒舌だった。

「昨日ドクターG(精神科医)とも話して、これでぼくの医者は3名全員が昼夜逆転生活はだめだという結論に達したよ。ああ、そういえば、今朝早く、きみの携帯が音を立ててたけど。ぼくの携帯には、銀行からへんなメッセージがいっぱい来るんだよ。きみのところには来ないのかなあ。チェースがクレジットカードの件でどうとか。」

「そういうのは、ぜんぶスパムなの。消せばいいじゃない。」

「いや、でも、銀行だから。」

「うちはチェースのカードなんか持ってないでしょ。私は持ってない。あなたが持ってるなら、話は違うけど。」 夫は、かつて私に内緒で銀行口座を複数作り、タイ女への資金を隠そうとしていた。もう10年以上経つが、私は忘れていない。

「ぼくだって持ってないよ。」

「じゃあ、いいじゃない。消せば。あんなの、新しいカードを作ってくれっていう広告でしょ。」

「きみは容赦ないね。ほかの可能性を受け付けない。」

あなたみたいな人が、詐欺にひっかかるのよ。それに、人間は朝起きて夜寝るのが健康な生活だなんて当たり前じゃない。

感謝祭前で私も買出しがあったので、夫を送り出してからすぐに出るつもりだったが、ふとクレジットカードの明細を確かめようと思った。

Western Union 220ドル。

一瞬、目の前が真っ暗になった。

夫はこれまで必ず私の(しぶしぶながらも)事前承諾を得て、現金を送金していたのだ。それがクレジットカードから出されたら、私にはコントロールできない。

長く使っているカードだけあって、限度額は1万6千ドルもある。もちろんそこまで使ったことは一度もない。

私は「こういうことはやめて。」とその明細部分をコピーして、夫にメールした。そして、出かけた。運転しつつも、ウェスタンユニオンの件が頭を離れない。


          *


夫は私に顔を合わせない。今朝になって、メールの返事が来た。

「きみの言いたいことはわかっている。これは例外的な状況が発生したためであって、もうこういうことは起こらないと思う。」と書いてあった。

これまでクレジットカードの見覚えのないチャージやキャンセルしたのに返金がない場合に、カード会社と争ったことはある。これは明らかに夫が使ったチャージだが、私はすんなり払いたくない。夫に返事を書いた。口答で言い合っても証拠は残らないし、子どもに聞かせたくない。

「この220ドルはすぐに返してもらってください。私は払いません。うちはルーマニア人のATMじゃありません。」

そして、10月と11月に夫がアダルトサイトとペイパルにチャージした明細を全部コピーした。そして、子どもたちの大学資金のことや、来年の健康保険のことなど、これまで何度も説明したことを改めて書いた。

「ルーマニア人に補助金を出しておいて、子供たちが大学を卒業したときに Student Loan が残っていいんですか。」 夫のアイビーリーグ授業料はすべて父親が全額払い、夫は1ドルの借金もなく、卒業した。

夫からの返事はまだない。

私は感謝祭の料理は別に好きでもないのだが、何もしないわけにいかないので、毎年それらしきものを作る。今年は手も腕も痛い。

「サンクスギビング、何を食べたい?」と次男に聞いたら、「お母さん、何も作らなくていいよ。」と言われた。長男は「ぼくはコーンブレッドだけ作って。」

でも、ロースト用のチキンを買ってきた。ターキーは大きすぎるし、子どもたちは好きではない。私はどっちも食べない。

あとは夫の大好物の(でも感謝祭にしか作らない) Creamed Spinach やパンプキン・パイを作る。きっと不機嫌な味がすると思う。



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夫の本音

2010.11.26 (金)



私が台所で感謝祭のしたくをしていると、夫が下りてきて、子どもたちに自分の部屋へ行けと命じた。

夫は、「シティバンクと争わずに、220ドルを払ってくれ」と私にメールしていた。でも、朝7時半からずっと料理をしていた私は、メールを見る時間なんかなかった。夫はそういうことに頭が回らない。だから、私が返信しないので業を煮やしたらしい。でも、それはずっと後になってわかったことだ。

子どもたちがいなくなると、夫がいつもの「頼むから」を繰り返し始めた。

クレジットカードを使ったのは「緊急事態だったからだ」という。理由を聞くのもばからしい。でも、夫は勝手にしゃべり始めた。"The dog was poisoned."

犬が毒を盛られた? 

なにか有害なものをうっかり食べてしまったのか、あるいは隣近所でその犬に恨みを持つ人に一服盛られたのか。どっちにしても、下手な作り話である。私は怒るべきか、笑うべきかわからなかったが、黙っていられなかった。

「どうしてルーマニア人の犬が毒を食べて、うちが220ドルを払わなくちゃいけないのよ。」

「獣医に連れて行ったんだよ。彼女は物騒なところに住んでいて、犬は番犬なんだ。犬の命を救ってあげないと困るんだよ。」

正気の沙汰とは思えない。その女がどこに住もうが、どんな動物を飼おうが、私の知ったことではない。獣医に行くなら、自分で払えばいい。仮に、その話が本当だとしても。

夫と私は言い合いになった。

「じゃあ、獣医の請求書を送ってもらって。」

「それは、できない。」と夫は即答した。夫はもっと上手な作り話を考えるべきだ。

「そういうことなら、獣医の費用かどうかはわからないでしょ。」

「何にいくらかかったか、一つずつ書いてもらうよ。」

私が見たいのは本当の請求書であって、その女がメールで「診察にxドル、注射にxドル、胃洗浄にxドル。」と書き並べたって、なんの証拠にもならない。

「どういう話であなたが獣医の費用を出すことになったか、メールのやり取りを見せて。」

「メールじゃなくて、チャットだから、チャットのログなら送るよ。」

私はチャットはめったにしないので、どういうログなのかわからない。メールだって、時間や本文などいくらでも書き換えられそうだ。だいたいその女か夫かどちらか、あるいは両方のでっちあげなのだから、うそを塗り固めるだけだ。


           *


あわただしくオーブンとお鍋の中を確認しながら、私はなんでこんなときに夫はしつこいのだろうととても不愉快になった。そして、夫が「今回だけ。頼むよ。」と言うのに、「ちょっと考えさせて。」を繰り返した。

220ドルくらい、うちの家計にはそんなに響かない。シティバンクと争ったって、実際に夫が使ったんだから、勝てる見込みはない。ああ、もうめんどくさい。私1人でアメリカの祝日の料理をしているのに。

「だから、週50ドルの小遣いにしてくれと言ったんだ。そうすれば、その範囲内でやるから。」と夫は別の話を持ち出した。

「それがそっくりルーマニアに行くからいやなのよ。だいたいあなたは私にその人たちと話もさせてくれないじゃない。」 もう何度同じ話をすればいいのだろう。

夫は声を荒げて、「そういうことなら、今後はきみにお金を渡さない。障害手当てもぼくを受取人にして、そこからきみに必要なだけお金をあげようじゃないか。」と掃き捨てた。

夫はそれまで私に収入がないことを責めたことはなかった。お金のことはすべて私に任せ、私は自由に使った。わたしが「あなたのお金」というと、「ぼくたちのお金だ」と訂正させた。

でも、夫の本音はそうじゃない。

稼ぎもしない私が夫のお金の使い道に文句をつけるのに腹が立つのだ。

決して「誰に食わせてもらってるんだ?」とは言わない。それは夫のプライドが許さない。でも、しょせんは同じ意味だ。

「子どもを生んでからもずっと仕事を続けておけばよかった。」と私はつぶやいた。夫は「ぼくもきみがそうしてくれたらよかったと思う。」と今さらながら言った。

DVには肉体的精神的な暴力だけではなくて、外出や友人関係をコントロールしたり、経済的に追い詰めたりするのもある。私はDVを受けたとは思わなかったが、自分がとても小さく感じた。"belittle" という言葉の通りに、自分の体が縮んだような錯覚に陥った。

私はいい気になって、夫の浪費を批判していたが、収入のない私にはしょせんそんな権利はなかったのだ。

子どもたちは降りてこない。夫の大きい声はきっと聞こえている。もう不毛な言い争いは止めようと思ったとき、夫が逆上した。

私によどみかかるように握りこぶしを上げた。夫はぜったいに殴ったりしないとわかっていたが、身がすくんだ。夫が何か言ったが、聞こえない。そして、一瞬のうちにいろんなことが頭に浮かんだ。

殴られたら出て行こう。私は車もあるし、運転もできる。現金もクレジットカードもある。高速を20分も飛ばせば、まともなホテルがある。でも、感謝祭の当日にすんなり泊めてくれるだろうか。作りかけの料理はどうしよう。子どもたちはどうしよう。

涙がにじんだ。オーブンを開けて中を見たが、ぼやけて見えない。

夫は我にかえったのか、静かになった。そして、「クレジットカードの件は頼む。」と言って、自室へ戻った。

長男だけ降りてきたが、台所には来ず、リビングルームでパソコンを始めた。私には話しかけなかった。私の泣き顔を見たのだろうか。

でも、私はいつまでも泣いていなかった。料理は終わっていないし、ホテルに逃げたってなんにもならないことはわかっていた。


          *


長男に「タイマーが鳴ったら、呼んで」と頼み、ベッドルームにこもった。1時間ほどして、夫がドアをノックし、「チャットのログが必要なら、送るけど。」と聞いた。私はどうでもよくなっていたが、「送りたければ、送れば。」と答えた。

すぐにメールが来た。

Anayaという女と夫のやり取りが、19日の朝5時半から24日の朝10時まで飛び飛びに並んでいた。こんなもの、何の証拠にもならない。

しかも、犬の調子がおかしいという出だしから、月曜日まで30ドルしか手元にないだの、診察だけで30ドルかかるから獣医に連れて行けないだの、ダラダラ書き連ねてあった。結局、夫が金を出すからという約束で連れて行き、「診察に30ドル(100lei)、注射1本に20ドル(60lei) 、それが3本、X線に30ドル、薬に10ドル(30lei)」と報告していた。leiはルーマニアの通貨単位。

白々しくも、「今日の治療はここまで。明日はいくらかかるかわからない」と書き添えてある。

アメリカドルで合計130ドル。私は、ルーマニアの獣医の相場など知らないが、よくすらすら数字が出てくるもんだ。それなのに、私に請求書のコピーを送れないのは、本当は獣医なんか行ってないからだ。夫もそれは承知の上で、送金している。

本当は何のためのお金なのかわからない。Anayaという名前は聞き覚えがない。でも、たぶんマリウスとそのほか数人の仲間だ。そして夫が加担している。

もう1つ、このチャットが作り話だという証拠がある。「お金の件は妻が外出から戻ったら聞いてみる」という文があったが、その日は私はずっと家にいた。

私はとても夫といっしょに食卓につく気になれなかった。

すべての料理ができあがると、私は「ずっと立ちっぱなしで疲れたし、肉の匂いがきついから」と階下にいた子どもたちに説明し、夫の部屋のドアをノックして「料理ができました」とだけ言って、ベッドルームで横になった。

しばらくして長男がやってきて、「おかあさん、いっぱい作ったんだね。」と言い、また階段を下りていった。そのうち、夫と子どもたちだけで食べ始めた。夫はいつもは「おいしかった。ありがとう。」と私をねぎらうのが、何も言わずに自分の部屋に入っていく気配がした。

ニュースでは、家族で感謝祭のテーブルを囲む様子が報道されていた。

私は立ち回りが下手だなと思った。220ドルくらい打ち捨てておけばよかったのだ。



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口論の翌日

2010.11.27 (土)



朝、1階の掃除をしていると、夫が下りて来た。

「昨日のお小遣いのことは、考えてくれたかな。」と遠慮がちに私に聞いた。

「あなたのお金ですから、私の許可なんか要らないでしょう。どうぞご自由にいくらでも使ったらどうですか。」

「ぼくはこれでもむやみに使ってるんじゃないよ。自制しながらやっているつもりだ。まあ、きみの期待するレベルじゃないと思うけど。」

私は返事をしない。話をするのもいやだ。

夫は昔から短気で、怒るときは部下を泣かせるくらい、怖いほど怒ったものだ。でも、この数年は昨日のように怒鳴りまくるのは稀になってきた。夫との生活に慣れるにつれ、私もずうずうしくなり、夫が声を荒げてもたいていは平気でかわせるようになった。

夫は感情の起伏が激しい。躁鬱病とは関係なく、そういう性格なのだと思う。

ふだんは夫も私も自分の部屋にいることが多いし、台所や居間で顔を合わせても、軽口を叩いたり、どうでもいい話をしたりして、ごく穏かにやっている。タイ女についての夫の嘘は忘れていないが、今さら話題に出すことはしない。

ルーマニア人への送金さえなければ、大きな諍いの種はほとんどないのだ。

ルーマニアのことでもう何度口論をしたかわからない。でも、昨日の夫の言い分には傷ついた。

夫はいつも私が子どもの送り迎えをしたり、日本語を教えたり、手抜きながら家事をして、投資をしていることに感謝しているとよく言っていた。私はそれが仕事だと思っていたが、しょせんは何の実入りにもならない。軽んじられて当たり前の立場である。

自分でそう悟っているのと、夫にそう指摘されるのとは違う。

もっとも夫は口論の最中に興奮して口走ってしまったことで、私に引け目を感じているらしい。自分はそういうことを言わない人間だと自負していたのに、思わず本音が出てしまったから。でも、それは私が感じた惨めな引け目とはまったく種類がちがう。

夫は私をひどく傷つけたことを自覚している。でも、私たちはそのことには触れない。

夫は子どもたちは何時に寝たんだろうとか、今日の主治医の予約は1時45分だったかなとか、話題を変えた。私はごく短く回答して、掃除を続けた。そのうち夫はお茶を持って2階へ上がっていった。


           *


お昼ごろ、夫がG氏にののしっているのが聞こえた。

これまでもしょっちゅう電話で言い争いをしていた2人だが、今日は特にひどい。G氏の声は聞こえないにしても、夫は興奮しすぎてどもっている。

それにしても、あんな言い方で叫ぶ必要があるだろうか。夫はG氏のために無料でいろいろ調べたり、資料を作ったりしている。でも、それは今後の就職のためでもある。いくらG氏が夫を高く買っているとはいえ、雇用主になるかもしれない人を罵倒するのが信じられない。

そのうち静かになり、夫は病院へ行くために部屋から出てきた。

「Gとはこれまでもやりあったけど、今日ほど頭に来たことはないよ。でも、最後はフレンドリーな会話で終わったから。」とのんきに言った。毎度のことだが、夫はそうやって相手を攻撃しておいて、平然としている。自分が正しいという自信がそうさせるらしい。

人格攻撃ではなく、あくまでも仕事の上でのけんかなのだが、それにしてもよくG氏も夫を受け入れたものだ。

夫の怒鳴り声がドアごしにも響いているあいだ、私は「穏かな人と暮らしたいな」とぼんやり考えた。子供たちが家を出るまであと3年半だとも思った。しかし、具体的なプランは浮かばない。

私は惰性で生きているのである。


         *


「一度もけんかをしたことがありません」という夫婦がたまにいる。

けんかと言ってもいろいろある。ちょっとした口論もしないのだろうか。当人たちは意見の交換と思っているのか、あるいは本当にいつも合意するか譲り合っているのか、奇跡的に何事も同じように考える夫婦なのか。

やっぱりお金の心配はないカップルなんだろう。

うちは大金持ちではないが、私が16年も主婦でいられただけのゆとりはある。これで貧乏生活をしていたら、どれほど荒んだ気持ちになったことか。もっとも、その場合は専業主婦という選択肢はないわけだ。

私は夫ほどではないが、気が短い。あらゆることに対して好き嫌いが激しい。しかも、自分のいいように事を運びたい。

哲学専攻だった夫と英語で討論するのはハンデが大きいが、日本語では意思の疎通ができないのだからしょうがない。

そして、私は根に持つタイプなので、夫がそのつもりではなくても口走ったことは忘れない。



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子は気晴らし

2010.11.28 (日)



こういうときに限って、子どもたちのプレイデートが重なる。

ティーンエージャーになってもそう呼ぶべきかどうかわからないが、ご近所の一軒を除いては、歩いて行ける場所ではない。ハイスクールのシニアになって運転免許を取るまでは、親の送り迎えが必須となる。

まず感謝祭の翌日、朝8時から長男の友だちクリスがやって来た。

3日前に、彼のお母さんヴィクトリアから1日預かってくれないかと電話がかかった。下の子がペンシルバニアで開かれるダンスの競技会に出場するために、泊りがけで出かけるという。ご主人は仕事がある。

私なら16歳を丸1日家においても平気だが、彼女は違うらしい。それに、長男をしょっちゅう呼んでくれるお宅である。即諾した。

アメリカでは大きな祝日、しかも家族で集まる感謝祭。翌日とはいえ、ホリデー・ウイークエンドである。彼女はとても恐縮していた。そして、ご主人が仕事の帰りに必ず迎えに行くからと強調した。

私は Black Friday の買い物にも行かないし、親戚が来るわけでもないし、いっこうにかまわない。子どもたちも大きくなったので、勝手に遊ぶ。スナックとランチを出せば、あとはゲームをしたり、テレビを見たりして、おとなしいもんである。

しかし、ヴィクトリアに頼まれた日には、まさか感謝祭の当日に夫とあんな口論をするとは予想していなかった。できれば、誰にも会いたくないのだが、今さら断ることはできない。

朝8時半にクリスを連れてやってきたヴィクトリアは、やはり申し訳ない、ありがとうを連発していた。

いつもは玄関で長話をしたがる人だが、ペンシルバニアは遠い。私は元気なふうを装って、「ぜんぜん気にしないで。ご主人が来られなければ、私が送っていくから。それより、競技会でうまくいくといいわね。運転も気をつけて。」とありきたりの言葉をかけた。ヴィクトリアはクリスに「いい?4時にお父さんにちゃんと電話して。」と言い置いて出かけた。

昼食は冷凍ピザ。長男が自分でやっていた。夜は作り置きのミートソースでスパゲティでも出せばいい。それまで私はベッドルームで1人で過ごせる。


           *


主治医の予約があった夫は、1時半に出かけた。

子どもたちは2歳しか離れていないので、どちらかの友だちが来るとたいてい一緒に遊ぶ。今日も下から3人の声がする。私はゲームはきらいだが、プレイデートのときはこれが強力な味方となる。諍いもなく、走り回ることもなく、ときおり「オー!」とか「イエー!」とか叫ぶ声が聞こえるだけである。

夫が出かけて10分もしないうちに次男がやってきた。

「きょう、アンディのうちに行っていい? ホッケーの試合を見に行こうって。」

長男の友だちが1人だけ家に来るのはいいが、こんな日に出かけたくない。

しかも、アンディはしょっちゅう次男を誘ってくれる。つい先週も映画に連れて行ってくれた。次男には映画のチケット代とファーストフードが買えるくらいのお金を持たせるが、ガソリン代は出さない。そういう申し出をしては失礼だなという関係である。

アンディのお父さんは半ば引退していて、1人息子をあちこちに連れて行くのが何よりの楽しみらしい。私と正反対だ。

そして、兄弟のいない息子の相手をしてくれてうれしいと言ってくれる。アンディの成績は学年トップなのである。どうして次男を気に入ったのかわからない。次男の仲良しグループの1人だが、どうも次男はジョーと一番気が合うらしい。それでも、誘われれば、誰の家にでも行く。

「ホッケー? どこで? 何時から? チケットはいくら?」

「知らない。聞いてくる。」と次男はまたパソコンへ戻った。次男の仲良しグループはいつもこうなのだ。具体的な情報はなくて、ただ集まろうだけ。14歳にしては幼すぎる。女の子だったら、もう少し計画的にやるのだろうか。

「夜7時だって。D町で。でも2時に来てって言ってる。」

夫は3時まで戻らない。長男は1人で留守番できる年だが、よその子といっしょというのは気が進まない。万が一なにか起きたら、取り返しがつかない。99%は安全だろうが、2人でポップコーンでも作ろうとして火事になったらどうする?

またアンディとチャットして戻ってきた次男は、「3時か4時でいいって。」

行きたくないが、せっかくのお誘いである。夫が帰宅するのを待って、出かけた。アンディのお父さんと少しだけ話し、お礼を言って、あとは任せた。帰りは9時半ごろになるらしいが、次男を送り届けてくれるという。そういうのは大歓迎。


          *


家に戻り、また1人になれた。あとはクリスに夕食を出して、お迎えが来るのを待つだけである。奥さんに言い含められていたとみえて、ご主人はちゃんと約束どおりに現れた。

結局、今日はよその子ども2人とよその大人3人と会った。

出かけたくなくても、誰とも話したくなくても、子どもがいるとそうせざるを得ないときがある。気持ちは沈んでいても、明るく振るわねばならない。気が紛れるのかどうか意識する間もない。

「子はかすがい」だという。

「子は気晴らし」でもあると思う。英語なら distraction.

気晴らしなどと言うと、真剣に子育てをしている人から叱られるかもしれないが、他のことから気をそらしてくれるという意味である。

考えたくないことから引き離してくれる。ほんの一瞬であっても、いやなことを頭の隅っこに追いやってくれる。

そうしてバタバタしていると、1日が終わる。


<今日の英語>

The devil is in the details.
細部をおろそかにすると痛い目に遭う。


家を売るためのアドバイスをしていた不動産ブローカーの一言。直訳は、悪魔は細部に宿る。「家を買う人は、厳しい眼であなたの家を見ます。ちょっとした傷とかはげたペンキ、曲がったライトで買う気を失ったりします。細かいところに予想外の問題が潜んでいるものです。気を緩めてはいけません。」




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「ピリッとくる」を英語で

2010.11.29 (月)



フィジカルセラピーが終わってから2週間が過ぎた。整形外科医の診察は明日。

思い出したようにストレッチをするほかは特別なことをしていないのに、なんとなく痛みが消えてきた。関節炎らしき左手の痛みもよくなった。

どちらも100%の状態ではないが、最悪の状態に比べたらぜんぜんたいしたことはない。自然消滅なのか、小康状態なのか。いずれにせよ、これならフィジカルセラピーに戻らなくてもいい気がしてきた。

それにしても、日本語だって自分の体が感じる痛みを言葉で伝えるのは難しいのに、英語となると歯がゆい。痛みの程度によって、slight(ほんのわずか)から, mild, dull, sharp, severe, excruciating (耐え難いほど)までの形容詞を使えばいいのだが、いまいち描写しきれない。

日本語では擬音語という便利なものが発達している。

私のテニスひじもまさに「ピリッとくる」。それをsharp pain と言ってしまうと、まちがいではないが、「ピリッ」の感じが出ない。

次男に聞いてみた。

「ひじがピリッと痛いって、英語でなんて言えばいいの?」

"I have a sharp pain in my elbow."

「それはだめ。シャープなんて、何にでも使えるじゃない。それで、ピリッていうのが伝わる?ほかの言い方。」

次男はしばらく考えて、"I feel a twinge of pain in my elbow."

なるほど。どこまで近いかわからないが、次回はそう言ってみよう。


           *


うちの子供たちは、生まれたときから私の日本語を毎日聞いている。

小さい頃はアニメもNHKの教育番組もよく見たし、絵本も読んだ。だから、擬音語にも慣れている。言葉で説明できなくても、感覚は理解していると思う。

猫がドライフードを飲み込まないように「カリカリして」「カーペットをバリバリやらないの」、子供に「もっとテキパキやりなさい」「そんなギューギューに押し込んじゃだめ」(なんだか命令形が多いのは気のせいか)。手がカサカサになっただの、猫がひっくりかえってゴロンゴロンしてるだの、ボールをバシッと打っただの、本がどさっと落ちただの、子どもたち自身が言うことも多い。

日本語を習う外国人がカタカナ英語と同じくらい苦労するのが、擬音語・擬態語らしい。

ちょうど私が次男に尋ねたことと逆のことをする。たとえば、雨がシトシト降るのとパラパラ降るのとどう違うか。てっとり早いのは、その土地に住むことである。

私はアメリカに移り住んで、初めてアメリカの天気予報を聞くようになった。

ふつうのアメリカ人なら中学生でも知っているような単語が、私には聞きなれない。drizzle や gust、flurries, overcast, sleet, slush, muggy  あるいは showerでさえ、私にとってのシャワーはお風呂についているシャワーで、それを外の天気に結びつけたことはなかった。

それでも、天気は毎日目の前で展開される。そのうちに、drizzle はこういう雨だなということが感覚的に理解できるようになった。まるでヘレン・ケラーとサリバン先生のwater である。


           *


しかし、天気は客観的な自然現象であって、自分の体の痛みとはちがう。

日本語でも、ある人にとってはピリッとくるのが、別の人にはギシッとくるのかもしれないが、最大公約数という意味でより適切な表現があるはずだ。特にこれから年を取るにつれて、きっとお医者に「どういうふうに痛いのか」を説明する機会が増えることがわかっている。

そういう事態になって辞書を引いてもいいが、痛みでそれどころではないかもしれず、今のうちにまとめてみた。まずは擬音語。

ズキズキ throbbing, pulsating
ズキーン piercing (excruciatingほどではないが、激しい痛み)
ガンガン smarting
チクチク prickling、stinging
シクシク griping 【追記参照】
ヒリヒリ burning, tingling
キリキリ biting, searing
キューッ squeezing, penetrating, shooting

これを
I have a [           ] pain. の空欄に入れ、痛いところを指し示す。

あとは、stiff (肩こりの痛み)、sore(筋肉痛・粘膜が荒れて痛い), raw(皮がむけて痛い)、rough(のどがいがらっぽい), tender/sensitive(さわると痛い)など。ついでに、生理痛のときは I've got cramps.

英語の意味にも微妙な違いがあるので、それぞれの単語がどういう状態を描写するのかを知っておいたほうがいい。

まあ、緊急時にはそうも言っていられないだろうが、痛みを英語で説明できるくらいなら、重体ではない。瀕死の際に、これは griping と searing のどちらが適切かなどと悩む余裕はないのである。

【追記】griping は a sudden, sharp pain ではないかという非公開コメントをいただきました。たとえば胃がシクシクする場合は、an incessant dull stomach ache のほうが適切かもしれません。いずれも、シクシクの表現力にはとうてい及ばないと思います。

※私の英語訳は、利用者に対し何ら保証するものではありません。



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